今週の『週刊文春』に「孫正義は1兆円をドブに捨てた」という記事が出ている。要するに、ボーダフォン日本法人の買収価格2兆円(債務肩代わり2500億円を含む)は高すぎるというのである。

ボーダフォンの現在の経常利益は800億円だが、LBOで新たに発生する負債(1兆7000億円)の金利を3%とすると、このうち500億円が飛んでしまう。買収後も、基地局の建設などに数千億円の追加投資が必要であることを勘案すると、相場は1兆2000億円ぐらいだという。ボーダフォン側も株主の突き上げで売り先をさがしていたのだから、じっくり交渉していれば、もう少し値切れたはずだ。

ところが、その買収交渉の最中に、Financial Timesに「投資ファンドのKKRとサーベラスがボーダフォン買収に乗り出す」というニュースが出た。とくにKKRというのは、世界最強の投資ファンドで、資金調達力はソフトバンクとは比較にならない。さらにロイターが「サーベラスの提案は150億ドル(1兆7500億円)」と報じた。ソフトバンクは、このニュースにあせって言い値で買ったが、実際にはサーベラスが買収を行う可能性はなかったという。これはボーダフォン側の投資銀行UBSによる情報操作だった疑いが強い。

私も、このKKRの話は続報も出ないし、おかしいなと思っていた。こういう情報操作は、大規模な企業買収では当たり前で、「だまされるほうが未熟」というのが投資ファンドの見方だ。