デイヴィッド・ハルバースタムが、交通事故で死去した。

ノンフィクションに古典というものがあるとすれば、本書は間違いなく、その1冊である。原著が出てから40年近くたつのに、アメリカは本書で描かれた病から脱却できないようにみえる。それはEasterlyがWolfowitzを評したのと同じ、他国に「正義」を押しつける傲慢という病である。

自由経済や民主主義が、アメリカという特殊な国家で成功したからといって、それが世界のすべての国家で成功するとは限らない。それに適した文化的土壌のない国に無理やりアメリカ的レジームを移植しようとしても無理だし、そのために土壌からすべて取り替えようとしたら、国家そのものを破壊してしまう。

ハルバースタムが指摘したように、この病にはユートピア主義エリート主義という二つの原因がある。自国の制度が普遍的ユートピアであり、それを世界に布教しなければならないというナイーブな信念と、世界最大の軍事力とエリートの頭脳があれば、ほとんど自軍の犠牲なしに「効率的に」敵を殲滅できるという過信だ。そしてベトナムで行なった戦争犯罪を謝罪もしないで、他国には70年前の「性奴隷」の謝罪を求める。アメリカこそ、世界でもっとも特殊な国である。