新型コロナは夏のうちに感染したほうがいい



7月31日の東京都の新規感染者数が463人で史上最多になったとマスコミは大騒ぎだが、これは検査人数も5665人と史上最多で、検査キットの感度も上がったからだ。東京の陽性率が0.5%としても7万人なので、今後も毎日4~500人の陽性は出るだろう。問題はそこではない。

7月の東京の死者は5人、全国でも31人だった(30日現在)。月間の陽性者数1万5668人で割ると、致死率は0.2%。インフルエンザとほぼ同じだ。「死者が増えるのは感染の1ヶ月後だ」などという人がいまだにいるが、6月下旬に検査が増えた後、1ヶ月たっても死者は増えない。いま増えている陽性者は、微量のウイルスをもって発症しなかった人をPCR検査で見つけているだけなのだ。

続きはアゴラで。

ゼロリスクは遺伝する

昨今の日本人のコロナに対する反応をみていると、日本人のゼロリスク体質は、ほとんど遺伝的なものだという気がする。もちろん文化が遺伝することはありえないが、最近の進化生物学では、文化的遺伝子(ミーム)は単なる比喩ではない。

たとえば最近よく話題になる「ファクターX」について、それが遺伝的な自然免疫だという説と、東アジアの「風土病」だという説がある。両者の中間として、東アジアの人々は毎年、中国から出てくるコロナ系のウイルスにさらされ、コロナに対する訓練免疫ができるというのが、宮坂昌之氏の仮説である。

この説によると、自然免疫は遺伝的な所与の機能ではなく、多くの免疫機能の中でどの機能が活性化するかは病原体の刺激で決まる。このためいろいろな病原体が多い(公衆衛生の整備されていない)国では自然免疫の強い個体だけが生き残るが、病原体の少ない先進国は感染に弱くなる。

これは感染によって抗体ができる獲得免疫とは違い、運動で筋力がつくのに似ている。筋力は遺伝しないが、肉体労働の激しい地域では筋力の弱い人は生き残れない。今回ヨーロッパで東アジアよりはるかに大きな被害が出たのは、コロナ系ウイルスにさらされた経験があまりなく、免疫力が訓練されていなかったためと考えることができる。続きを読む

朝日新聞も「便所の落書き」になるのか



朝日新聞の論座にDr.ナイフという匿名アカウントの記事が連載されるそうだ。内容は取るに足りない。自己紹介がだらだら続き、「有権者が主役で参加できる政治活動に期待」という陳腐な話で終わる作文で、出来の悪い大学1年生の期末レポートという感じだ。彼のツイートはこんな調子である。

続きはアゴラで。

「買い手独占」としての日本的雇用

「モノプソニー」という経済学者以外の人は聞いたこともない言葉が、ちょっと話題になっている。これはアトキンソンが最低賃金を上げる理由として提唱しているものだ。普通は最低賃金を上げると労働需要が減って失業が増えるが、企業(労働の買い手)が独占的な地位にある買い手独占(モノプソニー)の場合はそうならないのだ。

たとえばある町に、デパートが一つしかないとしよう。労働生産性は時給1000円だが、売り子の時給500円だとすると、夫が働いている主婦は、そんな時給ではばかばかしいので働くのをやめてしまう。

ここで最低賃金が1000円になったとしよう。これは労働生産性に見合うので、主婦はパートで働くようになり、デパートも損しないので雇用を増やす。このように労働者が職場を選べないときは、賃金を上げると雇用が増えることがある。アメリカでは多くの実証研究で、最低賃金を引き上げても失業率は上がらないことがわかっている。

日本ではあまり実証研究はないが、ある意味ではモノプソニーの大規模な実験が行われている。日本の労働者は終身雇用で会社を選べないので、賃金が労働生産性より低くても会社をやめることができない。こういう状況では人手不足でも賃金が上がらず、賃金は労働組合の交渉力に依存する。ところが正社員とパートタイム労働者の競争が激しくなると、労組は賃上げを自粛して雇用を守ろうとするのだ。

