ICPFセミナー

有志でつくる「情報通信政策フォーラム」(ICPF)では、4月から定期的にセミナーを行うことになりました。その第1回として、次のような会を開きます。

ICPFセミナー 第1回「長野県栄村にみる通信と放送の融合」

長野県の山間部にある栄村で、全国の放送関係者の注目する実験が行われています。地上波のテレビ放送をADSLで再送信し、家庭のテレビやパソコンで見られるようにするものです。栄村では、民放4局を見られる家庭が約1割と難視聴世帯が多いため、民放の番組をIP配信しているのです。画質的にも、普通のテレビと変わりはありません。

しかし、この実験の商用化はできません。テレビ局が地上波番組のIP配信を認めないからです。これを認めたら、栄村だけではなく、全国にADSLで番組が配信でき、現在の県域免許制が崩れてしまう「蟻の一穴」となることを恐れているのです。今回は、この実験を行ってこられた佐藤さんをまねき、その現状を紹介するとともに「通信と放送の融合」はどうすれば実現するのか、を考えます。

講師:佐藤千明(長野県協同電算ネットワーク部長)
司会:林紘一郎(情報セキュリティ大学院大学副学長)

日時:4月21日(木)19:00-21:00
場所:東洋大学白山キャンパス 5号館5202教室
   東京都文京区白山5-28-20
   地下鉄三田線「白山」駅から徒歩5分
   地下鉄南北線「本駒込」駅から徒歩5分
   地下鉄千代田線「千駄木」駅から徒歩15分

入場料:無料
   ただし、席に限りがありますので、先着順に受け付けます。希望者は次のアドレスまでお申し込みください。問い合わせも、ここにどうぞ。
   info@icpf.jp

トレソーラ

ライブドアのいう「テレビ番組のネット配信」について、テレビ関係者が「われわれもとっくにやっている」として引き合いに出すのが、「トレソーラ」というTBS、フジ、テレ朝共同のネット配信だ。2002年と04年に有料の配信実験をやったが、大した反響はなく、著作権処理のコストがやたらにかかって商売にならないことがわかったという。

しかし、これは小倉秀夫さんも指摘するように、現在の著作権法の欠陥だ。たとえば音楽は、放送の場合にはJASRACなどとの一括契約が認められているのに、ネット配信では1曲ごとに許諾が必要だ。こういう放送と通信の差別をなくし、「隣接権」などの権利処理も楽にしないと、著作権が「通信と放送の融合」の最大の障害になるおそれが強い。

LBO

ライブドアがフジテレビのLBOを「検討」しているという。これは理論的には合理的だ。

LBOの対象になるのは、産業が成熟して投資機会が少なく、「帝国建設」的な事業にキャッシュフローが浪費されている企業だ。そういう無駄な設備投資をやめて配当し、不要な部門を売却することによって企業価値を高めることができる。テレビ局は、まさにそれであり、「帝国」の最たるものが地上デジタル放送だ。

がんばれウィルコム

ウィルコムが、2900円で定額の音声通話サービスを5月から始める。といっても、定額になるのはウィルコムの端末どうしだけだから、ほとんど影響はないだろう。私はPHSユーザーだが、PHSにかけた経験はほとんどない。

それにしても、バックボーンをIPにしたり、基地局の容量を増やしたり、ちゃんと設備投資をしているのは頼もしい。PHSから撤退したNTTドコモなどは、ウィルコムに周波数を売却できるようにすべきだ。

デジタル・デバイド

途上国の問題は、コンピュータなどの「デジタル・デバイド」ではなく、携帯電話などの通信インフラだ、とEconomist誌が論じている。

しかも携帯電話は、商業ベースで途上国にも急速に普及しており、国連が果たせる役割はないだろう。むしろ必要なのは、周波数の割り当てに市場メカニズムを導入し、競争を促進する改革だ。この点では、日本も「真のデジタル・デバイド」打開策を考えてほしいものだ。

