NHK新体制

NHKの理事が一新された。橋本会長は技術系なので、事実上のトップになる放送総局長の原田豊彦氏は、私のもとの直属の上司である。政治番組の出身で、人格者で慎重、「海老沢派」とは無縁だが、まさか彼が総局長になるとは思わなかった。

今後、NHKにとって最大の問題は、地上デジタル放送をどう進めてゆくのか(あるいはゆかないのか)だろう。コンセンサス重視型の原田氏が大きく舵を切るとは思えないが、これまでの「猪突猛進」よりは現実的な路線になるのではないか。

新生活

きのうで国際大学GLOCOMを辞め、今日からは学校法人須磨学園・情報通信研究所の研究理事として、新しい研究機関の立ち上げにかかわることになった。主な活動は、情報通信政策フォーラムの事務局の運営だ。

日本のシンクタンクは、政府の委託研究に依存しているため、政府系にも民間にも独立した政策研究・提言のできるところがない。そのために「政策の競争」がなく、官僚が政策を独占している。今度の研究所は、「フォーラム」という形で多くの人々の知恵を結集し、日本初の情報通信に関する独立系政策シンクタンクをつくろう新しい試みだ。まだ始まったばかりだが、21日のセミナーはその第1弾である。

なお、21日のセミナーは定員に達したので締め切った。

通信と放送の融合

先日、あるブロードバンド企業の幹部と話したら、出てくるのは著作権の処理の話ばかりだった。その会社のインフラは余っているのだが、特に地上波テレビ局のコンテンツが出てこないのが悩みらしい。これでは、通信と放送の融合はいつまでも実現しないかもしれない。

来月のICPFセミナーでやる栄村も、その例だ。ブローバンドの最大のボトルネックは、いまや著作権であり、これは技術的には解決できない。ユーザーがもっと声を上げてゆくしかないのだろう。

自衛策

ニッポン放送株の騒動は、どうやらライブドアの空振りに終わりそうだ。経産省は会社法案の一部を1年延長して、ポイズン・ピルなどを導入できるようにしようとしているが、今度の事件でわかったのは、その気になれば、今でも経営陣が自衛する手段はたくさんあるということだ。

むしろ問題は、Economist誌も指摘するように、キャッシュフローを無駄づかいしている経営陣への警告となる企業買収のチャンスが日本では少なすぎることだ。「ハゲタカ」や「マネーゲーム」を指弾する前に、資本主義のルールを徹底させることが第1歩である。

ICPFセミナー

有志でつくる「情報通信政策フォーラム」(ICPF)では、4月から定期的にセミナーを行うことになりました。その第1回として、次のような会を開きます。

ICPFセミナー 第1回「長野県栄村にみる通信と放送の融合」

長野県の山間部にある栄村で、全国の放送関係者の注目する実験が行われています。地上波のテレビ放送をADSLで再送信し、家庭のテレビやパソコンで見られるようにするものです。栄村では、民放4局を見られる家庭が約1割と難視聴世帯が多いため、民放の番組をIP配信しているのです。画質的にも、普通のテレビと変わりはありません。

しかし、この実験の商用化はできません。テレビ局が地上波番組のIP配信を認めないからです。これを認めたら、栄村だけではなく、全国にADSLで番組が配信でき、現在の県域免許制が崩れてしまう「蟻の一穴」となることを恐れているのです。今回は、この実験を行ってこられた佐藤さんをまねき、その現状を紹介するとともに「通信と放送の融合」はどうすれば実現するのか、を考えます。

講師:佐藤千明(長野県協同電算ネットワーク部長)
司会:林紘一郎(情報セキュリティ大学院大学副学長)

日時:4月21日(木)19:00-21:00
場所:東洋大学白山キャンパス 5号館5202教室
   東京都文京区白山5-28-20
   地下鉄三田線「白山」駅から徒歩5分
   地下鉄南北線「本駒込」駅から徒歩5分
   地下鉄千代田線「千駄木」駅から徒歩15分

入場料:無料
   ただし、席に限りがありますので、先着順に受け付けます。希望者は次のアドレスまでお申し込みください。問い合わせも、ここにどうぞ。
   info@icpf.jp

トレソーラ

ライブドアのいう「テレビ番組のネット配信」について、テレビ関係者が「われわれもとっくにやっている」として引き合いに出すのが、「トレソーラ」というTBS、フジ、テレ朝共同のネット配信だ。2002年と04年に有料の配信実験をやったが、大した反響はなく、著作権処理のコストがやたらにかかって商売にならないことがわかったという。

しかし、これは小倉秀夫さんも指摘するように、現在の著作権法の欠陥だ。たとえば音楽は、放送の場合にはJASRACなどとの一括契約が認められているのに、ネット配信では1曲ごとに許諾が必要だ。こういう放送と通信の差別をなくし、「隣接権」などの権利処理も楽にしないと、著作権が「通信と放送の融合」の最大の障害になるおそれが強い。

LBO

ライブドアがフジテレビのLBOを「検討」しているという。これは理論的には合理的だ。

LBOの対象になるのは、産業が成熟して投資機会が少なく、「帝国建設」的な事業にキャッシュフローが浪費されている企業だ。そういう無駄な設備投資をやめて配当し、不要な部門を売却することによって企業価値を高めることができる。テレビ局は、まさにそれであり、「帝国」の最たるものが地上デジタル放送だ。

がんばれウィルコム

ウィルコムが、2900円で定額の音声通話サービスを5月から始める。といっても、定額になるのはウィルコムの端末どうしだけだから、ほとんど影響はないだろう。私はPHSユーザーだが、PHSにかけた経験はほとんどない。

それにしても、バックボーンをIPにしたり、基地局の容量を増やしたり、ちゃんと設備投資をしているのは頼もしい。PHSから撤退したNTTドコモなどは、ウィルコムに周波数を売却できるようにすべきだ。

デジタル・デバイド

途上国の問題は、コンピュータなどの「デジタル・デバイド」ではなく、携帯電話などの通信インフラだ、とEconomist誌が論じている。

しかも携帯電話は、商業ベースで途上国にも急速に普及しており、国連が果たせる役割はないだろう。むしろ必要なのは、周波数の割り当てに市場メカニズムを導入し、競争を促進する改革だ。この点では、日本も「真のデジタル・デバイド」打開策を考えてほしいものだ。

電子投票

岐阜県可児市議選の電子投票の結果が、裁判所で無効とされた。これ自体は、やむをえないだろう。サーバが最大1時間20分も止まり、最下位と次点の差が35票というのでは、このトラブルが選挙結果に影響を与えた可能性は否定できない。

しかし、現在の投票制度は結果に影響を与えていないのか。以前も書いたことがあるが、現在の「自書式」投票は、明らかに知名度の高い現職が有利になっている。この先進国に類をみない奇妙な制度を廃絶することが、選挙改革の第一歩だ。







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