「世間って狭いものだ」という経験はよくあるが、実際にどの程度、狭いのだろうか。たとえば、あなたが旭川市に住む未知の歯科医師の名前(Aさんとしよう)を聞かされ、あなたの知人にeメールを出して「Aさんを知っていると思われる人にこのメールを転送してください」と頼んだとしたら、何回ぐらいでAさんに到達するだろうか?

1967年に行われたミルグラムの(手紙を使った)実験によれば、必要なステップの平均値は、5.5だった。つまり、あなたと任意の他人との間は、たった6人しか離れていないのだ。この結果は、一見するほど驚くべきものではない。普通の人が覚えている知人は100~200人とされるが、あなたの友人100人がそれぞれ100人を知っているとすると1万人、彼らがそれぞれ・・・と計算すると、たった4段階(1004)で1億人になってしまう。

しかし、よく考えるとこれはおかしい。あなたと友人は同じ社会的集団に属していることが多いので、最初の100人と次の100人はかなり重複しているはずだから、メールは同じグループの中をぐるぐる回って、旭川までたどりつかないかもしれない。不思議なのは、こういう重複した「友達の輪」をたどって、わずか6次で目標にたどりつくことなのだ。

このパラドックスは、実は経済物理学とも関係のある奥の深い問題だ。興味のある人は、ワッツ『スモールワールド・ネットワーク』を読んでください。