私も最近は「アルファブロガー」と呼ばれるようだが、これって英語で見たことがないので、Wikipediaで調べてみると、案の定出ていない。日本語版にはあるが、それによると、2004年のNewsWeekの記事が出典らしい。この記事をよく読むと、
By dint of reputation, novelty and charm, certain "alpha bloggers" have built large and influential audiences. [...] The alphas, or "A-listers," as they call themselves...
と書いてあって、むしろブロガーは自分では"A-list"と呼んでいるようだ。この記事のalphaというのは、英語で「主要な」とか「最初の」という意味の形容詞だろう。それがFPNの「アルファブロガーを探せ」という企画で流行語になったらしい。

グーグルで検索してみると、"alpha blogger"は6万件(ほとんど日本語サイト)しか出てこないが、"A-list blogger"は14万件出てくる。それよりもblogebrityという造語のほうが多く、62万件あるが、いずれにしてもbloggerが1億6000万件も出てくる中では、定着した英語とはいえない。ところが「アルファブロガー」で検索すると、85万件以上も出てくる。要するに、これは和製英語なのである。

別に当サイトは「アルファブログ」(という言葉はなぜかないようだが)になりたいとも思っていないが、毎日2万PVを超えるようになると、日本のブログ界の特徴がわかっておもしろい。先日の「生産性」論争でもうんざりしたのは、経済学の専門用語を理解していない人が多いのはしかたないとしても、「理屈は正しいが言い方が悪い」とか、逆に「山形氏の表現は悪いが彼の気持ちは・・・」といった反応が多いことだ。これも英語には翻訳できない表現である。藤原正彦氏の推奨する「論理より情緒」というやつだ。

もう一つの特徴は、2ちゃんねるの悪影響で、匿名による悪口(批判ともいえない感情的なもの)が多いことだ。スラッシュドットでいう「匿名の卑怯者」(Anonymous Coward)が圧倒的多数なのである。このように「ロングテール」の部分の質が悪いため、実名で書かれている一部のブログが「アルファ」になっているだけだから、あなたがアルファブロガーになろうと思ったら簡単だ。中身なんかどうでもいい。今どきの話題に乗って、ハウツー的な知恵をリストアップし、キャッチーな見出しをつければいい。これは吉田望さんもいうように、広告代理店からみればありふれたテクニックである。

日本のIT産業をだめにした「パラダイス鎖国」現象がブログでも進行しているのは、困ったものだ。ICPFでは来月、シンポジウムで「日本のブログはこれでいいのか」という討論会を行う予定である(詳細はまもなく発表する)。