次世代DVD


次世代DVDでは、東芝などの「HD-DVD」がソニーなどの「ブルーレイ」に1歩先行したらしい。消費者にとっては、どっちでもいいから統一してほしいものだ。

このように両者が協調することが望ましいが、どっちに協調するかで意見が一致しないという状況は、ゲーム理論で「両性の闘い」(BoS)として知られている。そのナッシュ均衡は、VTRのようにどっちかが市場を独占してしまう場合と、一定の確率でどっちかに転がる「混合戦略」の3つある。

最悪なのは、初代のビデオディスクのように、規格が乱立して共倒れになるケースだ。最終的にどっちかが消耗戦を生き延びたとしても、「負け組」の規格への投資は浪費である。社会的コストから考えると、サイコロを振ってどちらかに決めるのが最善だ。

ウルカヌス


米国の国務長官がパウエルからライスになって、政権運営が「右寄り」になるという懸念があるようだが、ジェームズ・マン『ウルカヌスの群像』(共同通信社)によると、彼らを含む共和党の外交指導部(チェイニー、ラムズフェルド、ウォルフォヴィッツ、アーミテイジ)は、みずから「ウルカヌス」(Vulcan:ギリシャ神話の火の神)とよぶ集団を形成しており、だれがリーダーになっても基本方針は変わらないという。

彼らの出発点は、ベトナム戦争の失敗と冷戦の勝利だ。戦争を「殺人効率」で考えて戦力を逐次投入したマクナマラや、「力の均衡」によってデタントを推進したキッシンジャーが失敗し、徹底的に「悪の帝国」を敵視して戦力を増強したレーガン外交が勝利したのは、戦争や外交においては機会主義的な経済合理性よりも倫理的原則と力の優位のほうが重要であることを示す――というのが、彼らが冷戦の終結から得た教訓である。

これは対ソ戦略としては、意味があったかもしれない。相手が合理的であり、全面核戦争を恐れていたからだ。しかし、サダム・フセインやオサマ・ビンラディンのような相手にいくら力で威圧しても、向こうは最初から死を覚悟しているのだから、効果は疑わしい。

それにしても、ブッシュ政権は2期目になって、ネオコンの影響力は弱まったが、キリスト教原理主義の影響はますます強まりそうだ。ケインズもいったように、もっとも危険なのは既得権ではなく、理想なのかもしれない。

500 Greatest Songs


Rolling Stone誌の500 Greatest Songs of All Timeという企画は、試聴用ファイルもついていて、なかなか楽しめる。

第1位が"Like a Rolling Stone"で、2位が"Satisfaction"というのは妥当なところだが、3位が"Imagine"というのはちょっと意外だ。ビートルズの曲の評価は意外に低く、最高が8位の"Hey Jude"である。年代順に集計すると
  • 40年代:2
  • 50年代:72
  • 60年代:203
  • 70年代:132
  • 80年代:67
  • 90年代:21
  • 00年代:3
で、60年代と70年代で2/3を占め、90年代以降は5%にもみたない。これは投票した評論家の年齢も影響しているのかもしれないが、やはり60年代後半から70年代前半にロックが「カウンターカルチャー」の中心になったころ、創造性も最も高かったということなのだろう。

電波封建制


私の「電波社会主義」という言葉は、最近は総務省の研究会でも使われるほどポピュラーになったが、先日ある電波関係者に「電波村の実態は、社会主義というより封建制だ」といわれた。

たとえばMXの免許には当初、100社以上が名乗りを上げたが、最終的には(数十社の出資する)1社に「事前調整」された。第3世代携帯電話のときも、3つの枠に3社しか申請がなく、美人投票さえ行われなかった。所定の枠に官僚が資源を割り当てるのが社会主義だとすれば、「お上」の意をくんで民間が談合する日本の現状は、たしかに封建制に近い。

しかしソフトバンクが「パンドラの箱」をあけたことで、封建制も崩壊が始まった。総務省の周波数検討会では、既存業者3社と新規参入組4社が公開の場で大論争を繰り広げている。これでは事前調整は無理だし、美人投票の結果にも、だれも納得しないだろう。

米国でも、1980年代に携帯電話の審査を抽選にしたら何万件も申請が殺到して事務が破綻し、周波数オークションをやらざるをえなくなった。日本の電波行政は、それから20年遅れで「近代市民社会」の夜明けを迎えているのかもしれない。

レゾナント


ひところNTTが提唱していた「レゾナント・ネットワーク」(RENA)という言葉が、中期経営戦略からは消えてしまった(1度だけ引用として出てくるが)。

これは、もともとはGMPLSという光でIP伝送を行うプロトコルをイメージしていたらしいが、「わかりにくい」と評判が悪かった。その中核会社「NTTレゾナント」の社長になった資宗克行氏まで、雑誌のインタビューで「RENAサービスなど存在しない」といって社員を驚かせた。

全光ネットワークというのは、理論的には可能だが、アクセス系まで光を「3000万世帯」にする意味は疑わしい。むしろ光・DSL・無線LANなどの混在するIPネットワークになるのが現実的ではないか。この意味では、BTのように「2009年までにネットワークをすべてIPにする」というほうがわかりやすく、現実的だ。