電子投票

岐阜県可児市議選の電子投票の結果が、裁判所で無効とされた。これ自体は、やむをえないだろう。サーバが最大1時間20分も止まり、最下位と次点の差が35票というのでは、このトラブルが選挙結果に影響を与えた可能性は否定できない。

しかし、現在の投票制度は結果に影響を与えていないのか。以前も書いたことがあるが、現在の「自書式」投票は、明らかに知名度の高い現職が有利になっている。この先進国に類をみない奇妙な制度を廃絶することが、選挙改革の第一歩だ。

奇妙なTOB

フジテレビが公開買い付けで取得したニッポン放送株は、36%を超したという。

しかし、これをTOB(Take Over Bid)とよぶのはおかしい。TOBというのは、企業の支配権を得るために行うもので、最初にフジテレビの行った「50%超」という目標の買い付けはTOBだが、それを25%に下げた買い付けは、消極的な「企業防衛策」でしかない。

また、市場価格を下回る価格で買い付けが成功するのもおかしな話だ。通常のTOBでは、市場価格が上がるとTOBの価格も引き上げられ、むしろ一定のプレミアムがつくのが普通だ。今回は、トヨタが「市場価格以下で売るのは株主に説明がつかない」と応募を拒否したようだが、これが世界の常識である。

日本では初めての出来事だからしかたないが、いかにも日本的な、奇妙なTOBだった。

Secondary market

昨日の記事へのコメントで議論が沸騰している。私はAMラジオに未来がないことは明らかだと思うが、ライブドアに未来があることはそれほど明らかだとは思わない。少なくとも、これまで表明されている堀江氏のビジネスモデルは、かなり曖昧なもので、それがすべてだとすれば失敗するおそれも強い。

こういう買収が起こる一つの原因は、放送業界に新規の免許が出ないことだ。したがって企業買収が事実上免許を売買するsecondary marketになっており、この意味での放送局の買収というのは、欧米でも珍しくない。今回も、ニッポン放送の免許の買収だとすれば成功する可能性は大きいが、本来の目的はフジテレビだろう。しかし筆頭株主になっただけでは、その目的は達成できない。

日本のテレビ業界では、これまで買収・合併は1件もない。これは「護送船団行政」で保護されてきたためだ。これを打破するには、やはりブロードバンドで「もうひとつのテレビ」をつくって正面突破するしかないのではないか。護送船団に慣れきった今の放送業界に、変われと要求しても無理だ。そのことは、今度の騒動で堀江氏も学んだのではないか。

ある「家」の終焉

辻井喬『父の肖像』(新潮社)を読んだ。前に買ったのだが、今度の騒動で、堤康次郎という人物に興味がわいたので。

ひとことでいうと、堤義明前会長のワンマン経営は、康次郎の手法の「まるごとコピー」に近い。「世間では東急を近代的だとか大企業らしいなどと言っているが、どの企業も五島家のものではない。そこへ行くとわしの事業は全部[堤家の]ものだ」という康次郎の「家」への執着はすさまじい。

さらに話をややこしくしているのが、いろいろな妾にたくさん子供を生ませた血縁関係のドロドロだ。著者(堤清二氏)も、父に反抗して共産党に入り、相続を拒否したりするのだが、結局は西武百貨店を相続した。これも経営が破綻して、解体されてしまった。

これで堤家は、事実上消滅することになるだろう。「家」の業の深さを感じさせる。

AMラジオの未来

ニッポン放送の「社員総会」で、「ライブドアに買収されるのはいやだ」という決議が出され、圧倒的多数で可決されたそうだ。まあ敵対的買収というのはそういうものだが、この社員たちは、AMラジオに未来があると思っているのだろうか。

わが家のチューナーは、AMも受信できるが、一度も受信したことがない。Business Weekも指摘しているように、インターネット・ラジオが在来のラジオの市場を侵食している。日本では、規制がじゃましているが、時代の流れは戻らないだろう。ライブドアのノウハウを使って生き残りを図ってはどうだろうか。







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