予報円

また台風が来た。台風情報では、暴風雨圏とまぎらわしい「予報円」というのが表示されるが、こんな曖昧な進路予測を出すのは日本だけである。

台風の進路は、最近はスーパーコンピュータでかなり正確に予測でき、海外の予報では進路は線で表示される。ところが日本では、かつて進路予測の精度が悪かったとき、長崎で漁船が沈没して、国会で気象庁長官がつるし上げられた。予報円ができたのは、それ以来である。要するに、これは気象庁の責任逃れのためのものなのだ。

気象庁の予報官会議を取材したことがあるが、その内容の大部分は、ピンポイントで出てくるスパコンの予測をどれぐらいぼかすかという議論である。こういう役所も悪いが、予測が外れたといって国会で追及する国民も悪い。役所の予測を無条件に信用しないという大人の常識を身につけることが最良の防災対策である。

SMiLE

ビーチボーイズの幻の名作が、34年ぶりによみがえった。

もとのアルバムは、コンセプトが(当時としては)あまりにも前衛的で破綻したといわれるが、今度のリメイクは、よくもわるくもwell-madeである。

しかし感動するのは、音楽が今も「若い」ことだ。海外の音楽批評で最高の賛辞は"classical"だが、これはまぎれもなく現代の古典である。

Re: PHS

先月末で、RIETIの研究室を引き払って引っ越した。私のアカウントikeda-nobuo@rieti.go.jpも切られたので、ご注意を。

ところが新しいオフィスが地下室みたいなところで、電波がまったく届かない。そこでDDIポケットに相談したところ、「レピーター」という中継器があるというので、借りてきた(保証金10000円だけ)。いろいろやってみると、光の届くところにレピーターを置けば、内部ではかなり離れていても、ちゃんと受信できることがわかった。

これはPHSのメリットだ。携帯でも同じようなものはあるらしいが、「基地局の増設」なので最低でも40万円するという。前にも書いたが、規制緩和さえすれば、PHSはまだまだ生き返る余地がある。

FMのAM化

去年、FCCのペッパー局長に「東京ではFMは何局ぐらい聞けるのか?」と聞かれたので、「4局ぐらい」と答えると、驚いて「なぜだ?米国にはFM局は12000あるんだよ」と逆に質問された。

米国の都市では、200局ぐらい聞けるのが当たり前で、カントリー専門とかバロック専門とか個性豊かだ。そこからインディなどの新しい文化も生まれてくるが、日本では、地方都市ではNHKと民放1~2局である。これは免許申請の前に地元の有力者が「事前調整」して、多くの会社の合弁にしてしまうからだ。

おかげでFMのAM化が進行し、このごろはどの局もトーク番組ばかりになって、私はほとんど聞かなくなった。DSL以上のコネクションがあれば、海外のインターネット・ラジオのほうがはるかにいい。

贋札

新千円札の贋物がヤフー・オークションに出て、大事件になっている。

しかし、これは奇妙な話である。99億円という値段が(たぶん冗談で)ついたものの、主催者が削除したため、取引は成立していない。競売に出たものは「みほん」と書いてあって、贋札でさえない。それがこんな大騒ぎになるのは、贋札が主権国家の「アキレス腱」だからである。

不換紙幣というのは、実体的な資産価値を持たない「情報」にすぎないし、技術的には複製は容易だ。それがこれほど重大な犯罪とされるのは、贋札を禁止する(貨幣発行権を独占する)ことが主権国家の権力(および財力)の源泉だからである。「知的財産権」を守ることが音楽産業の生命線であるのと同じだ。

ボードレールやジイドから赤瀬川原平にいたるまで、贋金は多くの芸術家のイマジネーションの源泉になってきた。それは、贋札が主権国家といういかがわしい概念のメタファーだからである。

スパムの終わり?

