西浦博氏の「8割の接触削減」という本末転倒


ネット上にこういう言説が増えてきた。安倍首相が緊急事態宣言で引用した西浦博氏の「8割の接触削減」は専門家会議の見解ではないが、「東京の感染者数が30日後に毎日6000人になる」というショッキングな予想と「接触を80%削減すれば感染はゼロになる」という劇的な効果を予言したからだ。

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新型コロナで日本に説教するアメリカ中心主義

NYタイムズのモトコ・リッチ記者が、安倍首相の緊急事態宣言を「遅すぎ、弱すぎる」と批判している。ご親切なことだが、アメリカの死亡率(100万人あたり死者)は39人、日本は0.7人。優等生が劣等生に教えてもらう必要はない。

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各国の感染率(札幌医科大学)

NYタイムズだけでなく「日本はこれからアメリカのようになる」とか「クオモはすごいが、安倍は無能だ」という話が海外在住の日本人に多いが、それは逆である。上の図でもわかるように、日本で患者が増え始めたのは2月中旬だが、アメリカでは3月上旬。ほぼ1ヶ月遅れで流行が始まり、アメリカが日本を追い抜いたのだ。

この原因は単純で、アメリカの検査体制の立ち上がりが遅かったことだ。日本の感染者が増えない一つの原因はPCR検査が増えないことだったが、検査が増えてもあまり変わらない。これは中国や韓国も似ており、死亡率は明らかにヨーロッパよりアジアのほうが低い。

この原因はBCGの効果だけでなく、アジアの中で昔から人的交流が多く、免疫ができていた可能性もある。日本にウイルスが入ってきたのも、昨年末からだったと思われる。アメリカでは今ウイルスが増えているが、日本はすでに増えたウイルスを検査で発見しているので、今からアメリカの後を追うことは考えられない。

続きは4月13日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

安倍首相は「緊急事態ギャンブル」に勝てるのか



きのうの安倍首相の記者会見は、5月6日までの緊急事態宣言を発令するものだった。これ自体は予想どおりだが、その内容は今までの曖昧な会見とは違って数字が入っていた。

事態は切迫しています。東京都では感染者の累計が1000人を超えました。足元では5日で2倍になるペースで感染者が増加を続けており、このペースで感染拡大が続けば、2週間後には1万人、1カ月後には8万人を超えることとなります

これは本当だろうか。

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新型コロナ対策は「平和憲法」の精神で

政府は7日にも、新型インフル特措法にもとづく緊急事態宣言を出すようだ。これによって都道府県知事は法的な自粛要請ができるようになるが、罰則はないので不連続な変化が起こるわけではない。

問題は「緊急事態」という概念にある。これは戦争のような「非常事態」をモデルにしたものだが、ウイルスとの戦いは主権国家の戦争とは違い、ゲリラ戦に近い。それもほとんど無限にいる目に見えないゲリラである。

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東京が「感染爆発」しても医療は崩壊しない

きょう東京で新型コロナの感染者が新たに143人確認され、「感染爆発だ」とか「第2波が来た」とか、マスコミは大騒ぎになっている。確かに図のように(きのうまで)東京都の新規感染者数(PCR検査の陽性確認数)は1週間で2倍ぐらいのスピードで増えており、局地的な感染爆発が起こる可能性がある。

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東京都のコロナ感染確認数(東京都調べ)

ところが重症患者数をみると全国でも毎日2~5人、東京では0~1人しか出ていない。その結果、重症患者は全国の累計で69人、東京では22人である。これに対して重要な人工呼吸器は、全国で3000台以上確保されている。それを使うスタッフの人手不足などの問題はあるが、今のところ医療資源がボトルネックになる状況ではない。

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コロナの重症患者数(厚労省調べ)

これは日本だけの現象ではなく、アジアや東欧ではコロナによる重症化率も共通して低い。つまりコロナに感染しても重症化しないメカニズムが免疫機構にそなわっていると思われる。その有力候補がBCGだが、もしこの仮説が正しいとすると、これから東京で感染爆発が起こっても医療が崩壊するおそれはない。重症患者はそれほど増えないからだ。

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東京都に「緊急事態宣言」は必要か


ネット上では、安倍首相が新型インフル特措法にもとづく「緊急事態宣言」を出し、小池都知事が東京都でロックダウンをやるという噂が流れている。そういう噂はこれが初めてではないが、今回は専門家会議の中核メンバーである西浦博氏が日本経済新聞で見せたシミュレーションが、いろいろな憶測を呼んでいる。

