川崎泰資・柴田鉄治『検証・日本の組織ジャーナリズム:NHKと朝日新聞』(岩波書店)を読んだ。岩波の単行本を買うのは久しぶりで、特にこの種の「マスコミ批判」には興味がなかったのだが、デジタル放送に1章をさいて、私の発言も引用されているので、つい買ってしまった。

ちょうどNHKで不祥事が起こるなど、タイミングもよいので、個々の事件の解説はおもしろいが、「これからどうすべきか」の部分は「ジャーナリストの志」といった精神論で終わっている。デジタル放送の問題も「独立行政委員会が免許を出せ」という話になってしまい、受信料制度や再販制度の問題にもふれていない。

この種のマスコミ批判がつまらないのは、メディアを産業として見る視点が抜けているからだ。零細で特殊な業界なので、経営学や経済学の観点からみた研究がほとんどなく、当事者も「文化」を扱う特別な仕事で、普通のビジネスとは違うと思い込んでいる。しかし今、インターネットが変えつつあるのは、このマスメディアの「特権性」なのだ。

自分たちが特別だという思い込みを捨て、メディアを「普通の産業」として検証することが、そのゆがみを是正する第一歩である。