今回の辞任の理由は、本人の記者会見ではわけがわからないが、官房長官のいった「健康上の問題」が大きいのかもしれない。これについては以前、立花隆氏が「潰瘍性大腸炎」という難病ではないかと推定し、「紙オムツを常用せざるをえない状態」と書いて論議を呼んだ。しかし今となっては、彼の大胆な推定が当たっていたのかもしれない。

それにしても、率直にいって彼の辞任を惜しむ人はほとんどいないだろう。政治家としての苦労を知らないまま、するすると首相になり、「戦後レジームからの脱却」とか「美しい国」といった観念論しか政策としてもっていない。それも独自の政治信念というより、ほとんど祖父のコピーだ。政策でも人事でも決断力がなく、ピンチに追い込まれたときの危機管理能力もない。もともと首相になる器ではなかったのだろう。

追記:慶応病院の発表によれば、安倍氏の症状は器質的な異常のみられない「機能性胃腸障害」だとのことである。しかしこういう場合、医師は真実をいう義務はない(むしろ守秘義務に反する)ので、これが本当かどうかはわからない。