日本経済を破壊するのはコロナウイルスではなくコロナ脳

日本経済は危機だが、ここから脱却することは原理的にはむずかしくない。今回のコロナ不況は100%行政の介入による自粛や休業要請で作り出されたものだから、行政が介入から撤退すれば不況も終わる。問題は撤退が政治的にむずかしいことだ。


世界各国の「コロナ恐怖度」(YouGov調査)

これは各国のネット世論調査で「コロナ感染が恐い」と答えた人の比率だが、4月から日本がほぼ一貫して首位で、80%近い人が「非常に恐い」または「かなり恐い」と答えている。

続きはアゴラで。

新型コロナは「一類相当」の感染症に格上げされた



新型コロナを指定感染症から外せという議論が、国会でも出てきた。維新の梅村さとし議員が「指定を解除してはどうか」と質問したが、加藤厚労相は「検討していない」と答弁した。

今まで厚労省はコロナを感染症法の「二類相当」と説明していたが、東京脳神経センターの川口浩氏によると、2月に一類相当に格上げされたという。指定感染症は一類とか二類とかいう分類とは別のカテゴリーだが、次の表のように感染症法では「無症状病原体保有者への適応」は一類だけだ。これはエボラ出血熱やペストと同じである。

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ところが2月13日の対策本部のガイドラインでは、「無症状病原体保有者は対象となっていないが、感染拡大防止のため、無症状病原体保有者にも入院を要請」と書かれている。このため検査で陽性になると無症状でもすべて入院させることになり、これが全国でベッドがあふれる原因になっているのだ。

続きは8月24日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

国民全員PCR検査がもたらす「例外状態」

最近コロナ脳はめっきり減ったが、その残党が「国民全員PCR検査」を主張している。たとえば「54兆円で全国民に毎週PCR検査」を提言していた小林慶一郎氏は「9月末までに10万件に検査能力を増やせ」と後退したが、いまだに検査の拡大で人々が安心して経済が回ると主張している。

これは逆である。職場に検査陽性者が出ると、その個人が排除されるだけでなく、関係者全員が検査され、職場が閉鎖され、会社が謝罪する。飲食店の客が陽性になっただけで営業停止になり、閉店を強いられる。人々が恐れているのは、こういうケガレなのだ。

このように個人を通常の社会から排除する例外状態がロックダウンの本質だ、とアガンベンは批判している。カール・シュミットが「主権者とは例外状態について決断する者だ」と定義したとき、彼が想定していた例外状態は戦争だったが、それ以外にも例外状態は遍在する。

ナチスがユダヤ人を強制収容所で600万人虐殺したとき、それは何の立法もない例外状態だった。それがシュミットの主権理論の必然的な帰結だ、とアガンベンは『例外状態』で論じたが、そういう状態がロックダウンで世界に広がっている。

日本の自粛も、ゆるやかなアウシュヴィッツである。そこには法律も裁判もない。検査で陽性になった者はケガレとして排除され、マスコミのさらし者になる。1日10万人検査しても国民全員やるには3年半かかり、ワイドショーは毎日、不安をあおるネタを供給してもらえる。それが彼らが国民全員PCR検査を要求する理由である。続きを読む

最高の経済対策は自粛をやめること



動画こども版は「大人でもわかりにくい」と評判が悪いので、記事で補足しておきます。日本のGDP(国内総生産)が「年率マイナス27.8%」という数字は戦後最悪ですが、これは今年のGDPが3割近く減るという意味ではありません。今年1~3月期に比べた4~6月期のGDPはマイナス7.8%です。

続きはアゴラで。

遺伝と文化の共進化

文化がヒトを進化させた―人類の繁栄と〈文化-遺伝子革命〉
獲得形質は遺伝しない、というのは中学生でも知っている進化論の鉄則である。技術が遺伝するなどというと頭がおかしいと思われるだろうが、本書はそういうトンデモではない。著者はハーバード大学の進化生物学教授である。

ヒトの消化器は、霊長類の中でも特徴的だ。口の大きさはリスザル(体重1kg)ぐらいしかなく、歯も貧弱で生肉を噛み切れない。胃の表面積は体重が同じぐらいの霊長類の1/3しかなく、大腸も6割ぐらいしかないので消化能力が劣っているが、小腸の長さは他の霊長類と同じだ。

それはなぜだろうか。本書の答は、ヒトが道具や火を使う技術を学んだからだというものだ。特に火を使って大型動物の肉を焼いて柔らかくできたので、胃や大腸は小さくなった。しかし栄養分を吸収する小腸の機能は柔らかくなっても同じなので、短くならなかったのだ。

これは他の動物にはみられない特徴である。蟻や蜂が巣をつくる技術は遺伝によるものだから、一部の個体を他の場所に移しても、同じように巣をつくることができる。ところがヒトにはそれができない。現代人が無人島に残されると、動物を捕獲も調理もできないので餓死してしまう。

