私の「電波社会主義」という言葉は、最近は総務省の研究会でも使われるほどポピュラーになったが、先日ある電波関係者に「電波村の実態は、社会主義というより封建制だ」といわれた。

たとえばMXの免許には当初、100社以上が名乗りを上げたが、最終的には(数十社の出資する)1社に「事前調整」された。第3世代携帯電話のときも、3つの枠に3社しか申請がなく、美人投票さえ行われなかった。所定の枠に官僚が資源を割り当てるのが社会主義だとすれば、「お上」の意をくんで民間が談合する日本の現状は、たしかに封建制に近い。

しかしソフトバンクが「パンドラの箱」をあけたことで、封建制も崩壊が始まった。総務省の周波数検討会では、既存業者3社と新規参入組4社が公開の場で大論争を繰り広げている。これでは事前調整は無理だし、美人投票の結果にも、だれも納得しないだろう。

米国でも、1980年代に携帯電話の審査を抽選にしたら何万件も申請が殺到して事務が破綻し、周波数オークションをやらざるをえなくなった。日本の電波行政は、それから20年遅れで「近代市民社会」の夜明けを迎えているのかもしれない。