わが家にも在日支店長からおわびの手紙が来た。

しかし、この手紙を読んでも、何が起こったのかさっぱりわからない。新聞などの報道も、みんな匿名で、刑事事件になったようにもみえない。リスクを十分開示しないで多額の仕組み債を売ったとか、仕手筋に資金を提供したとか、マネーロンダリングに協力したとか、断片的な話はいろいろあるが、これは問題の丸の内支店長の個人的な犯罪という印象も強い。世界最大のプライベート・バンクを日本から撤退させるようなことなのか。

私は、かつてこの種のプライベート・バンクの世界最大の集積地、ケイマン諸島で取材したことがある。小さな島に一流銀行の巨大な支店が林立する異様な風景は、なかなか絵になった。たしかに犯罪と結びついている部分もあるが、それが現地では合法的であることも事実なのだ。あるプライベート・バンカーは「税はコストのひとつにすぎない。それを法の許す限りで最小化することは企業や資産家の当然の行動だ」といっていた。インターネット時代は、主権国家と資本主義の闘いの時代になるのだろう。