VoIPは、クリステンセンのいう「破壊的技術」(disruptive technology)である。この種の技術としては、PCやインターネットなどがあげられるが、いずれも普及のパターンがよく似ている。

1. 最初は「おもちゃ」「安物」「何に使うのかわからない」などとバカにされ、大手メーカーは参入しない。

2. 大して話題にもならないので、特定の規格が「事実上の標準」になり、静かに浸透する。

3. 突然「キラー・アプリケーション」が登場し、爆発的な流行になる。

この3の段階に移行するきっかけが、PCでは表計算、インターネットではブラウザだった。VoIPの場合には、まだ低価格以外の「キラー・アプ」が見えていない。それが出てくれば、ハードウェアも含めて電話を代替するだろう。

他方、こけるパターンは上の逆で、従来よりも高級な「持続的技術」で、市場があるかどうかわからないうちから大手メーカーが参入し、政府も補助金を投入して「実証実験」をやり、日経新聞が騒ぐが、船頭多くして標準化が難航し、いつの間にか忘れられる。この例は、ハイビジョン、TRON、VAN、電子マネー、WAP、Bluetoothなど数多い。IPv6もRFIDも、今のように政府主導だと、この仲間に入るおそれが強い。