続きは8月3日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

コロナ「第2波」で問題なのは陽性者数ではない

東京都の検査陽性者数が連日200人を上回り、「第2波」と騒がれているが、この最大の原因はPCR検査が増えたためだ。おまけに検査キットの感度が上がって軽症・無症状を検出するようになったため、忽那賢志氏が指摘するように、4月には氷山の一角しか見えなかったコロナの全体像が見えるようになったものと思われる。

tok
東京都の検査人数・陽性者数と陽性率(右軸)

図のように4月11日のピーク時には約300人の検査のうち31.7%が陽性だったが、第2のピークだった7月16日には約4200人のうち陽性は6.1%である。4月に検査した分母は保健所に症状を訴えた「患者」だったが、今回は無症状が多いと思われる(その比率は不明)。年齢も60%が30代以下なので、死亡リスクはゼロに近い。今月の死者は90代の患者2人だけだ。

問題は陽性者の数ではなく、医療資源の制約である。東京都の重症患者は14人だが、ICUベッドは100床ある。陽性者数は増えているが、重症患者はほとんど増えていない(最近は減っている)。

sss
東京都の医療資源

マスコミは「ベッドが足りない」と騒いでいるが、入院患者949人に対してベッドは2800準備されている。コロナ患者の大部分は入院する必要のない軽症だが、指定感染症なので感染症指定医療機関がコロナ患者に占拠され、それ以外の患者の手術ができなくなっている。これが医療の現場を混乱に陥れている最大の問題である。

続きは7月27日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

財政政策をフリーランチにする金融政策

新型コロナに対して各国政府は巨額の財政支出を行い、政府債務のGDP比は歴史上かつてない大きさになった。これによるインフレの再燃を心配する声もあったが、物価も金利も落ち着いている。Economist誌によれば、これはマクロ経済政策に大きな転換を迫るものだ。

20200725_FBC315

通常のマクロ経済学では、財政支出はいずれ増税でファイナンスされるのでフリーランチはないと考える(リカードの中立命題)が、現実の個人はそんな遠い将来のことは考えない。その場合は財政支出はフリーランチになる。

Woodford-XieはDSGEにもとづいた精密なモデルで、この考えを肯定している。中立命題が成り立つのはすべての個人が無限の将来までの財政収支を考える場合の話で、個人の時間視野が財政収支計画より短い場合にはフリーランチが可能になる

これはMMTの主張に似ているが、MMTには金利の概念がないので、政府支出が増えて国債が暴落し、金利が上がったらどうしていいかわからない。Woodford-Xieはこれについて大胆な答を提案する。中央銀行が国債を買い入れてゼロ金利を維持するのだ。

今の中央銀行はインフレ目標を守るために金利を動かすが、これは1990年代以降の便宜的な政策で、インフレ目標には理論的根拠はない。中銀が一時的にインフレ目標を超えてもゼロ金利にコミットすれば、財政と金融の協調で経済を安定化できる、というのが彼らの理論である。
続きを読む

テレビ界「バカのクラスター」を一掃せよ

テレビ界「バカのクラスター」を一掃せよ
新型コロナは欧米では重要な感染症だが、日本ではインフル未満の風邪である。それが過剰に騒がれる原因は、マスコミが毎日、感染者数を報道して不安をあおることだ。たとえば7月21日の東京の新規感染者数(検査陽性者数)は237人だという数字は多くのメディアが報道したが、新規重症患者は1人、死者はゼロだったことは報じない。

このインフォデミック(情報災害)の主犯はワイドショーである。特に「羽鳥慎一モーニングショー」は一貫して過剰報道を続けてきた。本書はアゴラでおなじみの藤原かずえさんがそれを逐語的に紹介した本で、ふだん(私のように)テレビをまったく見ていない人には、ワイドショーがいかにひどいかわかって便利だろう。

著者も中立の立場で論評しているわけではないが、気になるのは、こういうワイドショーのスタンスが(特にTBSとテレビ朝日で)均質化していることだ。沖縄の基地と森友学園と新型コロナはまったく違う問題だが、ワイドショーは同じ立場でコメントする。それと違う意見のコメンテーターは出演させない。

