NY Timesによると、タイム=ワーナーを分割しようという大株主カール・アイカーンの試みは、失敗に終わったようだ。しかし、AOLが身売り先をさがしている状況には変わりない。最近、訳本が出た『史上最大の合併』(ディスカヴァー)は、なぜこの巨大合併によって2000億ドル近い企業価値が失われたのかを描いている。

日本では、ライブドアのおかげで、企業買収や株式交換のイメージがすっかり胡散臭いものになってしまったが、企業買収の問題点はむしろその際に強調される「シナジー」が本当にあるのかどうかだ。AOLとタイム=ワーナーのように、成立当時は賞賛された合併でさえ、企業文化の違いによって内部崩壊してしまった。創業者の反対を押し切ってコンパックを買収したヒューレット=パッカードのディールも失敗に終わり、カーリー・フィオリナCEOは解任された。

企業買収には、(1)多角化(2)規模拡大(3)事業再構築の3種類がある。このうち、米国で企業買収が始まった1960年代から70年代に盛んになったのが(1)の「コングロマリット」で、これはほとんど例外なしに失敗している。ライブドアの場合も、企業買収のときの株価操作で利益を得ていただけで、事業上のシナジーはなかった。(2)は本業と「補完的」な同業者を買収するもので、AOLやHPがこれに相当するが、ここでも成功率は半分以下である。

成功しているのは(3)だけで、これは(2)とは逆に、LBOやMBOによって不採算部門を売却し、本業に集中するケースが多い。日本では、新生銀行など外資系ファンドが手がけている案件や、ダイエーやカネボウなどの産業再生機構案件がこのタイプだ。今の日本に必要とされているのは、こうした「企業コントロールの市場」で企業を解体・再生することである。