植民地支配を永久に許さない儒教のエートス

韓国を蝕む儒教の怨念: 反日は永久に終わらない (小学館新書)
徴用工問題は、慰安婦問題より根が深い。韓国大法院は日韓請求権協定を踏み超え、日本の植民地支配が不法行為だったという根拠で日本企業の民事責任を認めたからだ。この論理に従うと、植民地ではすべての労働は奴隷のような強制労働だから、慰安婦も出稼ぎ労働者も、すべて日本に対する請求権をもつ。

これは本書も指摘するように、昔から韓国政府の方針である。1910年の日韓併合は日帝の侵略であり、それ以来ずっと韓国人は「抗日戦争」を戦い、1945年に勝利して独立を勝ち取ったというのが韓国の公式史観である。むしろ日韓基本条約はその国是に反する妥協であり、大法院判決は建国の理念に戻ったのだ。

国際法で「侵略」という概念ができたのは1928年の不戦条約だから、それを遡及適用して1910年の日韓併合を侵略と呼ぶことはできないが、儒教圏ではそうではない。国際法や条約より上位に儒教的な「天」があり、ここでは社会秩序は自然秩序と同じく絶対的なので、事実と価値の区別がない。法は人為的な制度だという考え方がないのだ。

続きは8月12日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

慰安婦問題は偶然から生まれた

毎年この季節になると慰安婦問題が出てくるが、今では誤解している人も多いので、リアルタイムの経験を記録しておくのも私の世代の責任だろう。私が偶然この問題が発生する現場に立ち会うことになったのは、NHK大阪放送局に勤務していた1991年夏のことだった。 毎年8月になると終戦記念番組をやることになっていたが、私は運悪くその担当に当たった。

そのころまで戦争の番組といえば、戦争がいかに悲惨かを当事者に証言させるものだったが、そういうネタは尽きたので、海外取材で目先を変えようということになった。そこで出てきたのが強制連行だった。これは朴慶植という朝鮮大学校の教師の造語で、彼の『朝鮮人強制連行の記録』によると、100万人以上の朝鮮人が官憲に連行されて日本で強制労働させられたという。これはどうみても誇張された数字だが、朝鮮人が徴用されたことは事実なので、その実態を韓国で調べてみようということになった。

このとき偶然、NHKに「慰安婦」を売り込んで来たのが福島瑞穂弁護士だった。これは戦時中に軍の慰安所で働いた娼婦の未払い賃金の問題で、韓国で高木健一氏などの弁護士がそれを請求する訴訟の原告を募集し、そのうち金学順という慰安婦が初めて実名で名乗り出たのだ。その訴訟の広報担当が福島氏で、同時に朝日新聞などにも売り込んだ。これを同僚が取材して、私の取材した強制連行と2日シリーズでNC9の企画ニュースにした。

920111だからもともと男の強制連行と慰安婦は別の話で、別々の担当者が取材していた。それを朝日が混同して、植村隆記者が慰安婦が軍に連行されたかのような記事を書いたが、当時は他社も似たようなものだった。戦争中の古い話で、強制かどうかなんて大した問題ではなかったのだ。それを結びつけて日韓の外交問題に昇格させたのが、1992年1月の朝日の記事「慰安所 軍関与示す資料」だった。

続きは8月12日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

徴用工って何?

あいちトリエンナーレに慰安婦像が出品されて問題になりましたが、この像は2011年にソウルの日本大使館の前に設置され、その撤去をめぐって8年越しでもめてきたものです。2015年の「慰安婦合意」で撤去が決まりましたが、韓国はその約束を守らず、要求をエスカレートさせています。

韓国の大法院(最高裁判所)は2018年に元「徴用工」の請求を認め、韓国内にある新日鉄住金の資産を差し押さえました。これに対して日本政府は半導体材料の輸出について韓国の優遇措置をやめ、日本と韓国の関係は国交正常化以来最悪ともいわれる状況になっています。これはなぜでしょうか?

続きはアゴラで。

韓国の「歴史のねじれ」が反日を生む

韓国 内なる分断: 葛藤する政治、疲弊する国民 (平凡社新書)
韓国に対する半導体材料の優遇措置解除が閣議決定された矢先に、あいちトリエンナーレでは慰安婦像をめぐる騒ぎが持ち上がった。 韓国は日本にとって政治的にも経済的にも重要な国ではないが、いつもネタを供給してくれる貴重な国だ。

普通は旧植民地と旧宗主国は仲よくなるものだが、韓国の軍事政権が「日帝に対する独立戦争に勝利した」という建国神話をつくったため、歴史がねじれてきた。1970年代までは北朝鮮が朝鮮半島の優等生であり、韓国は腐敗した軍事政権の国とみられていた。 朴正熙のような独裁者に対して民主勢力が戦い、政権は彼らを「北のスパイ」として摘発したが、日本の革新勢力は民主化運動を支援した。

この構図が民主化後も残っている。政治的には日本と同じ西側だが、民族的には北朝鮮と同じだという分断国家に特有のねじれが、保守派と左派の南南葛藤を生んだ。保守派は朴槿恵大統領のように軍事政権や「親日」の系統を引き、アメリカや日本と友好関係を保とうとするのに対して、金大中大統領から文在寅大統領に至る左派には北朝鮮の工作員が入り込み、「反日」を前面に出す。

