今年も、確定申告の受付が始まった。国税庁は、電子納税システムe-Taxの利用を呼びかけ、税務署ではベッキーがPCで体験して「簡単!」などといっていたが、本当だろうか。実は、わが家でも去年、e-Taxでやろうとしたが、挫折した。その手続きが、あまりにも複雑だからだ。国税庁のサイトによれば、事前準備だけで
  1. 開始届出書の提出
  2. パソコン等の準備
  3. 電子証明書の取得
  4. ICカードリーダライタ等の取得・設定
  5. 利用者識別番号の受領
が必要になる。なかでも問題なのは「電子証明書」だ。これは住基カードのことで、このために区役所へ行って申請しなければならない。しかもこれを使うには、3000円以上出してICカードリーダーを買わなければならない。領収書などの添付書類は、どっちみち郵送しなければならないので、紙で出すほうが簡単だ・・・というわけで、システム導入から3年たっても、e-Taxの利用率は個人で0.2%、法人でも1.4%である。

そもそも疑問なのは、なんでこんな厳重な本人確認が必要なのかということだ。他人になりすまして税金を払う人なんているのだろうか? 磯崎さんも指摘するように、アメリカでは5桁のパスワードで手続きできる。日本でこういう異常な「セキュリティ」が要求されるようになったのは、「行政が非効率でもかまわないからプライバシーを守れ」と主張する山形浩生氏のような連中の攻撃を、行政が恐れたからだ。

しかも、このシステムの構築にかかった経費は500億円。間違えないようにいうと、e-Tax自体で現金を送金するわけではなく、ただ納税申告書をウェブでファイル転送するだけである。それにこんなコストがかかるのは、「セキュリティ」を守るために専用サーバや専用線などの高価な設備を調達したからだ。国税庁のシステムでもっとひどいのは、KSKという税務署間の連絡ネットワークで、構築に12年かかり、4000億円の初期費用と毎年600億円もの維持費がかかっている。

同じような問題は、昨年パスポートの電子申請システムでも問題になり、システムが廃止された。しかし廃止してはいけなかったのだ。住基カードを使わないで、パスポートを取りに来たとき本人確認すればいいのである。利用率が0.7%しかない住基カードが、電子政府のボトルネックになっている。必要なのは行政の電子化をやめることではなく、住基カードをアンバンドルすることだ。