ICPFのシンポジウムが、きょう開かれた。申し込みが400人を超える大盛況だった。なかでも、目玉は通信・放送懇談会の松原座長のスピーチだった。

NTTについては、「今の組織形態が決まってから10年たっている。NTT法の改正が必要だ」としたが、「持株会社をなくしてバラバラにするという案はまったく念頭にない」として「解体論」を否定した。「インターネット時代に県内通信と県間通信をわける意味があるのか」とNTTの再々編案に一定の理解を示し、「IP懇談会」でソフトバンクの提案している「ユニバーサル回線会社」構想については「魅力的だが、巨大な独占インフラをつくる特殊会社という案には乗れない」と否定した。

放送については、「コンテンツをデジタル化すれば、伝送路は地上波だけではなくCSもIPもあるので、効率のよいインフラを選んで全国に放送できる。これがデジタル化のメリットであり、それを県域に閉じ込めるのはおかしい」と地上デジタルの方向に疑問を呈した。これは情報通信審議会の第2次中間答申に対するICPFのパブリック・コメントと同じだ。

著作権の処理についても、国会答弁で「IP放送について総務省と文化庁の解釈が違う」と認めていることを引き合いに出して、「放送の定義が役所ごとにバラバラになっているのはおかしい」として、総務省の解釈に一元化する方向を示した。この点については、林紘一郎氏のスピーチでも同じ指摘があった。これは知財本部の提言とも一致しているので、著作権法が改正されることは、ほぼ間違いないだろう。

パネル討論では、通信・放送業界の関係者も出席して議論が行われたが、おもしろいのは「伝送路の融合については、もう議論は終わっている」として、技術的な議論はほとんど出なかったことだ。むしろボトルネックになっているのは、規制や著作権などの制度的な問題とビジネスモデルである。

個人的に興味があったのは、関口氏の「インターネットはロングテールの裾野をねらい、放送はピークの部分と、ビジネスモデルが違う」という指摘だった。だとすれば、映像伝送では今は権利処理などの取引費用が高いために裾野の部分が商売にならないが、この障壁が低くなればミニコミ的な映像サービスが出てくる可能性がある。

ただ、松原氏のスピーチでNHKへの言及がアーカイブの話しか出なかったのは、少し気になった。単なる時間配分の問題か、関係者のいうように「NHK民営化論が封じられた」ためなのか...