オーネット・コールマンが、ピュリッツァー賞(音楽部門)を受賞した。これまでクラシック音楽に与えられてきた賞が、規定を変更して即興音楽にも与えられるようになって初めて、ジャズが受賞したのだという。

このCDはドイツでのライブ録音だが、ベース2台にドラムという変則的な構成で、コールマン(アルトサックス・トランペット)がずっと吹きっぱなしだ。77歳でこのような若々しい音楽を演奏するエネルギーに圧倒される。10年ほど前、渋谷公会堂で聞いたときも、2時間ほとんど出づっぱりで吹きまくっていた。彼らには「枯れる」という美学はないんだな、と思ったものだ。

1950年代に登場したときから、コールマンはつねに自由で過激な演奏を続けてきた。しかし、それはセシル・テイラーやアンソニー・ブラクストンのように抽象的な「前衛音楽」ではなく、西洋音楽の枠を超えてアフリカの原初の音楽が聞こえてくるような親しみを感じさせる。1970年代からは「プライムタイム」というロックバンドのようなフォーマットで演奏するようになったが、それはコマーシャルな「フュージョン」とは違う挑戦的な音楽だった。

バンドとしては、ジャマラディーン・タクーマやブラッド・ウルマーのいたころのプライムタイムが最高だったと思う。私にとっての最高傑作は、1979年に出た"Of Human Feelings"だが、これは廃盤になったようだ。最近のCDでは、50年代のカルテットとプライムタイムの両方による新録音を収めた"In All Languages"がおもしろい。