ユン・チャン他『マオ:誰も知らなかった毛沢東』(講談社)は、上下巻1000ページ以上を4日で一気に読んだ。執筆に14年もかかっただけあって、毛沢東を権力のために平気で殺人を重ねる冷血漢として描く記述には、証拠に裏づけられた説得力がある。

ここに描かれる毛のイメージは、むしろスターリンに近い。なかでも驚いたのは、国内で数百万人が餓死しているのに、他国に自分の権威を示すために大量の食料を輸出していたという話だ。社会主義が生み出した権力者がこれほどよく似ているのは、偶然ではないだろう。国家権力が極大化した社会では、権力のために他のものをすべて犠牲にする者だけが生き残るのだ。