B-flag

FCCの導入しようとしていたb-flag(デジタル放送のコピープロテクト技術)が、裁判所で「違法」との判決を受けた。

日本では、b-flagよりもっと「進んだ」B-CASが導入され、さまざまなトラブルの原因になっているのに、だれも文句をいわない。こっちはコンテンツにスクランブルがかかっているから、録画機器に対応を義務づける必要もないのだ。

国家の罠

佐藤優『国家の罠』(新潮社)を読んだ。鈴木宗男氏と一緒に逮捕された元外交官の手記だが、たしかに事務次官の決裁まで受けた国際学会への出席が「背任」だという検察の筋書きには、かなり無理がある。

しかし疑問も残る。第一に、著者が鈴木氏を「大臣」と呼んだりして、その政治家としての行動に疑問をもっていないことだ。たしかに著者にとっては頼りになる親分だったかもしれないが、外務省のキャリア官僚にとっては地元利益をゴリ押しし、気に入らないと怒鳴り上げたり人事に介入したりする最悪の政治家だったのではないか。

だから「国策捜査」の背景分析もおかしい。問題はケインズとかハイエクとかいう高尚な話ではなく、外務省の方針にうるさく口を出す鈴木氏を葬り去る絶好のチャンスだったというだけのことだろう。日本は「官治国家」であり、それに逆らう者は排除する、という国家意志が働いた、という点では「国策」に沿う捜査といえるのかもしれない。

Verizon-MCI

VerizonによるMCIの買収が決定し、米国の通信業界はAT&Tを買収したSBCとの「2強」体制となった。20年前のAT&T分割以降の歴史を、まるで逆転しているようだ。

これが「健全な結果」だというEconomist誌の評価には同意できないが、これで1996年電気通信法が死んだことはまちがいない。ネットワークをUNEにアンバンドルして競争を導入しようという96年法の方針が成功したのは、皮肉なことに米国ではなく日本だった。

今後は、ケーブルとの設備ベースの競争に期待をかけるしかないが、このような「寡占的競争」が健全な結果をもたらすとは考えにくい。新たにFCC委員長になったケヴィン・マーティンはWiMAXなどの無線MANに期待をかけているようだが、こっちは影も形もない。米国が「ブロードバンド後進国」である状態は、しばらく続くだろう。

UWB

FCCが標準を決めたことで、UWBが実用化に向けて一歩前進した、とNYタイムズが伝えている。早ければ、今年後半にも製品が出てくるようだ。

これも当初は、Wi-Fiを置き換える革命的な技術として期待されたが、GPSと干渉する(これはGPS側に問題があるのだが)という問題があって、周波数が制限された。また標準化団体が二つあるのも状況をややこしくしていたが、FCCの決定で両者は「休戦」したらしい。

超広帯域だが超低出力なので、しょせんは室内用の無線に限られるが、それでも100Mbps出るというのは魅力だ。実用化すれば、USBのような汎用の接続規格になる可能性もある。

日本の成功?米国の失敗?

トマス・ブレハのForeign Affairs論文が話題を呼んでいる。日本や韓国はブロードバンドで米国を抜き、インターネットの母国である米国は、通信政策の失敗によって産業競争力を失っている、という話だ。NYタイムズで、トム・フリードマンが紹介して話題になった。

しかし、この評価は一面的である。私が以前にも書いたように、日本でブロードバンドが普及したのは、いろいろな原因による「競合脱線」のようなもので、政府が賢明だったからではない。米国の政策の評価も単純すぎる。Economist誌も指摘するように、設備ベースの競争を促進するFCCの政策は、結果が出るのに時間がかかる。最終的な勝負は、まだついていないのだ。

栄村と霞ヶ関

第1回ICPFセミナーの栄村についてのスライド(PDF)を講師の佐藤千明さんにいただいた。

話を聞いて、あきれたのは霞ヶ関の無責任さだ。あらゆる法律を調べて担当の官庁に問い合わせたらしいが、総務省は「著作権は文化庁に」、文化庁は「著作権は権利者の問題」、そして権利者の民放キー局は話し合いもしない。うっちゃっておけば、あきらめると思っているのだろうか。それでも粘り強く問題を追及する佐藤さんの執念には頭が下がった。

