『ウェブ進化論』に何度も出てくるのが"Web2.0"という言葉だが、その意味ははっきりしない。梅田氏は、それを「ネット上の不特定多数の人々を、能動的な表現者と認めて積極的に巻き込んでいく」技術やサービスだとするが、それは今に始まったことではなく、15年前からあるWeb1.0の特徴である。CNET JAPANがWeb2.0を特集しているが、皮肉なことに、その結論としてDeclan McCullaghは、
これは「革命」だろうか。答えはおそらく否だ。むしろ現在の状況は、自生的秩序という単純な概念が、いかに大きな果実をもたらすかを鮮やかに示す例と捉えるべきである。
と書く。私もパソコン通信のころからネットワークを見てきたが、最初にモザイク(WWW)を見たときに受けた衝撃に比べれば、梅田氏などが革命(revolution)だと騒いでいる特徴は、その必然的な進化(evolution)の結果にすぎない。彼の本の表題がそれを語っている。

こういうbuzzwordは、ブームを仕掛けて「エヴァンジェリスト」として講演でもうける人々にとっては必要なのだろうが、状況を客観的にみる上ではじゃまになる。インターネット(TCP/IP)やウェブ(HTTP)のような革命的な変化は、まだ起きていない。「本当の大変化」は、こういうふうにメディアに騒がれないところで、人知れず始まるのだろう。1993年にモザイクがNCSAのサイトでひっそりと公開されたときのように。