フロリダ州の電子投票で、ブッシュの得票が過大だったのではないかという疑惑が浮上している。

「投票する者は何も決めることはできない。決めるのは票を数える者だ」というスターリンの言葉があるが、これは別の意味でも真理を指摘している。1票の差で選挙結果が変わる確率は事実上ゼロなのだから、ひとりの有権者は何も決めることはできないのである。

むしろ説明を必要とするのは、なぜ人々は罰則も報酬もないのに、何の意味もない投票に行くのかということだ。これは意外にむずかしい問題で、Grossman-Helpman, Special Interest Politics (MIT Press)はさまざまな説明を試みたあげく、「経済的なインセンティヴで説明することは不可能だ」という結論を出している。

これは経済学で人間の行動を説明する限界を示すと同時に、政治が「特殊利益」に誘導されやすい根本原因を示している。政治に影響を与えたければ、投票するより選ばれた議員を買収するほうがはるかに「効果的」なのである。あるいは電子投票機をハッキングするほうが・・・