9日の海老沢会長の参考人招致を前に、週刊誌では「NHKバッシング」が花盛りだが、光ファイバーの開放義務をめぐって、「NTTバッシング」も始まったようだ。その代表格が、町田徹『巨大独占・NTTの宿罪』である。

著者は、日経の記者だったころにも「NTT完全分割論」をとなえて、竹中平蔵氏のナンセンスなIT政策の応援団だった。「ドミナント規制は世界の常識だ」などという嘘を書き散らすので、私が批判したらGLOCOMにやってきて「名誉毀損で訴える!」と叫んだ。

しかし、ちゃんと話すと事情はわかっていて、「ドコモの公式サイトが独占の原因だから、それをつぶすために総務省はドミナント規制を持ち出している。まあ別件逮捕みたいなもんですよ」という。「それは、あなたの記事の趣旨とまったく違うじゃないか」と私がいうと、「公式サイトなんてわかりにくくて、産業新聞ぐらいにしかならない。やっぱり料金のようなわかりやすい問題でたたかないと・・・」というのであきれた。

この本の大部分も、そういうセンセーショナルなNTTバッシングだが、さすがに新聞記者でなければ聞けない当事者の話があって、ルポとしてはよく書けている。2次情報の切り貼りで「孫正義バッシング」をやっている某ルポライターの本などより、はるかに読む価値がある。しかし結論に、また「東西会社の完全分離」が出てくるのにはうんざりだ。インターネット時代に、市内電話網を長距離から切り離すことに何の意味があるのか。

取材力のある記者だから、あとはもうちょっと通信政策の基本を勉強してほしいものだ。参考文献としては、私の論文をおすすめする(これは学会賞をもらうことになった)。