日本の行政改革でよくいわれるのは、「各省庁の幹部に政治的任命を増やすべきだ」という議論だ。これは私も基本的には賛成だが、この点でもっとも極端な米国のケースをみると、「過ぎたるは及ばざるがごとし」という気もする。

イラク戦争の失敗の最大の原因は、諜報機関の情報がお粗末だったことだが、Seymore Hershの新著によれば、これは米国の官僚機構の欠陥に起因しているという。イラクが大量破壊兵器を持っていることは"slam dunk"だというCIA長官のいい加減な情報にもとづいて開戦の決定が行われたように、政権によって任命された幹部の結論は最初から決まっており、現場の情報はまったく無視されたのである。

日本では逆に「現場」の力が強すぎて、道路公団や郵政の民営化などでも、官邸と所管官庁が対決し、後者が実質的に押し切ってしまうことが多い。たぶん正解はこの中間だろうが、政権は選挙というチェックを受けるだけましだ・・・という議論も、今度の米大統領選挙の結果をみると、建て前論なのかもしれない。