失踪日記

吾妻ひでお『失踪日記』は、アマゾンでベストセラーの6位に入ったりしているが、これは漫画である。ただ、普通の漫画と違って、失踪してホームレスになったり、アル中で強制入院させられたりした体験を作者自身が描いているところに異様な迫力がある。

ギャグ漫画家というのは、こういう破滅的なケースがよくあるらしい。「笑わせる」というプレッシャーは大きいのだろう。私にも、他人事とは思えない部分がある。現代人の抱える不安をギャグとして表現しているところが、多くの人々の密かな共感を呼んでいるのではないか。

北陸朝日放送

ソフトバンク・グループのBBTVが北陸朝日放送の番組をVoD配信する。民放では、初めてだそうだ。

北陸朝日放送は、以前から衛星チャンネルと提携したり、多メディア展開に熱心だという。良質な番組をつくっている地方局にしてみれば、ブロードバンド配信は全国放送に進出するチャンスだ。問題は、VoD配信に耐えるような番組をつくっている局がほとんどないことだが・・・

リバタリアニズム

「リバタリアニズム」という言葉は、日本ではほとんど知られていないだろう。決まった訳さえない。「自由至上主義」とか「完全自由主義」というところだろうか。

森村進編著『リバタリアニズム読本』(勁草書房)は、その全体像をお手軽に知るのに便利な本だ。キーワードの解説や古典の紹介によって、素人向けにリバタリアニズムが紹介されている。その主張に全面的に賛同する人は少ないだろうが、国家が肥大化する一方の現状に対するアンチテーゼとしての思想的な意味は大きい。

「つくる会」バッシング

「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書に対する朝日新聞のキャンペーンが、また始まった。これにすぐ韓国や中国が呼応し、これに文春系のメディアが反発する・・・という年中行事である。

「従軍慰安婦」や「強制連行」の実態が、かつていわれていたような日本軍の一方的な戦争犯罪ではないことは、もう歴史学の常識である。それなのに、「慰安婦が消える」ことを問題にし、それが何かの圧力の結果でもあるように書くセンスは、十年一日だ。

子供たちが戦争から学ぶべきなのは、こういうイデオロギー的な問題よりも、「なぜ負けるとわかっている戦争に突入したのか」「なぜ絶望的な戦況になってもやめなかったのか」という、今の日本の官僚組織にも通じる問題ではないか。

NHK新体制

NHKの理事が一新された。橋本会長は技術系なので、事実上のトップになる放送総局長の原田豊彦氏は、私のもとの直属の上司である。政治番組の出身で、人格者で慎重、「海老沢派」とは無縁だが、まさか彼が総局長になるとは思わなかった。

今後、NHKにとって最大の問題は、地上デジタル放送をどう進めてゆくのか(あるいはゆかないのか)だろう。コンセンサス重視型の原田氏が大きく舵を切るとは思えないが、これまでの「猪突猛進」よりは現実的な路線になるのではないか。

新生活

きのうで国際大学GLOCOMを辞め、今日からは学校法人須磨学園・情報通信研究所の研究理事として、新しい研究機関の立ち上げにかかわることになった。主な活動は、情報通信政策フォーラムの事務局の運営だ。

日本のシンクタンクは、政府の委託研究に依存しているため、政府系にも民間にも独立した政策研究・提言のできるところがない。そのために「政策の競争」がなく、官僚が政策を独占している。今度の研究所は、「フォーラム」という形で多くの人々の知恵を結集し、日本初の情報通信に関する独立系政策シンクタンクをつくろう新しい試みだ。まだ始まったばかりだが、21日のセミナーはその第1弾である。

なお、21日のセミナーは定員に達したので締め切った。

通信と放送の融合

先日、あるブロードバンド企業の幹部と話したら、出てくるのは著作権の処理の話ばかりだった。その会社のインフラは余っているのだが、特に地上波テレビ局のコンテンツが出てこないのが悩みらしい。これでは、通信と放送の融合はいつまでも実現しないかもしれない。

来月のICPFセミナーでやる栄村も、その例だ。ブローバンドの最大のボトルネックは、いまや著作権であり、これは技術的には解決できない。ユーザーがもっと声を上げてゆくしかないのだろう。

自衛策

ニッポン放送株の騒動は、どうやらライブドアの空振りに終わりそうだ。経産省は会社法案の一部を1年延長して、ポイズン・ピルなどを導入できるようにしようとしているが、今度の事件でわかったのは、その気になれば、今でも経営陣が自衛する手段はたくさんあるということだ。

むしろ問題は、Economist誌も指摘するように、キャッシュフローを無駄づかいしている経営陣への警告となる企業買収のチャンスが日本では少なすぎることだ。「ハゲタカ」や「マネーゲーム」を指弾する前に、資本主義のルールを徹底させることが第1歩である。

ICPFセミナー

有志でつくる「情報通信政策フォーラム」(ICPF)では、4月から定期的にセミナーを行うことになりました。その第1回として、次のような会を開きます。

ICPFセミナー 第1回「長野県栄村にみる通信と放送の融合」

長野県の山間部にある栄村で、全国の放送関係者の注目する実験が行われています。地上波のテレビ放送をADSLで再送信し、家庭のテレビやパソコンで見られるようにするものです。栄村では、民放4局を見られる家庭が約1割と難視聴世帯が多いため、民放の番組をIP配信しているのです。画質的にも、普通のテレビと変わりはありません。

しかし、この実験の商用化はできません。テレビ局が地上波番組のIP配信を認めないからです。これを認めたら、栄村だけではなく、全国にADSLで番組が配信でき、現在の県域免許制が崩れてしまう「蟻の一穴」となることを恐れているのです。今回は、この実験を行ってこられた佐藤さんをまねき、その現状を紹介するとともに「通信と放送の融合」はどうすれば実現するのか、を考えます。

講師:佐藤千明(長野県協同電算ネットワーク部長)
司会:林紘一郎(情報セキュリティ大学院大学副学長)

日時:4月21日(木)19:00-21:00
場所:東洋大学白山キャンパス 5号館5202教室
   東京都文京区白山5-28-20
   地下鉄三田線「白山」駅から徒歩5分
   地下鉄南北線「本駒込」駅から徒歩5分
   地下鉄千代田線「千駄木」駅から徒歩15分

入場料:無料
   ただし、席に限りがありますので、先着順に受け付けます。希望者は次のアドレスまでお申し込みください。問い合わせも、ここにどうぞ。
   info@icpf.jp

トレソーラ

ライブドアのいう「テレビ番組のネット配信」について、テレビ関係者が「われわれもとっくにやっている」として引き合いに出すのが、「トレソーラ」というTBS、フジ、テレ朝共同のネット配信だ。2002年と04年に有料の配信実験をやったが、大した反響はなく、著作権処理のコストがやたらにかかって商売にならないことがわかったという。

しかし、これは小倉秀夫さんも指摘するように、現在の著作権法の欠陥だ。たとえば音楽は、放送の場合にはJASRACなどとの一括契約が認められているのに、ネット配信では1曲ごとに許諾が必要だ。こういう放送と通信の差別をなくし、「隣接権」などの権利処理も楽にしないと、著作権が「通信と放送の融合」の最大の障害になるおそれが強い。







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