きょうのICPFセミナーは、総務省情報通信政策局の鈴木総合政策課長に、いろいろ話題を呼んでいる「情報通信法」(仮称)の話をしてもらった。会場から出た質問は、主に次の2点:
  • これまで規制のなかったインターネットに「公然通信」として言論統制が行なわれるのか?
  • レイヤー別の規制というのは、通信業者には抵抗がないだろうが、放送局は「水平分離」には反対するのではないか?
このうち前者については、「どの分野も、今より規制が強まることはない」との答だった。実は、放送には(あまり知られていないが)「番組編集準則」というのがあって、民放でも教育番組*%、教養番組*%というように時間配分まで決められている。実際には、お笑い番組を教養番組に算入したりして空文化しているのだが、この過剰規制をやめるのが主眼らしい。インターネットについては、今でもプロバイダー責任制限法などがあるが、幼児ポルノなどの違法コンテンツをISPが削除する法的根拠がないので、その法的根拠を与えるといった形で、行政が直接介入するものではないようだ。

放送業界は、パブリック・コメントでは反対を表明しているが、2001年にIT戦略本部が「水平分離」を打ち出したとき、民放連の会長が官邸にどなりこんだような強い拒否反応は、今のところないそうだ。法案化が2010年と先は長いので、今はおとなしくしているのかもしれない。ただ、今のまま水平分離してキー局の番組がIPで全国に流れたら、ローカル局は死ぬので、レイヤー別の規制に移行するなら、放送業界の再編は不可避だろう。集中排除原則を緩和して持株会社化を可能にするなど、総務省も手を打っているが、ローカル局はキー局の子会社になるぐらいなら、政治家を使って法案をつぶしにかかるかもしれない。

・・・というわけで、来月のセミナーでは放送局の立場から話してもらう。

ICPFセミナー 第23回「通信・放送の総合的な法体系に対する放送事業者の考え方

総務省では「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」を組織し、通信法制と放送法制の統合について研究を深めています。この新しい法体系によって通信と放送の融合が促進されるかどうかについて、世の中には賛否両方の意見が存在します。

情報通信政策フォーラム(ICPF)では月次セミナーでこの新しい法体系について議論を深めていくことにしました。連続セミナーの第2回目は、TBSメディア総合研究所の前川英樹社長をお招きし、放送事業者の考え方を伺います。

スピーカー: 前川英樹(TBSメディア総合研究所社長)

モデレーター: 山田肇(ICPF事務局長・東洋大学教授)

日時: 11月26日(月)19:00~21:00 ※開始時刻が通常より30分遅れます。

場所: 東洋大学・白山校舎・6号館6216教室
      東京都文京区白山5-28-20
      キャンパスマップ ※いつもと教室が違いますのでご注意ください。

入場料: 2000円 ※ICPF会員は無料(会場で入会できます)

★申し込みはinfo@icpf.jpまで、氏名・所属を明記してe-mailをお送り下さい