第2回ICPFセミナー


情報通信政策フォーラム(ICPF)からのセミナーのお知らせです。

昨年10月、「録画ネット」という会社に業務停止を命じる仮処分が東京地裁で言い渡されました。この会社は海外在住の日本人向けに、日本のテレビ番組を録画できるパソコンを売り、それを自社内に置いて海外から操作できるようにする「ハウジング・サービス」を行っていたのですが、それに対してNHKと在京キー局5社が、サービスの差し止めを求め、裁判所が認めたのです。

録画ネットのユーザーは、わずか250人。こんな「すきま商売」をテレビ局がそろって訴えるのは、同様の録画代行サービスが国内でも広がることを恐れているためです。しかし業者は、インターネット経由で録画の操作をしているのはユーザーであり、著作権は侵害していないと主張しています。

ハードディスクとブロードバンドが普及した今日、それを利用した便利なサービスが登場していますが、著作権上の紛争も引き起こしています。どこまでが合法なのか、また制度を見直す必要はないのか、いくつかのケースをもとに考えます。

講師:原田昌信(エフエービジョン取締役)
モデレーター:真野浩(ルート株式会社 社長)

日時:5月19日19:00~21:00
場所:東洋大学白山キャンパス 5号館5202教室
東京都文京区白山5-28-20
   地下鉄三田線「白山」駅から徒歩5分
   地下鉄南北線「本駒込」駅から徒歩5分
   地下鉄千代田線「千駄木」駅から徒歩15分
入場料:2000円
    ICPF会員は無料(会場で入会できます)

申し込みはinfo@icpf.jpまで電子メールで

ICPFセミナー

情報通信政策フォーラムの第1回セミナーがきのう開かれた。満員で立ち見も出る大盛況だった。

栄村の実験の最大の障害は、民放が再送信に応じないことだが、その理由はよくわからない。「加工される」「画質が悪い」「県外に流される」というような話は、みんな根拠がない。要するに、放送がIPに乗ること自体を恐れていると考えるしかない。

今の電波は放送局がコントロールできるが、IP伝送になると、パイプは通信業者に押さえられ、放送局は番組を制作するだけのプロダクションのような存在になるだろう――その予想は正しいが、それが放送局にとって悪いこととは限らない。放送局の価値のコアは、制作・編成能力であってインフラではないからである。

ライブドア騒動

大山鳴動して、何も変わらなかった。業務提携の中身も「委員会」で協議するというのだから、中身はない。

この騒ぎが、こんな結果になったのは、堀江氏に「通信と放送の融合」についての説得力のあるビジョンがなかったからだ。相手を説得しないで、資本だけ支配しても、会社は動かない。今回の騒動で、日本の経営者も「資本の論理」のきびしさを知ったと思うが、同時に会社を動かすのは「人的資本の論理」であることも学ぶべきだろう。

植草一秀事件

女子高生のスカートを手鏡でのぞいたという事件は、植草氏が控訴を断念して罰金刑が確定したが、この事件はどうもすっきりしない。ウェブでも、彼を支援するサイトができているが、公判での双方の主張が大きく食い違っているのだ。

警官が手鏡でのぞいているところを「現認」したとしているのに、実際には警官が職務質問したときは手鏡はポケットの中にあった。警官は最初、携帯電話のカメラで撮影していると思ったようだが、携帯電話はアタッシェケースの中。

はっきりしているのは、植草氏が「否認したら長期捜査になるが、罪を認めればすぐ帰す」という誘導に負けて、警察に迎合した供述書をとられてしまったことだ。結局これが決定的な証拠になった。日本の司法の「自白中心主義」の恐さである。







title




連絡先(取材・講演など)

記事検索
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
Creative Commons