「マイルドなインフレ税」は可能か

今年は安倍政権の経済政策が完全に行き詰まり、「インフレ税」が出てくる可能性がある。もちろん露骨にいうと反発をまねくので、出てくるのは政府と日銀の協調だろう。これ自体は正しい。国債の4割、ETFの6割を日銀が保有する日本経済は、実質的に「国有化」されているので、日銀のやっている財政政策をルール化する必要がある。

日銀の出口戦略にも、政府の協力が必要だ。黒田総裁は「政府が財政規律を守ることが重要だ」というが、これは逆である。インフレ税で政府債務を減らすには、政府は財政規律を守らないというコミットメントが必要だ、というのがSimsの提言である。
What is required is that fiscal policy be seen as aimed at increasing the inflation rate, with monetary and fiscal policy coordinated on this objective. In Japan, this might be achieved by explicitly linking planned future increases in the consumption tax to hitting and maintaining the inflation target.
「消費税の増税とインフレ目標を明示的にリンクする」というのは、たとえば「インフレ率が継続的に2%になるまで増税を延期する」という約束だ。これは財政赤字とインフレ率の関係が線形で、たとえば財政赤字が1割増えるごとにインフレ率が1%上がる、というような関係があることを前提にしているが、Del Negro & Simsのシミュレーションによると、そういう関係は必ずしも成り立たない。それをコントロールすることは可能だろうか?

続きは1月9日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

「安楽死」する日本

item-0087明けましておめでとうございます。今年も年賀状は出さないので、ブログでまとめてごあいさつ。
門松は冥土の旅の一里塚 めでたくもありめでたくもなし(一休)
このごろ知人の訃報を聞くことが増えました。日本経済も成長もインフレも起こらず、ゆっくり「安楽死」するようにみえます。こういう長期停滞は先進国に共通の現象で、人口減少の始まった日本はそのトップランナーです。
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岸信介の「戦時レジーム」は来年も続く

今年は安倍首相も「アベノミクス」という言葉を使わなくなったが、3期目をやるには憲法改正では票が取れない。手詰まりになった彼が次にやるのは、たぶん消費増税の中止(あるいは減税)だろう。浜田宏一氏も公然と、政府債務をinflate awayするインフレ税を提言している。

それが戦時経済で起こったことだ。東條英機もヒトラーも戦時国債で戦費を「前借り」して、戦後にインフレで踏み倒した。安倍首相の祖父は、東條内閣の商工相として日米開戦を決定した御前会議に出席し、開戦詔書に署名した。岸が戦犯として起訴されなかったのは、その優秀な頭脳とすぐれた政治手腕が、GHQにとって利用価値があったからだ。

続きはアゴラで。

電通を呪縛する「空気」の正体

電通の石井社長が辞任を表明した。いうまでもなく過労自殺事件が書類送検された責任をとったものだが、過労自殺は労災認定されただけで毎年200人いる。この程度の長時間労働は、マスコミにも霞ヶ関にもあるので、原因は長時間労働だけではない。それを役所が規制しても、日本の会社の「空気」が変わらない限り、長時間労働はなくならない。

続きはアゴラで。

ハル・ノートという「外圧」が意思決定を可能にした

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安倍首相の真珠湾訪問について、世界でいろいろな論評が出ている。日米の歴史学者からの公開質問状はいつもの糾弾調だが、ちょっとおもしろいのは安倍首相が事務局長代理をつとめた1994年の「終戦五十周年国会議員連盟」の結成趣意書についての指摘だ。

続きはアゴラで。

財政タカ派は正義の味方か

きのうの朝日新聞の香川俊介・元財務次官の記事が、ちょっと話題になっている。彼はかつて小沢一郎氏の側近として知られ、『日本改造計画』の編集長だったが、昨年8月、食道癌で死去した。彼の追悼文集『正義とユーモア』で、小沢氏が「香川氏が事務次官になって心の荷が下りた」と書いたという。

続きはアゴラで。

資本主義より「ましな経済システム」はあるのか

株式会社の終焉
水野和夫氏のメッセージは、一貫して「反成長」である。これは成長が鈍化するという事実認識だけでなく、成長を追求すべきではないという価値観も示している。私は前半には同意するが、後半には賛成できない。

今の世界経済の成長は新興国に依存しており、そのキャッチアップが終わると成長率は低下するだろう。それは多くの経済学者が予想しているが、水野氏は「より速く、より遠く、より合理的に」という資本主義の原理をやめるべきだという。

やめてどうするのか、という問いに具体的な答はない。「それは前向きの話ではない」という批判には、あとがきで「それがどうかしたのか」と反問して「コペルニクスも前向きの解決策を示さなかった」というが、これはおかしい。コペルニクスは天動説に対して地動説という理論を出したのだから、水野氏も(少なくとも理論的には)資本主義よりましな経済システムが存在すると証明しない限り、やめたら社会主義のような地獄になるだけだ。

続きは12月26日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

ポピュリズムの創始者ルソー

社会契約論/ジュネーヴ草稿 (光文社古典新訳文庫)
ルソーは「フランス革命を生んだ近代民主主義の創始者」として知られているが、本書を読むと、どこが民主主義かわからない。本書の中心概念である一般意志は意味不明な言葉で、普通の民主制のように選挙で選ばれる代表ではない。そもそも「社会契約」は対等な契約ではなく、「一般意志への服従を拒む者は、団体全体によってそれに服従するように強制される」。

一般意志は、ルソーのイメージではジュネーブのような都市国家の独裁者で、直接民主制で選ばれるとも解釈できるが、多数決で決まるわけではない。バートランド・ラッセルは『西洋哲学史』で「ヒトラーはルソーの帰結であり、ルーズベルトやチャーチルはジョン・ロックの帰結である」と酷評した。ルソーは、ポピュリズムの創始者なのだ。

続きは12月26日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

孫正義氏の政治的に正しくないイノベーション

ダウンロードアゴラにも書いたが、日本経済の問題がデフレなどの需要側ではなく、供給側の生産性であることは今や明らかだ。生産性を上げることに反対する人はいないので、これは政治的に正しい。

逆にいうと、できることはすでにやっている。「イノベーション」は役所の大好きな言葉だし、「働き方改革」も安倍政権が掲げたが、結果は出ていない。安全運転で、コンセンサスの得られることしかやらないからだ。では生産性を大きく上げる方法は、まだ残っているだろうか?

残っている。空気を読まないで、役所の「指導」や業界の「慣例」を踏み越えることだ。これは政治的に正しくないが、その最高の成功モデルが孫正義氏である。

続きは12月26日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

石破茂氏の「日本経済の伸びしろ」

center>石破氏(アゴラシンポジウム)

きょうのアゴラシンポジウムでは、自民党の石破茂氏をゲストに迎えて農業の可能性を考えた。その内容は木曜の夜8時からニコ生の「言論アリーナ」で放送するが、彼のキーノートのさわりを紹介しよう(3人も来ていた番記者の参考になるかもしれない)。

続きはアゴラで。






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