続きは8月5日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

慰安婦像は「表現の自由」の問題ではない

あいちトリエンナーレの展示が論議を呼んでいる。名古屋市の河村市長は「平和の少女像」の展示中止を愛知県の大村知事(トリエンナーレ実行委員長)に要請し、これを受けて愛知県は少女像の展示を中止する方針を固めたようだ。

平和の少女像(産経新聞より)

続きはアゴラで。

イトマン事件は「失われた10年」の始まり

住友銀行秘史
日本の戦後史は、1990年を境に大きく変わった。それを象徴するのがイトマン事件だった。90年10月に住友銀行の磯田会長が辞任したとき、それは山口組の企業舎弟による単純な詐欺事件と思われたが、そうではなかった。同じような不良債権問題(当時はそんな言葉もなかった)が、全国で発生していたのだ。

1989年の1年間に、尾上縫は延べ1兆2000億円を借り入れ、すでに債務超過になっていた。住友はイトマン事件をきっかけに全国の不動産融資を見直していち早く撤退したが、興銀はその後も融資を増やし、黒沢頭取は1991年8月に尾上と面会した。その直後に尾上は逮捕された。

本書を読み直してみると、住友は早い時期から事態を察知していたことがわかる。1990年3月の段階で磯田は「ヤクザがからんでいる」と認識し、「どのくらいくれてやって別れるかがポイント」と割り切って処理しようとしていた。本書の著者(当時のMOF担)は大蔵省の介入を求めて内部告発の手紙を出すが、大蔵省の動きは鈍かった。

致命的な失敗は、1990年11月に住友がイトマンの会社更生法申請を決め、大阪地裁に書類まで出したのに、大蔵省が直前で止めたことだった。理由は「地方銀行などに取り付けが起こったら、いつシャッターを下ろし、どうやって預金を払い戻すのか、預金保険法の手順が決まっていない」ということだった。あのとき会社更生法でイトマンを整理していたら改革が早まり、「失われた10年」はなかったのではないか、と著者はいう。

続きは8月5日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

「弱者」を政治利用して税金を食い物にする人々

臨時国会が召集された。注目が集まっているのは、れいわ新選組の2人の重度障害者の議員だ。彼らは重度障害者の介護費用をすべて国が負担する制度改正を求め、それが決まらない場合は国会に出ないとも発言していたが、そんな改正が簡単にできるはずがない。参議院は当面の措置として国費による介助を決めた。

重度訪問介護には公的助成があり、介助者のコストは1割負担だが、就労中は「雇用者」が負担するルールになっている。今回は参議院が雇用者負担を建て替えた形だが、参議院は国会議員を雇用しているわけではない。費用を負担すべきなのは、彼らを「特定枠」で当選させたれいわ新選組である。

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不良債権はどう処理すればよかったのか

バブル経済事件の深層 (岩波新書)
バブル崩壊は、私の世代の戦争体験のようなものだ。あの前と後で、日本はすっかり変わってしまった。1990年ごろまで世界中が日本の成功を賞賛し、その脅威を恐れていたが、90年代にその評価は180度変わり、日本は嘲笑の対象になった。その原因はバブル崩壊ではなく、その不良債権処理に10年以上かかり、企業が萎縮してしまったことだ。

ではどう処理すればよかったのだろうか。結果論で歴史的なifを議論してもしょうがないが、バブル崩壊や金融危機は、また必ずやってくる。あえて結果論で、当時どうすればよかったか考えてみよう。

本書に出てくる事件を見て気づくのは、銀行が不良債権を処理し始めた時期は意外に早かったということだ。長銀の破綻の原因になったEIEが銀行管理になったのは1990年12月、日債銀が関連ノンバンクの財務内容を調査する「特別スタッフ」を審査室に設けたのは1991年1月である。本書は扱っていないが、イトマン事件で住友銀行の磯田一郎会長が辞任したのは1990年10月だった。

しかし大蔵省や日銀の対応は周回遅れだった。日銀が公定歩合を6%に上げたのは、1990年8月。これが銀行の資金繰りを悪化させた。このとき逆に公定歩合を下げて流動性を供給すれば、銀行が早めに不良債権を処理できたはずだが、「平成の鬼平」と賞賛された日銀の三重野総裁は最高水準の金利を1年間続けた。

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日韓問題の本質は「請求権協定」ではない

「徴用工」訴訟をめぐって外務省は、日韓請求権協定についての交渉過程の外交文書を公開し、菅官房長官は「韓国にあらためて国際法違反の状況を是正するよう求める」と強調した。

この外交文書はまだネットに出ていないが、そのコアとなる韓国の「対日請求要綱」は以前から外務省が情報公開請求に対して公開しており、Wikisourceにも出ている。重要なのは次の部分である。
第5項 韓国法人又は韓国自然人の日本国又は日本国民に対する日本国債、公債、日本銀行券、被徴用韓人の未収金、補償金及びその他の請求権の弁済を請求する

続きはアゴラで。

日本中を「バリアフリー」にするのは不合理だ

アゴラは自由な言論の場である。明らかな事実誤認などの不適切な発言を除いて、どんな意見を表明するのも自由だし、それは編集部の見解でもない。早川忠孝さんの「国会議員の介助の費用は、れいわが持つべきじゃないかな」という意見は、最近の国会で行われている議席改修の工事を見た素直な感想だろう。

それを批判するのも自由だが、山田肇さんの「早川氏の主張は障害者差別」という決めつけには根拠がない。「障害者差別解消法は障害者への合理的配慮を求めている」というが、その合理性の基準は誰が決めるのか。

続きはアゴラで。






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