レゾナントというのは「共鳴」という意味だが、つねに調和して共鳴しているのがいいとは限らない。モーツァルトの有名な四重奏曲のように「不協和音」(dissonance)も音楽的に重要なのである。

デジタル放送の土壇場


米国のデジタル放送は、2006年にアナログ放送を停波するデッドラインが近づいているが、「デジタル受像機の普及率85%」という停波の条件を満たすことは不可能だ。

BusinessWeekによると、期限を2009年に延期し、デジタル放送をアナログに変換してケーブルTVに"must carry"規制で配信させるという案が、FCCで出ているらしい。米国のケーブルの普及率は85%に達しているので、停波の条件を満たすわけだ。アナログをデジタルに移行し、アナログに変換して放送するという悪い冗談みたいな話で、テレビ局もケーブル局も反対している。

こんな無意味なデジタル放送はやめて、Tom Hazlettの主張しているように、放送はすべてケーブルに移行し、残りの15%は政府が補助する代わりにVHF・UHF帯を全部あける「ネグロポンテ・スイッチ」をやってはどうか――と去年、FCCのペッパー局長に提案したら、肩をすくめて"You can't be too cynical about broadcasters"という答が返ってきた。

24


レンタル・ビデオのベストセラー(というのだろうか)になっている"24"を、DVDで第3シーズンの前半まで見た(後半は12月にレンタル開始)。

24時間で起こるドラマを同時進行で追うというのが売り物だが、手法はハリウッド定番のノンストップ・アクションだ。警察官が単独行動をして事件が次々に起こるという設定は「ダイ・ハード」に似ているが、ちょっと台本が荒っぽい。大した必然性もなく旅客機が爆破されたり、ほとんど10分ごとに人が殺されるのには辟易した。

しかし家庭で見るには、劇場映画をビデオ化したものより、こういうお手軽なテレビ・シリーズのほうがいいのかもしれない。この番組などは、明らかにパッケージ化を前提に制作されている。映画は今や興行収入よりビデオ・DVDの売り上げのほうが多いが、テレビもそういう時代が来るだろう。「電波利権」にこだわるより、番組の質を高めるほうが大事だ。

スモールワールド


「世間って狭いものだ」という経験はよくあるが、実際にどの程度、狭いのだろうか。たとえば、あなたが旭川市に住む未知の歯科医師の名前(Aさんとしよう)を聞かされ、あなたの知人にeメールを出して「Aさんを知っていると思われる人にこのメールを転送してください」と頼んだとしたら、何回ぐらいでAさんに到達するだろうか?

1967年に行われたミルグラムの(手紙を使った)実験によれば、必要なステップの平均値は、5.5だった。つまり、あなたと任意の他人との間は、たった6人しか離れていないのだ。この結果は、一見するほど驚くべきものではない。普通の人が覚えている知人は100~200人とされるが、あなたの友人100人がそれぞれ100人を知っているとすると1万人、彼らがそれぞれ・・・と計算すると、たった4段階(1004)で1億人になってしまう。

しかし、よく考えるとこれはおかしい。あなたと友人は同じ社会的集団に属していることが多いので、最初の100人と次の100人はかなり重複しているはずだから、メールは同じグループの中をぐるぐる回って、旭川までたどりつかないかもしれない。不思議なのは、こういう重複した「友達の輪」をたどって、わずか6次で目標にたどりつくことなのだ。

このパラドックスは、実は経済物理学とも関係のある奥の深い問題だ。興味のある人は、ワッツ『スモールワールド・ネットワーク』を読んでください。

おとくライン


きょう日本テレコムの「おとくライン」の電話勧誘がきた。乗ってもいいと思ったのだが、よく聞くと、DSLはヤフーBB以外とは共存できないのだという。基本料金わずか250円の違いのためにアドレスを変えるのはばかばかしいので、やめた。

ただ「他のISPとも話し合っているので、来年1月のサービス開始までにはSo-netでもよくなるかもしれない」とのこと。つまり、これまではNTTの電話回線が「ハブ」のような役割を果たし、各社ともNTTと共存さえできればよかったのだが、ハブがなくなると「組み合わせの爆発」が起き、調整が飛躍的に複雑になるわけだ。

同じような問題は、IP電話でも起こっている(おとくラインはIPではない)。「NTT後の世界」では、標準化でNTTの果たしていた役割をどういう組織が継承するのかも重要な問題になりそうだ。

50Mbps


遅まきながら、DSLのモデムを8Mbpsから50Mbpsに変更した。

ダウンロードは、驚異的に速くなった。数MB程度のファイルなら、ほとんど瞬間である。しかしウェブサイトへのアクセスは、体感上ほとんど変わらない。サーバ側の問題が大きいのだろう。これでは、わざわざ面倒な工事をしてFTTHに変える気は、まったく起こらない。たぶんFTTHの市場は、新築のマンションなどで一括して新規に引くときに限られるだろう。

NTTは、中期経営戦略で「2010年までに光ファイバー3000万世帯」という経営目標を掲げたが、これでは絶望的だ。賢い官僚は、実現できそうにない数値目標を掲げるときは時期を明記せず、時期を明記するときは数値目標は曖昧にするものだ。この目標は、ちょっと知恵が足りなかったのではないか。







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