2011年02月

aicezukiの謎

aicezukiきのう話題になった京大(同志社・立教・早稲田も?)の入試問題のカンニングは、いろいろ不可解な点が多い。ツイッターで寄せられた意見を参考に、その謎を推理してみた:

まず不思議なのは、⊥や∠などの特殊な記号を含めた複雑な問題文を試験会場で試験官に隠れてタイプできるのかということだが、最近の若者のスキルなら可能のようだ。去年の12月から何度もやっているので、辞書はかなり鍛えたのだろう。

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宇沢弘文氏の奇怪な農本主義

菅政権にゆさぶりをかける民主党議員が「TPPを考える国民会議」なるものを結成した。驚いたのは、その代表世話人として宇沢弘文氏が記者会見したことだ。彼は私の大学時代の先生であり、学問的に教わったことも多いが、90年代以降は極端な農業保護主義を主張するようになった。今回も農協新聞に寄稿し、TPPを激しく攻撃している。
菅直人が「平成の開国」と叫ぶとき、「安政の開国」を念頭に置いてのことであろう。1858年井伊直弼によって締結された日米修好通商条約は、治外法権、関税自主権の放棄、片務的最恵国待遇からなる極限的な不平等条約である。「安政の開国」の結果、日本の経済、社会は、とくに農村を中心として、致命的なダメージを受けることになった。
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独裁政権はなぜ一斉に倒れるのか

チュニジアに始まった中東のドミノ現象は、リビアで最大の山場を迎えている。ムバラクは30年、カダフィは40年以上も続けてきた独裁政権が、なぜ数ヶ月の間に一斉に倒れるのだろうか。これは前にも紹介した協調ゲームの応用問題である(利得a>b>0は対称とする)。

自由独裁
自由 a  0
独裁 0  b

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「ネット革命」の幻想

中東で起こっている一連の出来事は、1989年に起こった東欧の事態を思い起こさせる。あのときも最終的にすべての国で社会主義が崩壊するまで止まらなかったので、カダフィの運命も決まったようなものだ。

当時、私はNHKで環境問題の番組を取材しており、私のチームがアメリカ、もう一つのチームがルーマニアを回ってロンドンで合流する予定だったが、ちょうどその時チャウシェスク政権に対する反乱が起こり、彼らがルーマニアから出られなくなった。しかも反乱が起きたティミショアラのすぐ近くにいたため、彼らは世界に先駆けてルーマニア革命を取材する結果になった。

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財政破綻でハイパーインフレは起こるか

コメントで教えてもらったが、財政破綻について国会で今月ちょっとおもしろい質問があった。城内実議員の質問主意書は、いいところを突いている。日本をギリシャと比較して財政破綻のリスクを警告した国家戦略室の財政運営戦略を彼はこう批判する:
日銀が市場から国債を買うことにより、事実上政府の財政赤字を日銀が引き受けるのと同等の効果を生じさせることができる。実際、アメリカ連邦準備銀行(FRB)は約一.三兆ドルの米国債を購入し、米国政府の財政赤字を事実上引き受けた。日本政府がこのような方法を許すのであれば、日本の財政破綻は起こりえないと考えるが見解如何。
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財政危機のいつか来た道

菅内閣は「首相のクビと引き替えに予算を通してくれ」という話も出る政権末期だ。こんな内閣に財政再建ができるはずもないが、首相の首をすげかえても展望がないのは同じだ。こういうふうに果てしなく問題が先送りされる状況をみていると、1992年に不良債権の番組の取材をしていたころを思い出す。

当時、危ないといわれていた日住金が「当社は倒産状態」と書いた衝撃的な秘密報告書を出し、業界で流通していた。1兆円の債務超過という絶体絶命で、存続会社と清算会社をわけて清算する案をメインバンクが提案したが、大蔵省(寺村銀行局長)が握りつぶした。それが国会で表面化したのは4年後で、住専のメインだった長信銀がすべて消滅したのは10年後だった。

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スタグフレーションがやってくる?

スティグリッツが、スタグフレーションという懐かしいタイトルのコラムを書いている。アメリカではまだインフレ率は低いが、イギリスでは3.7%になり、今年中に4.4%まで上がると予想されている(インフレ目標を設定しただけでは物価をコントロールできないのだ)。イングランド銀行のキング総裁は、NYタイムズに「過剰な金融緩和でスタグフレーションを起こした」と批判されている。

日本では「FRBやイングランド銀行は果敢にバランスシートをふくらませた。日銀もやれ」と勇ましいことをいう向きがあるが、FRBは3倍、イングランド銀行は4.5倍に資産を増やしても失業率は改善しない。起こったのは過剰流動性による商品価格の高騰である。「デフレ不況」などとデフレと不況を混同する人がいるが、デフレは不況の結果であって原因ではないので、結果を変えても原因は変わらない。

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就活はハイリスク・ノーリターン

きのうのアゴラ就職セミナーの村上憲郎さんの話が話題になっているので、簡単に要点だけ紹介しておこう。

村上さんの話のポイントは、グローバルなビジネスの中では、もうほとんどの日本企業が終わっており、今からそこに入るのは「ハイリスク・ノーリターン」だということだ。グーグルから見るとどんな企業もだめに見えるのはしょうがないが、救いがたいのは当の日本企業に危機意識がなく、新卒一括採用などの古いシステムを漫然と続けていることだ。今こんな会社に入ると、人生を棒に振るリスクが高い。

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日本の政治には対立軸がない

きのうのアゴラ連続セミナーではハイエクの話をしたが、おまけで出した次の図に質問が集中した。
リバタリアン・リベラル・コミュニタリアン
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アゴラ就職セミナー3月「会社説明会では聞けない本当の就活情報」パート2

アゴラでは、就職や働き方についてアドバイスし、みなさんの疑問に答えるシリーズを行ないます。2月に続き、3月のシリーズでは就職活動から仕事をしながらのキャリアパス設計に至るまで、さまざまな業界のニーズに詳しい講師陣が最新の就職市場の動きを抑えながらわかりやすく解説します。求人を目的とした個々の企業説明会ではまず聞くことのできない人事採用の現場の本音や裏話、また質疑応答ではみなさんの個人的な相談に講師が直接お答えします。

今回も全4回の連続開催、お申し込みは1回ずつでも承ります。

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