POPFile 0.22が正式にリリースされた。懸案だったAPOPにも(少なくとも日本語版は)対応した。

ベイジアン・フィルターの精度は、驚くほど高い。1000通ぐらい受信すれば、99%以上正確にフィルタリングできるようになる。注意しなければいけないのは、必要なメールが排除されるfalse positiveだが、これもフィルタリングの精度を1/10000以上に上げれば、まず問題ないし、心配なら1日に1回ぐらいログをチェックすればよい。

Mozilla Thunderbirdなどにもベイジアン・フィルターがつくようになり、これでスパムの問題は基本的に終わったと思う。

Carlos Kleiber

カルロス・クライバーが死去して3ヶ月近くたつが、「遺作」が続々と発売されている。

なかでも驚異的なのは、彼がたった1回、録音した(といっても息子のカセット)ベートーヴェンの第6番(Orfeo)である。音質は最悪だが、演奏は最初の数小節で彼とわかる。これ以上は文字で語ることはできないが、聞く価値はある。指揮者の創造性がほとんど作曲家のそれに達しているような、こんな指揮者は、もう出ないだろう。

彼が死んだときは、1週間ぐらい彼のCDばかり繰り返し聞いていて、妻に「もうやめて」といわれた。

制度設計と設計主義

最近「制度設計」という言葉がよく使われるようになった。竹中平蔵氏は「郵政民営化は戦後最大の制度設計だ」という。しかし、こうした発想そのものを批判する人も多い。

小谷清氏は、竹中金融行政は、ハイエクの否定した「設計主義」(constructivism)だというが、これは設計主義という誤訳にひきずられた誤解である。Constructiveというのは特定の目的のために構造物を建設してゆくことだから、「構築主義」とか「計画主義」などと訳すべきだろう。「設計」は英語でいえばdesignで、明らかに別の概念である。

制度設計というのは、ルールを決めることであって、特定の目的を実現することではない。「自生的秩序」に早くから注目したハイエクも、秩序が自生的に維持されるにはルールが厳密に守られる必要があることを認識していた。彼の評価したプリゴジンの理論でも示されるように、物理系の挙動にも不規則性が大きいと、散逸構造は生じないのだ(だから、この種の「カオス理論」は経済学では実用にはならない)。

晩年のハイエクの大著が『法と立法と自由』であることからも明らかなように、合理的なルールの設計こそ自由な社会にとってもっとも重要である。これから経済学がめざすべき一つの(規範的な)方向は、「制度設計の科学」ではなかろうか。


ソフトバンクのFTTH

「ヤフー!BB光」のおひろめが、上戸彩まで使って派手に行われたようだ。

しかし、ヤフー!BBが始まったときのような衝撃はない。月額6890円というのは有線ブロードよりも高いし、シェアド・タイプでさえNTT東西と300円しか違わない。NTTのPONを使っているからだ。償却の終わったドライカッパーと違って、光では得意の「コバンザメ商法」はあまり効果がない。

それよりもWiMAXを使って、昔「スピードネット」で実験した無線による高速アクセスをねらってはどうだろうか。世界的に、いま最大の焦点はUHF帯の免許不要機器への開放である。ソフトバンクには、日本の「電波開放の旗手」になってほしいものだ。

Star Suite

MS Office XPのPersonal editionにはPowerPointが入っていない。これだけを買おうとすると14000円もするので、Star Suite 7(本体1980円)を使ってみた。

買うのは、ソースネクストのサイトからダウンロードするだけで、あっという間だ。利用期限は1年だが、MSのほうもすぐアップデートするから、似たようなものだろう。特にいいのは、PDFファイルにできることで、これなら互換性の問題もクリアできる。

ファイルを作成する機能は遜色ないが、既存のMS-Officeファイルを読むのは弱い。特にOLEは、まともに動くと思わないほうがいい。しかし文書作成だけなら問題ないし、単独のオフィス・ソフトと割り切れば、これで2000円はお買い得だ。







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