今や定番となったゴードン・マルキールの投資ガイドの第9版。初版から35年もたっているが、本書の初版から一貫している「投資信託よりインデックスを買え」という原則は変わらない。初版の出たころにS&P500を1万ドル買っていれば、今は42万ドルを超えているという。それに対して、投資信託の平均は28万ドルだ。

この原則の理論的な背景は効率的市場仮説だが、これについてはこの版で初めて少し修正している。「市場には勝てない」という基本は間違っていないが、ファンドマネジャーによっては市場に勝ち続けることもできるというデータが出ている。

その原因は、新たに1章をさいている「行動ファイナンス」だ。相場は効率的市場仮説のいうように機械的に動いているわけではなく、人間の心理で動くものだから、バブルも起こるし大不況も起こる。だから心理の裏を読めば、市場に勝つことも可能だし、経済学者のバカにする罫線も無意味ではない。市場参加者がみんな罫線を見ているということは、その心理の動きを予測する上で重要な材料になるからだ。

本書の改訂は、ファイナンス理論や経済学の流行を映している。当初は新古典派的な投資理論の教科書だったものが、金融工学の発展にしたがってオプションや先物などについての解説が増え、ITバブルの渦中の版では「ファンダメンタルから乖離している」と警告し、それが終わった後はバブルを分析し、今度の版では行動ファイナンスを取り入れている。現代のファイナンス理論の実用的な入門書としてもおすすめできる。

追記:邦訳が出た。