本書にも書かれているが、財政による「景気対策」が有害無益であることは、すべての経済学者のコンセンサスである。いま必要なのは、著者も強調するように日本経済の「成長力」を高めることだ。そのためには、バラマキではなく競争促進による経済の活性化が必要だ。
その具体策が本書にもいろいろあげられているが、ここでは周波数オークションだけを取り上げる。著者は「地デジ移行にともなって空く180MHzを周波数オークションにかければ、諸外国の例から5~6兆円の国庫収入が上がる」と書いているが、これはちょっと大ざっぱだ。もう少し細かく試算してみよう。
180MHzあくというのは、私もASCII.jpに書いたホワイトスペースのことだ。中継局が重複している部分など安全を見込んでも、関東で28チャンネル=168MHzあいている(地方では200MHz以上あいている)。すでに通信事業者などに開放することが決まっている710~770MHzに60MHz、民放連もあいていることを認めた800MHz帯に36MHzあるので、合計264MHzあいている(*)。1MHzあたりの単価は、鬼木甫氏の試算によれば131億円なので、131×264=約3兆4500億円。消費税1.4%に相当する。
これは国庫収入になるばかりでなく、地デジの移行費用にも使える。さらに本質的なメリットは、新規参入で新しいビジネスを創造し、競争によって無線通信サービスの料金を引き下げる効果だ。経済を活性化して財政再建にも役立つという一石二鳥の政策である。経産省が検討しているほか、民主党にも関心をもつ議員がいるので、来年の地デジ移行対策2000億円とワンセットで、周波数オークションを考えてはどうだろうか。ホワイトスペースは3年先だが、800MHz帯は今すぐ開放でき、これだけで4700億円になるので、地デジ移行費は十分まかなえる。
(*)通信事業者の指摘を受けて修正した。710~806MHzを連続して開放すれば96MHzあくので、工夫すれば20MHz×5スロット取れる。これを一挙にオークションにかけることが効率的だ。財務省も前向きらしいので、オークションを総務省の地デジ移行対策2000億円を認める条件としてはどうだろうか。
その具体策が本書にもいろいろあげられているが、ここでは周波数オークションだけを取り上げる。著者は「地デジ移行にともなって空く180MHzを周波数オークションにかければ、諸外国の例から5~6兆円の国庫収入が上がる」と書いているが、これはちょっと大ざっぱだ。もう少し細かく試算してみよう。
180MHzあくというのは、私もASCII.jpに書いたホワイトスペースのことだ。中継局が重複している部分など安全を見込んでも、関東で28チャンネル=168MHzあいている(地方では200MHz以上あいている)。すでに通信事業者などに開放することが決まっている710~770MHzに60MHz、民放連もあいていることを認めた800MHz帯に36MHzあるので、合計264MHzあいている(*)。1MHzあたりの単価は、鬼木甫氏の試算によれば131億円なので、131×264=約3兆4500億円。消費税1.4%に相当する。
これは国庫収入になるばかりでなく、地デジの移行費用にも使える。さらに本質的なメリットは、新規参入で新しいビジネスを創造し、競争によって無線通信サービスの料金を引き下げる効果だ。経済を活性化して財政再建にも役立つという一石二鳥の政策である。経産省が検討しているほか、民主党にも関心をもつ議員がいるので、来年の地デジ移行対策2000億円とワンセットで、周波数オークションを考えてはどうだろうか。ホワイトスペースは3年先だが、800MHz帯は今すぐ開放でき、これだけで4700億円になるので、地デジ移行費は十分まかなえる。
(*)通信事業者の指摘を受けて修正した。710~806MHzを連続して開放すれば96MHzあくので、工夫すれば20MHz×5スロット取れる。これを一挙にオークションにかけることが効率的だ。財務省も前向きらしいので、オークションを総務省の地デジ移行対策2000億円を認める条件としてはどうだろうか。