他方で出演者も、その空気に迎合する。たとえば本書で「『アベが悪い』の千夜一夜物語」と酷評されている後藤謙次氏は、共同通信にいたころは中立の立場から政治を語っていたが、「報道ステーション」のコメンテーターになってから急速に左傾化した。

続きは7月27日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

問題は感染者数ではなく「人口あたり死亡率」

東京都の感染者が293人に増えたとか188人に減ったとかマスコミは一喜一憂しているが、検査を増やしたら陽性が増えるのは当たり前だ。サンプルにも偏りがあるので、感染者数(正確には検査陽性者数)というデータは統計的には意味がない。

致死率(死者数/感染者数)も、分母が感染者数だから信頼できない。日本のコロナ致死率は4%でアメリカの3.7%より高いが、これは検査が少ないからだ。インフル(致死率0.1%程度)よりは重症化しやすいようだが、今のように感染者が増えて死者ゼロの日が続くともっと下がるだろう。

意味があるのは死者数である。これも100%信頼できるわけではないが、死んだときは死因を必ず検査する。死亡診断書を偽造することはむずかしいので、時系列でも国際比較でも死亡率を使うのが普通だが、日本ではあまり使わない。死者が少なすぎて、普通にプロットすると、毎日ゼロの続く無意味な図になってしまうからだ。

nn
毎日の人口100万人あたり死亡率(FT.com)

国際比較で使われるのは人口あたり死亡率である。これでみると図のようにアメリカは100万人あたり毎日2.2人で今も増えているが、日本は0.1人以下でほとんど見えない。これで「第二波が大変だ」などと騒ぐのは、嘘つきでなければ情報弱者である。

続きは7月20日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

プラスチックごみの「一括回収」に反対する

kk

政府はプラスチックごみの分別を強化するよう法改正する方針だ、と日本経済新聞が報じている。ごみの分別は自治体ごとに違い、多いところでは10種類以上に分別しているが、これを「プラスチック資源」として一括回収する方針だ。分別回収するのはペットボトルだけでなく、バケツや洗面器、キッチン用品などのあらゆるプラスチックを含む。

これは政府のプラスチック資源循環戦略で、2035年までにすべてのプラスチックを有効利用するという目標を掲げ、2030年までにプラごみを25%減らす計画の一環だが、何のためにプラごみを減らすのだろうか?

続きはアゴラで。

海洋プラスチック問題の超簡単な解決策

51WjCO6v1jL._SL160_
本書は「国連のグテーレス事務総長は環境デーで『プラスチックごみで地球を汚すのはやめよう』と呼びかけた…」と格調高く始まり、海洋プラスチックごみがいかに困難な問題であるかを世界各地の例で明らかにする。ここまではよくある話だが、最後の第4章の2「プラスチックごみは大問題なのか」に至って、トーンがこう変わる。
日本で出るプラスチックごみの7割が焼却処分されている。[…]焼却処分は、埋め立てなどで処分することになる最終的なごみの容量を減らすには有効な手段だ。外国へのプラスチックごみの輸出を含め、ごみ処理の正規ルートに乗らないプラスチックを減らすことにつながる可能性もある。
こう書いてプラスチック循環利用協会の資料を紹介するが、そこにはこの問題の超簡単な解決策が書かれている。プラスチックは全部燃やせばいいのだ。ピリオド。

本書も「リサイクルには焼却にくらべて多くの費用がかかる」と認める。レジ袋をリサイクルするコストは69.8円/kgだが、焼却すれば30.5円ですむという。プラスチックは焼却で分解してCO2が出るのがいけないというなら、今回のレジ袋有料化で対象外になっている生分解性プラスチックも分解してCO2と水になる。

ごみの9割は発電などで熱利用しているが、生ごみだけでは高温が出ないので、重油を混ぜている。プラスチックを燃やさなかったら重油を燃やすだけで、CO2排出量は変わらない。そもそもプラスチックはもとは石油なのだから、石油を燃やすのと同じだ…と自問自答するうちに、最後は「焼却処分がもっとも合理的だ」と認めてしまう。そんな簡単な解決策が、なぜ実行できないのだろうか?

あとはアゴラサロンで。









記事検索
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
Creative Commons
  • ライブドアブログ