2005年11月

中山素平氏

中山素平氏が亡くなった。GLOCOMの特別顧問だったので、たまに話すことがあった。私がRIETIに行くとき、「君のような曲がったことのきらいな性格では、役所なんて1年ももたないよ」といわれた。RIETIを辞めたあと、「3年もちましたよ」といったら笑っておられた。

去年の裁判のときも、一貫して私を応援してくださった。そのとき何度か話して、彼が「鞍馬天狗」といわれた所以がわかった。目の前の現象に右往左往せず、つねに大局を見ているということだ。結論を出すまでにはセカンド・オピニオンを聞いたりして慎重だが、いったん決めたらぶれない。

これは興銀が国策銀行だったころからのよき伝統だろう。目先の利害よりも「日本にとって何が大事か」という観点から考える。これは、大きな問題であればあるほど、なかなかできないことだ。だから90歳を超えてからも、政財界のトップがよく相談に来ていた。

新聞で、小林陽太郎氏がまるで中山氏の後継者のような顔をしてコメントしているが、彼は中山氏とは逆の経営者だ。騒ぎが起きると右往左往し、いったん決めた人事をひっくり返す。最近は断絶状態で、中山氏は「小林は閲兵式のときなどは見映えがするが、経営はだめだ」といっておられた。

インターネット・ガバナンスという「非問題」

チュニジアで行われていた国連のWSISは、幸い何も決めずに終わったようだ。中国などの主張する「インターネットを米国の独占にするな」という主張に、一時はEUが同調したが、結局「独占」の具体的な弊害は何か、という点で「国連派」の主張があやふやなため、今後は小規模な「フォーラム」で具体的な問題を話し合おうという形で、問題を先送りして終わった。

中国などの本音は、インターネットを政府の管理下において検閲しようということである。それを公式の場でいえないから、無内容な「独占の弊害」について延々と議論が行われてきた。こんな「非問題」を論じる場を(インターネットに何の権限もない)国連が開くのもおかしいし、そういうのに出て行くインターネット側のメンバーも不見識だ。こんなのはボイコットすべきだ。
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