日本の成功?米国の失敗?

トマス・ブレハのForeign Affairs論文が話題を呼んでいる。日本や韓国はブロードバンドで米国を抜き、インターネットの母国である米国は、通信政策の失敗によって産業競争力を失っている、という話だ。NYタイムズで、トム・フリードマンが紹介して話題になった。

しかし、この評価は一面的である。私が以前にも書いたように、日本でブロードバンドが普及したのは、いろいろな原因による「競合脱線」のようなもので、政府が賢明だったからではない。米国の政策の評価も単純すぎる。Economist誌も指摘するように、設備ベースの競争を促進するFCCの政策は、結果が出るのに時間がかかる。最終的な勝負は、まだついていないのだ。

栄村と霞ヶ関

第1回ICPFセミナーの栄村についてのスライド(PDF)を講師の佐藤千明さんにいただいた。

話を聞いて、あきれたのは霞ヶ関の無責任さだ。あらゆる法律を調べて担当の官庁に問い合わせたらしいが、総務省は「著作権は文化庁に」、文化庁は「著作権は権利者の問題」、そして権利者の民放キー局は話し合いもしない。うっちゃっておけば、あきらめると思っているのだろうか。それでも粘り強く問題を追及する佐藤さんの執念には頭が下がった。

第2回ICPFセミナー


情報通信政策フォーラム(ICPF)からのセミナーのお知らせです。

昨年10月、「録画ネット」という会社に業務停止を命じる仮処分が東京地裁で言い渡されました。この会社は海外在住の日本人向けに、日本のテレビ番組を録画できるパソコンを売り、それを自社内に置いて海外から操作できるようにする「ハウジング・サービス」を行っていたのですが、それに対してNHKと在京キー局5社が、サービスの差し止めを求め、裁判所が認めたのです。

録画ネットのユーザーは、わずか250人。こんな「すきま商売」をテレビ局がそろって訴えるのは、同様の録画代行サービスが国内でも広がることを恐れているためです。しかし業者は、インターネット経由で録画の操作をしているのはユーザーであり、著作権は侵害していないと主張しています。

ハードディスクとブロードバンドが普及した今日、それを利用した便利なサービスが登場していますが、著作権上の紛争も引き起こしています。どこまでが合法なのか、また制度を見直す必要はないのか、いくつかのケースをもとに考えます。

講師:原田昌信(エフエービジョン取締役)
モデレーター:真野浩(ルート株式会社 社長)

日時:5月19日19:00~21:00
場所:東洋大学白山キャンパス 5号館5202教室
東京都文京区白山5-28-20
   地下鉄三田線「白山」駅から徒歩5分
   地下鉄南北線「本駒込」駅から徒歩5分
   地下鉄千代田線「千駄木」駅から徒歩15分
入場料:2000円
    ICPF会員は無料(会場で入会できます)

申し込みはinfo@icpf.jpまで電子メールで

ICPFセミナー

情報通信政策フォーラムの第1回セミナーがきのう開かれた。満員で立ち見も出る大盛況だった。

栄村の実験の最大の障害は、民放が再送信に応じないことだが、その理由はよくわからない。「加工される」「画質が悪い」「県外に流される」というような話は、みんな根拠がない。要するに、放送がIPに乗ること自体を恐れていると考えるしかない。

今の電波は放送局がコントロールできるが、IP伝送になると、パイプは通信業者に押さえられ、放送局は番組を制作するだけのプロダクションのような存在になるだろう――その予想は正しいが、それが放送局にとって悪いこととは限らない。放送局の価値のコアは、制作・編成能力であってインフラではないからである。

ライブドア騒動

大山鳴動して、何も変わらなかった。業務提携の中身も「委員会」で協議するというのだから、中身はない。

この騒ぎが、こんな結果になったのは、堀江氏に「通信と放送の融合」についての説得力のあるビジョンがなかったからだ。相手を説得しないで、資本だけ支配しても、会社は動かない。今回の騒動で、日本の経営者も「資本の論理」のきびしさを知ったと思うが、同時に会社を動かすのは「人的資本の論理」であることも学ぶべきだろう。

植草一秀事件

女子高生のスカートを手鏡でのぞいたという事件は、植草氏が控訴を断念して罰金刑が確定したが、この事件はどうもすっきりしない。ウェブでも、彼を支援するサイトができているが、公判での双方の主張が大きく食い違っているのだ。

警官が手鏡でのぞいているところを「現認」したとしているのに、実際には警官が職務質問したときは手鏡はポケットの中にあった。警官は最初、携帯電話のカメラで撮影していると思ったようだが、携帯電話はアタッシェケースの中。

はっきりしているのは、植草氏が「否認したら長期捜査になるが、罪を認めればすぐ帰す」という誘導に負けて、警察に迎合した供述書をとられてしまったことだ。結局これが決定的な証拠になった。日本の司法の「自白中心主義」の恐さである。

失踪日記

吾妻ひでお『失踪日記』は、アマゾンでベストセラーの6位に入ったりしているが、これは漫画である。ただ、普通の漫画と違って、失踪してホームレスになったり、アル中で強制入院させられたりした体験を作者自身が描いているところに異様な迫力がある。

ギャグ漫画家というのは、こういう破滅的なケースがよくあるらしい。「笑わせる」というプレッシャーは大きいのだろう。私にも、他人事とは思えない部分がある。現代人の抱える不安をギャグとして表現しているところが、多くの人々の密かな共感を呼んでいるのではないか。

北陸朝日放送

ソフトバンク・グループのBBTVが北陸朝日放送の番組をVoD配信する。民放では、初めてだそうだ。

北陸朝日放送は、以前から衛星チャンネルと提携したり、多メディア展開に熱心だという。良質な番組をつくっている地方局にしてみれば、ブロードバンド配信は全国放送に進出するチャンスだ。問題は、VoD配信に耐えるような番組をつくっている局がほとんどないことだが・・・

リバタリアニズム

「リバタリアニズム」という言葉は、日本ではほとんど知られていないだろう。決まった訳さえない。「自由至上主義」とか「完全自由主義」というところだろうか。

森村進編著『リバタリアニズム読本』(勁草書房)は、その全体像をお手軽に知るのに便利な本だ。キーワードの解説や古典の紹介によって、素人向けにリバタリアニズムが紹介されている。その主張に全面的に賛同する人は少ないだろうが、国家が肥大化する一方の現状に対するアンチテーゼとしての思想的な意味は大きい。

「つくる会」バッシング

「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書に対する朝日新聞のキャンペーンが、また始まった。これにすぐ韓国や中国が呼応し、これに文春系のメディアが反発する・・・という年中行事である。

「従軍慰安婦」や「強制連行」の実態が、かつていわれていたような日本軍の一方的な戦争犯罪ではないことは、もう歴史学の常識である。それなのに、「慰安婦が消える」ことを問題にし、それが何かの圧力の結果でもあるように書くセンスは、十年一日だ。

子供たちが戦争から学ぶべきなのは、こういうイデオロギー的な問題よりも、「なぜ負けるとわかっている戦争に突入したのか」「なぜ絶望的な戦況になってもやめなかったのか」という、今の日本の官僚組織にも通じる問題ではないか。







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