ICPFセミナー

情報通信政策フォーラムの第1回セミナーがきのう開かれた。満員で立ち見も出る大盛況だった。

栄村の実験の最大の障害は、民放が再送信に応じないことだが、その理由はよくわからない。「加工される」「画質が悪い」「県外に流される」というような話は、みんな根拠がない。要するに、放送がIPに乗ること自体を恐れていると考えるしかない。

今の電波は放送局がコントロールできるが、IP伝送になると、パイプは通信業者に押さえられ、放送局は番組を制作するだけのプロダクションのような存在になるだろう――その予想は正しいが、それが放送局にとって悪いこととは限らない。放送局の価値のコアは、制作・編成能力であってインフラではないからである。

ライブドア騒動

大山鳴動して、何も変わらなかった。業務提携の中身も「委員会」で協議するというのだから、中身はない。

この騒ぎが、こんな結果になったのは、堀江氏に「通信と放送の融合」についての説得力のあるビジョンがなかったからだ。相手を説得しないで、資本だけ支配しても、会社は動かない。今回の騒動で、日本の経営者も「資本の論理」のきびしさを知ったと思うが、同時に会社を動かすのは「人的資本の論理」であることも学ぶべきだろう。

植草一秀事件

女子高生のスカートを手鏡でのぞいたという事件は、植草氏が控訴を断念して罰金刑が確定したが、この事件はどうもすっきりしない。ウェブでも、彼を支援するサイトができているが、公判での双方の主張が大きく食い違っているのだ。

警官が手鏡でのぞいているところを「現認」したとしているのに、実際には警官が職務質問したときは手鏡はポケットの中にあった。警官は最初、携帯電話のカメラで撮影していると思ったようだが、携帯電話はアタッシェケースの中。

はっきりしているのは、植草氏が「否認したら長期捜査になるが、罪を認めればすぐ帰す」という誘導に負けて、警察に迎合した供述書をとられてしまったことだ。結局これが決定的な証拠になった。日本の司法の「自白中心主義」の恐さである。

失踪日記

吾妻ひでお『失踪日記』は、アマゾンでベストセラーの6位に入ったりしているが、これは漫画である。ただ、普通の漫画と違って、失踪してホームレスになったり、アル中で強制入院させられたりした体験を作者自身が描いているところに異様な迫力がある。

ギャグ漫画家というのは、こういう破滅的なケースがよくあるらしい。「笑わせる」というプレッシャーは大きいのだろう。私にも、他人事とは思えない部分がある。現代人の抱える不安をギャグとして表現しているところが、多くの人々の密かな共感を呼んでいるのではないか。

北陸朝日放送

ソフトバンク・グループのBBTVが北陸朝日放送の番組をVoD配信する。民放では、初めてだそうだ。

北陸朝日放送は、以前から衛星チャンネルと提携したり、多メディア展開に熱心だという。良質な番組をつくっている地方局にしてみれば、ブロードバンド配信は全国放送に進出するチャンスだ。問題は、VoD配信に耐えるような番組をつくっている局がほとんどないことだが・・・

リバタリアニズム

「リバタリアニズム」という言葉は、日本ではほとんど知られていないだろう。決まった訳さえない。「自由至上主義」とか「完全自由主義」というところだろうか。

森村進編著『リバタリアニズム読本』(勁草書房)は、その全体像をお手軽に知るのに便利な本だ。キーワードの解説や古典の紹介によって、素人向けにリバタリアニズムが紹介されている。その主張に全面的に賛同する人は少ないだろうが、国家が肥大化する一方の現状に対するアンチテーゼとしての思想的な意味は大きい。

「つくる会」バッシング

「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書に対する朝日新聞のキャンペーンが、また始まった。これにすぐ韓国や中国が呼応し、これに文春系のメディアが反発する・・・という年中行事である。

「従軍慰安婦」や「強制連行」の実態が、かつていわれていたような日本軍の一方的な戦争犯罪ではないことは、もう歴史学の常識である。それなのに、「慰安婦が消える」ことを問題にし、それが何かの圧力の結果でもあるように書くセンスは、十年一日だ。

子供たちが戦争から学ぶべきなのは、こういうイデオロギー的な問題よりも、「なぜ負けるとわかっている戦争に突入したのか」「なぜ絶望的な戦況になってもやめなかったのか」という、今の日本の官僚組織にも通じる問題ではないか。

NHK新体制

NHKの理事が一新された。橋本会長は技術系なので、事実上のトップになる放送総局長の原田豊彦氏は、私のもとの直属の上司である。政治番組の出身で、人格者で慎重、「海老沢派」とは無縁だが、まさか彼が総局長になるとは思わなかった。

今後、NHKにとって最大の問題は、地上デジタル放送をどう進めてゆくのか(あるいはゆかないのか)だろう。コンセンサス重視型の原田氏が大きく舵を切るとは思えないが、これまでの「猪突猛進」よりは現実的な路線になるのではないか。

新生活

きのうで国際大学GLOCOMを辞め、今日からは学校法人須磨学園・情報通信研究所の研究理事として、新しい研究機関の立ち上げにかかわることになった。主な活動は、情報通信政策フォーラムの事務局の運営だ。

日本のシンクタンクは、政府の委託研究に依存しているため、政府系にも民間にも独立した政策研究・提言のできるところがない。そのために「政策の競争」がなく、官僚が政策を独占している。今度の研究所は、「フォーラム」という形で多くの人々の知恵を結集し、日本初の情報通信に関する独立系政策シンクタンクをつくろう新しい試みだ。まだ始まったばかりだが、21日のセミナーはその第1弾である。

なお、21日のセミナーは定員に達したので締め切った。

通信と放送の融合

先日、あるブロードバンド企業の幹部と話したら、出てくるのは著作権の処理の話ばかりだった。その会社のインフラは余っているのだが、特に地上波テレビ局のコンテンツが出てこないのが悩みらしい。これでは、通信と放送の融合はいつまでも実現しないかもしれない。

来月のICPFセミナーでやる栄村も、その例だ。ブローバンドの最大のボトルネックは、いまや著作権であり、これは技術的には解決できない。ユーザーがもっと声を上げてゆくしかないのだろう。







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