「情報通信省」の話は、見る見るうちに中央省庁全体の再々編に発展し、来週出される自民党の運動方針案にも急きょ盛り込まれることになった。1999年に再編したNTTの再々編に和田社長が「時期尚早」だとかいっているのに、2001年の省庁再編をもう見直すというのだから、今や自民党のほうがスピード感がある。

これに対しては「朝令暮改だ」という批判も当然あるが、ドッグイヤーのIT業界では、朝令暮改を恐れていては何もできない。政治的にも、かつて橋本政権で行われた省庁再編を台なしにした郵政族が壊滅した今こそ、総務省を解体して津島派(田中角栄以来の利権集団)をたたきつぶそうというのは、郵政民営化の続きとしては一貫しているともいえる。

その再々編を実行することになるのは、下馬評によれば安倍晋三氏になる可能性が高い。彼が岸信介の孫であることは、偶然ではない。これは1970年代から旧田中派によって築き上げられた「大きな政府」路線を否定し、自民党を岸に連なる「保守本流」の路線に引き戻すことに他ならないのである。

「1970年体制」という見方は、かなり前から奥野正寛氏などの経済学者によって提唱され、原田泰氏は『1970年体制の終焉』(東洋経済)という本も書いている。去年、話題になった増田悦佐氏の『高度経済成長は復活できる』(文春新書)も、田中型の「弱者救済」政治が日本の成長率を低下させたという議論だ。

そしてバブルの崩壊とともに1970年体制が終わる、という見通しも彼らに共通している。しかし、それに代わる「2005年体制」(?)はどんな時代なのだろうか。まさか「高度経済成長」ではないだろうが...