ヒルズ黙示録―検証・ライブドア

朝日新聞社

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ライブドア問題を早くから追跡してきたAERAの記者が、ニッポン放送事件の前にさかのぼって、一連の出来事をひとつのストーリーとしてまとめたもの。「影の主人公」は村上ファンドで、その裏にはフジサンケイ・グループの骨肉の争いがあったという見立てだ。

東京地検の捜査には、著者も懐疑的だ。政治家などの「巨悪」は結局、何も出てこなかった。「偽計」や「粉飾」とされる容疑も、山一やカネボウのように経営破綻をごまかすために数千億円の不良資産を隠していたのとは違い、公判で争う余地はある。ホリエモンは、大鶴特捜部長の「額に汗して働く人が憤慨するような事案」を摘発するという「国策捜査」のスケープゴートにされたのではないか。北島副部長が捜査の途中で更迭された異例の人事も、何か見込み違いがあったことをうかがわせる。

ライブドア事件の影響で、資本市場の規制が強化され、検察のターゲットともいわれた村上ファンドも、シンガポールに本拠地を移した。これで「ヒルズ族」のお祭りの季節はひとまず終わったが、インターネットはこれからも世界を変えてゆくだろう。