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BCG接種は本当に新型コロナに有効なのか

今週になってBCGをめぐる議論がネット上で沸騰しているが、誤解も多いので、私が理解した範囲で事実を確認しておく。

まず「BCGの医学的な効果が確かめられたわけではない」というのは本当である。今のところ、BCG接種を義務づけている国の新型コロナ死亡率が低いという疫学的な相関関係しかない。これはBCGの種類によっても効果が違うようだ。

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この地図は世界で実施されているBCG接種の種類を示したものだが、日本株(水色)・ロシア株(青)・ブラジル株(紫)の地域の死亡率が低く、デンマーク株(黄色)の国の死亡率が高い。赤は複数の種類、灰色は独自の株を使っているが、イランは死亡率が高く、隣のイラク(日本株)は低い。

これをBCG接種の人口比との相関でみると、次の図のように接種率の高い国は死亡率が低く、接種率の低い国は死亡率が高い。特に全国的なBCG接種を実施したことのないイタリアと、16年間しか実施しなかったスペインの死亡率が極端に高い。

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BCG接種率(WHO調べ)とコロナ死亡率

ただし医学的な因果関係はわからない。これは世界中で研究が始まっているが、BCGがコロナの抗体をつくるのではなく、多くの感染症に共通する(非特異的な)自然免疫の能力を高める作用があるらしい。

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ロックダウンは感染爆発のリスクを高める

「4月1日にロックダウンが出る」という噂はフェイクだったが、いまだに「徹底的なロックダウンでウイルスを根絶すれば経済も正常化する」という主張がネットを駆けめぐっている。私のTLにもそういう誤解が多いので、繰り返し説明しておく。

まず「ウイルスを根絶する」という考え方が間違っている。天然痘やペストのような意味で、新型コロナウイルスをゼロにすることはできない。一定の数のウイルスが国内にいることを前提にして対策を考えるしかない。そのとき目標となるのはウイルスの根絶ではなく、感染の拡大を止めることである。

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ロックダウンよりBCG接種の試験を



きのうの小池都知事の記者会見は「ロックダウン」の宣言だという噂もあったが、結果的には中身のない話だった。そのとき専門家会議のメンバーである西浦博氏が記者会見で抗体検査に言及した。抗体検査は「感染者の全体像を把握するために必須」だとのことなので、専門家会議も早急に実施を提言してほしい。

厚労省の統計で致死率(死者/感染者)が高いように見えるのは、分母の感染者が少ないからだ。これは去年末から感染が始まって年1月末までに免疫を獲得した(今はウイルスのない)人を見逃している可能性があるので、抗体検査をすればわかる。

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新型コロナについての仮説をSIRモデルで検証する

日本の新型コロナ死者が驚異的に少ない原因として私の仮説は、
  • 感染が昨年末から始まり、一部の日本人がすでにコロナの免疫をもっている
  • 日本人の感染したコロナウイルスは(BCGの自然免疫で)毒性が弱い
という二つだが、これを感染症のSIRモデルで検証してみた。これは非感染者(susceptible)、感染者(infected)、治癒者(recovered)の数を微分方程式で数値シミュレーションするもので、新型コロナについても多くのモデルがあるが、米山隆一氏が公開しているシミュレーターが便利だ。次の図は米山氏のシミュレーターで基本再生産数を2.5として感染者数の動きを見たものだ。

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感染者数(右軸・万人)と治癒者数(左軸・万人)の推移

感染開始から104日後に(累積)感染者数が2930万人でピークを打ち、治癒者(免疫をもっている人)が4679万人になる。このとき致死率0.001%とすると、死者は46人になる。感染開始が昨年末だとすると、今がこの状態である。最終的には約1億1000万人が免疫をもつ集団免疫状態で安定する。

このモデルの特徴は、致死率を非常に低く設定したことだ(2009年の新型インフルぐらい)。これはBCG接種による「自然免疫」ができているため、感染によるダメージが少ないと仮定した(そう考えないと異常に少ない死亡率は説明できない)。SIRモデルは単純なモデルなので、これで十分説明できるとは思えないが、仮説は明確になった。続きを読む









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