『スティーブ・ジョブズ:偶像復活』(東洋経済)を読んだ。大して期待していなかったが、予想以上におもしろかった。アップルの没落については多くの本が出ているが、この本はジョブズという型破りの個性を中心にし、彼のまわりの人間との葛藤を丹念に描いたことで、単なるビジネス書の域を超えた奥行きが出ている。

もうひとつの新味は、ジョブズの復活の過程を描いたことだ。iMacやiPodの開発では彼のデザインへのこだわりが功を奏し、iTunes Music Storeを立ち上げる際のネゴシエーションでは、彼のプレゼンテーションの才能が役に立った。Pixarの成功にも、ハリウッドのアクの強い連中に対抗できるジョブズの個性が貢献した。日本のビジネスマンに欠けているのは、良くも悪くも、このアクの強さだろう。