「世代間格差」は問題ではない

ネットでちょっと話題になっている厚生労働省の年金マンガを読んでみた。厚労省の「100年安心」という公式見解をマンガにしたもので、「世代間格差」の章では「受け取る年金に差があったとしても、それだけで若者が損とは言えない」という。

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世代会計でみると、今のゼロ歳児の(税・社会保険料の)正味の負担は、今の60歳の世代より生涯所得で約1億円多い。この計算は厚労省も認めるが、年金は金銭の損得ではないという。親の世代が稼いで相続財産やインフラを残すので、若者は損していないというのだ。このマンガのように若者が納得したら、年金問題はすべて解決である。

続きは5月15日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

国債が下落してもリフレ派は困らない

ニューズウィークで、リフレ派の野口旭氏が「国債が下落しても誰も困らない」という。確かに金利が上がって日銀が損しても、得した売り手が必ずいる。私が野口氏から1億円借金して踏み倒しても、社会全体で合計すると、彼が1億円損して私が1億円得するゼロサムの所得移転にすぎない。

続きはアゴラで。

所得政策の時代がやってくる?

IMFは昨年の対日審査報告書でアベノミクスの失敗を宣告し、その「再起動」(reload)を求めた。金融政策も財政政策も行き詰まった今、残るのは政府がコストプッシュ・インフレを起こす所得政策だ、というのが彼らの勧告である。賛成する経済学者はほとんどいないが、おもしろいので紹介しておこう。

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IMFワーキングペーパーによれば、図のように失業率が下がる一方で人手不足(vacancy rate)が増え、労働市場のミスマッチが強まっている。人手不足になったら賃金が上がるはずだが、実質賃金は上がらない。正社員の不足を低賃金のパートタイマーで埋めるので、失業率は下がるが平均賃金は上がらない。このため消費需要が低迷して経済が停滞する「コーディネーションの失敗」が起こっている。

失業率が欠員率(人手不足)と等しい45度線との交点を均衡状態と考えると、1980年代までは低失業・低欠員の「よい均衡」だったが、90年代には高失業・低欠員の「悪い不均衡」になり、2010年代には中失業・中欠員の「悪い均衡」になった。これをよい均衡に戻すには、政府が最低賃金を引き上げるなどの「ビッグプッシュ」が必要だ、というのがIMFの提言である。

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わかっていたはずのシャープの失敗

シャープ「企業敗戦」の深層
かつて「亀山モデル」で世界のブランドになったシャープが、あっけなく破綻した原因は、本書によると簡単である。亀山工場は「時代遅れの垂直統合」だった。それが成功したので、さらに大規模な堺工場をつくったが、世界は「モジュール化」の時代になっていたので、コストが高くなってサムスンとの競争に負けた。

驚くのは、2002年の『モジュール化』が参考文献として引用されていることだ。これは1997年に私が『情報通信革命と日本企業』で提案した概念だから、とっくにわかっていたことだ。これを経営学者が「組み合わせとすり合わせ」というナンセンスな話にすり替えたが、問題の本質はモジュール化ではなく分業構造の変化である。日本の半導体産業がだめになったのは、ファブレスとファウンドリーに専門分化した国際的な水平分業に適応できなかったからだ。

最大の失敗は、2007年に堺工場で生産能力を倍増させたときから、2011年まで地デジの駆け込み需要で液晶テレビの国内売り上げが激増し、その終わった2012年に80%も減ったことだ。これは必要もないのにVHF帯の電波を2011年に止めた総務省にも責任があるが、それも最初からわかっていたことだ。なぜ過剰投資を止められなかったのだろうか?

続きは5月15日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

世界一ファンタスティックな投資対象

安倍首相が2019年10月の消費税増税を再々延期するとすれば、7月の都議会選挙(衆議院とダブルかもしれない)の前に発表するだろう。そのとき債券市場はどうなるだろうか。次の図は、Zerohedgeの紹介しているAlbert Edwardsのデータだ。

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30年物の日本国債は年次でみると2007年から一度も値下がりしたことがなく、15年間で1.8倍に値上がりした世界一ファンタスティックな投資対象である。かつての「土地神話」のようなものだが、この神話はいつまで続くだろうか?

続きは5月8日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

既得権としての「平和憲法」の終わり

JBpressにも書いたように、安倍首相の憲法改正案は実質的には安保法制による解釈改憲の追認で、ほとんど「公明党案」ともいうべきものだ。これは従来の自民党案とはまったく違うので党内でも当惑が大きいようだが、よく考えられた案だと思う。

続きはアゴラで。

土地稀少化と勤勉革命

土地希少化と勤勉革命の比較史―経済史上の近世 (MINERVA人文・社会科学叢書)
日本人の土地生産性は世界一だ。これは江戸時代に過剰人口を消化するために、労働集約的な農業で稀少な土地の生産性を上げた勤勉革命の伝統だと思われる。ここでは「現場」が重視され、土地の利用効率は高いが労働生産性は低く、サラリーマン経営者と労働者の労使共同体を守って株主を犠牲にする。

他方、数百の都市国家が激しい戦争を繰り返していた西洋では、都市の限られた人口を資本集約的な技術で補って稀少な労働を節約する産業革命が起こった。もっとも重要なのは軍事技術で、戦争に勝つという目的に最適化してシステム化する必要があったため、西洋の工場のモデルは軍隊だった。

続きは5月8日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

安倍首相は消費増税をまた延期するか

安倍首相が2020年に憲法改正を施行するという方針を出したことは、今後の財政運営にも影響するだろう。少なくとも国民投票の行われる2019年中は、景気は後退してはいけない。日銀の出口戦略は封印され、2019年10月に予定されている消費税の増税がまた延期される可能性も出てきた。

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この図はOECDの描いた動的ラッファー・カーブである。これは昔のラッファー・カーブに、FTPLで財政の破綻確率を入れたものだ(Bi-Leeper)。図の税率t*で(確率的な)プライマリー黒字が最大化され、それより税率が高いと黒字は減る(赤字が増える)。

日本経済がt*の右側にあると、増税で税収が減るというパラドックスが起こる。かつてリフレ派やネトウヨはそう主張し、首相もそれに賛成していたが、消費税率が上がって税収は大きく増えた。したがって日本経済は図の左側にあるが、ここで増税すると財政は再建できるだろうか。

続きは5月8日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

憲法改正で何が変わるのか



このごろ朝日新聞の「一強」キャンペーンを初め、自民党が右傾化しているという議論があるが、きょう出された首相メッセージは、むしろ公明党や維新に接近して「左傾化」した印象を受ける。

続きはアゴラで。

国債に「値がつかない」不気味

今週の月曜、国債に1日半、値がつかないという事件が起こった。これ自体は日銀がオペレーションを間違えた技術的なミスだと思うが、国債市場の流動性が低くなってコントロールできなくなったことを示すとすると、ちょっと不気味だ。

続きはアゴラで。






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