ヒトが石器を使うようになったのは300万年ぐらい前といわれるので、そのころから技術が人体の形を変えたと考えられる。これは獲得形質が遺伝したわけではないが、文化が遺伝形質の淘汰に影響を与えたことを意味する。そういう例は本書に多くあげられているが、そのうちもっとも重要なのが脳の機能である。続きを読む

自粛から撤退して経済を正常化するとき

内閣府が発表した今年4~6月期のGDP速報値はマイナス7.8%、年率換算でマイナス27.8%となった。これはリーマン・ショック後のマイナス17.8%を超える戦後最大の落ち込みである。緊急事態になっているのは日本経済なのだ。

新型コロナの患者は東京では一段落したが、感染が全国に広がり、今月いっぱいは重症患者も増えるだろう。それは大した問題ではない。医療資源の制約に収まるかぎり、患者が増えてもいいのだ。

これを集団免疫戦略と呼んで「集団免疫は実現しないのでだめだ」というのは間違いだ。これは米CDCが2007年に出したガイドラインでも示されているcommunitiy mitigationという世界標準の考え方で、WHOも採用している。



続きはアゴラで。

消費税の減税より「マイナス金利の拡大」を

国民民主党が分裂することになった。立憲民主党と何が違うのかよくわからないが、玉木代表が強調するのは「消費税減税」である。そういう声は自民党の中からも出ており、安倍首相が秋に消費税減税を争点にして解散・総選挙をやるという観測もある。

これは政治的にはありうる。今はコロナ自粛で景気が大幅に落ち込んでおり、追加の景気対策が必要だ。給付金を何度も出すわけにも行かないので、減税するなら誰でも知っている消費税が心理的な宣伝効果は大きい。



しかしマクロ経済的には、これはナンセンスである。図のように今年度は2次補正予算を含めて100兆円近い新発債が発行され、3次補正を含めると300兆円を超えると予想される。この史上空前規模の国債は市場で消化できないので、こういうとき減税を約束すると、金利が上がるおそれが強い。

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コロナ対策の決め手は「指定感染症」の解除

「国民全員PCR検査」を提言して批判を浴びた小林慶一郎氏が、同じく政府のコロナ対策分科会のメンバーになった大竹文雄氏とともに、東洋経済オンラインで「重症ベッドを増設せよ」と提言している。
今年4~5月の自粛と休業によって年間で日本の経済成長率はおおよそ5%程度低下したと考えられる。[…]これから病床が逼迫して、緊急事態宣言の再発出という事態になれば、4~5月のように経済活動が萎縮し、10兆円規模の経済損失が発生することになる。

この10兆円の経済損失を防ぐために、1兆円かけて重症ベッドを増やしても元がとれるというのだが、この計算はあやしい。

続きはアゴラで。

集団免疫って何?

最近、新型コロナの感染者が増える一方、死者はあまり増えないので、日本はこのまま集団免疫をめざせとか、指定感染症の指定をやめたほうがいいという声が聞こえてきます。

集団免疫のしくみはむずかしいのですが、簡単にいうと感染が広がって、集団の中で免疫をもつ人が増えると、感染しにくくなるのです。

たとえば100人の集団で1人がまわりの2人にうつす病気だと、その2人が2人ずつうつすと4人、さらに8人…とネズミ算で感染が増えていきますが、50人が感染すると、それ以上は増えません。ある人が2人にうつしても、そのうち1人は免疫をもっているからです。

このように感染がゼロになるのではなく、1人が1人にうつす状態が集団免疫です。これが成り立つと、感染は収束します。図のように免疫をもった人が「防護壁」になって感染していない人を守り、ウイルスが減っていくからです。


酪農学園大学ホームページより

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国家は「集団免疫システム」だった

反穀物の人類史――国家誕生のディープヒストリー
人類の歴史の最大の岐路は、紀元前1万2000年ごろ始まった定住生活である。これによって農耕で生活が安定し、豊かになったと思われているが、最近の考古学調査はこの通念を否定している。農耕が始まったのは紀元前9000年ごろだが、大部分の人類は狩猟採集で生活していた。この時期の農民の人骨は狩猟民より小柄で、食糧が不足していたことを示している。

移動生活では4年に1人子供が産まれたのに対して、定住生活では2年に1人子供ができたといわれるが、これだと人口は数十年で倍増するはずだ。ところが紀元前1万年前に400万人だった人類の人口は、紀元前5000年には500万人になっただけと推定されている。なぜ定住で人口は増えなかったのだろうか。

その最大の原因は感染症だった、と本書は推定する。定住生活では感染者と一緒に住み、排泄物や死体も蓄積するので、誰かが感染すると集落が全滅するリスクが大きい。そういう人口が突然消滅した遺跡が、数多く見つかっている。定住の始まった新石器時代初期は、人類史上もっとも死亡率の高い時期だったという。

ところがそれ以降の5000年で人類の人口は20倍の1億人に増え、その後も同じペースで増え続けた。これは人類が感染症を克服したからではなく、感染しても全滅しないシステムを発見したからだ。数百人の集落は感染症で全滅するが、数十万人集まれば、数万人死んでも、残った人々で集団免疫ができる。それが国家だった。続きを読む








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