ゴーン社長は「首切り上手」か

菅首相によれば、日産自動車のカルロス・ゴーン社長の給料が高いのは「首切りがうまかったからだ」という。これは小野善康氏の次の話の受け売りだろう:
[ゴーン]社長就任後の3年間で営業利益は急速に伸びたが、売上高はほぼ横ばいであった。[・・・]このことは、日産の急速な回復が、自動車の販売を増やして多くの人に便益を提供したからではなく、2万人規模の大量解雇などで大幅なコスト削減を行い、効率化を図ったためであることを如実に示している。(『不況のメカニズム』p.182)
この文章の横にある図を見ると、「営業利益」が「売上高」を上回っているが、そんなことはありえないので、よく見ると座標軸が一桁違う。

続きを読む

「分配の公平」についてのブックガイド

リベラル・コミュニタリアン論争サンデルのテレビ番組はきのうが最終回だったが、彼の本はアマゾンではまだベストセラーの4位で、普通の本屋でもベスト10に入り始めた。日本経済が停滞期に入り、成長をあきらめた人々が所得分配に関心をもつのは自然だが、首相が「小泉改革で格差が広がった」などというワイドショー的な所信表明を行なうのは困ったものだ。当ブログでは、以前からこの話題は何度か紹介してきたので、あらためてまとめておこう。

続きを読む

国家資本主義の呪縛

The End of the Free Market: Who Wins the War Between States and Corporations?政府の「新成長戦略」をみると、依然として「環境産業や健康産業で成長する」という類のターゲティング政策が並んでいる。このように政府がビジョンを打ち出して民間を指導する国家資本主義は、先進国ではとっくに終わっているのに、今ごろ「よい公共事業」という形で墓場からよみがえるのは困ったものだ。本書は世界の国家資本主義を概観したもので、その中心はもちろん中国である。

続きを読む

脱ガラパゴスの戦略

夏野流 脱ガラパゴスの思考法おととい著者にもらった本。彼は討論でも「利活用」にこだわっていたが、私もインフラよりそれを使う側の問題のほうが大きいと思う。先日の記事でも書いたように、日本のIT部門の生産性は必ずしも低くないが、それを使うサービス産業が情報革命に適応していない。その象徴がケータイである。

著者のつくったiモードがガラパゴス化の原因のようにいわれるが、周波数などの条件が内外で違う状況では、国内に最適化した商品が世界に売れないのは当たり前だ、と彼はアゴラで反論している。

続きを読む

「光の道」討論について

孫正義さんと夏野剛さんとの鼎談が終わった。内容は予想どおりだったが、孫さんが私のブログ記事を全部読んで130ページものプレゼンテーションを持ってこられたのには驚いた。こういうサプライズを演出するところがうまいと思った。



続きを読む

ITはもう成長産業じゃないのか

日銀の奇妙な「金融ターゲティング政策」が話題を呼んでいる。日銀自身が「奇手」と呼んで2年間の時限措置にしているように、彼ら自身もその効果を信じていない節がある。インフレ目標の意味も知らない政治家がうるさいので、「そんなにいうなら金をばらまいてやる」という牽制かもしれない。

それはさておき、ここに列挙された成長分野18項目には、「環境」とか「医療」とか民主党政権に迎合したような項目が並んでいるが、「情報通信」がない。かろうじて「コンテンツ・クリエイティブ事業」があるが、これはGDPの3%程度のすきま産業で、成長率も年1%ぐらいだ。10年前には政府が「IT戦略本部」を作ったほどの力の入れようだったのだが、情報通信はもう成長産業じゃないんだろうか?

続きを読む

「情報アクセス権」は有害である

今週の木曜にUstreamとニコニコ生放送で、孫正義氏と夏野剛氏と3人で「光の道」について話すことになった。日本の通信産業が危機的状況にあり、これを打開するには思い切った政策が必要だという点では3人とも同じ意見なので、多くの人の期待に反して「対決」にはならないと思うが、気になった点を一つだけ:

続きを読む

小野善康氏の「よい公共事業」論

菅首相の経済政策に強い影響を与えている小野善康氏のインタビューが、産経に出ている。
--自民党政権時代の公共事業などの財政出動は効果が薄かった
「何の価値も生まない公共事業をするならば、それは労働者に対する失業手当と同じ。新しい価値を生み出す分野にお金を投入し、人を生かさなければ意味がない」  

--新しい価値生む分野とは?
「これまであまり育っていなかった分野では、例えば環境や観光インフラ、医療、健康などが考えられる。食料品のような必需品を支給したり、子ども手当のようにお金を配ったりすると、それまでの出費を代替してしまい、新たな雇用や需要は生まれない」
続きを読む

日本振興銀行事件への疑問

日本振興銀行の事件は、家宅捜索や木村剛前会長の事情聴取に発展した。直接の容疑である検査妨害はともかく、問題のコアである出資法違反については疑問が多い。金融庁によると、振興銀行が貸金業者から約100億円の債権を買い取る際、約1ヶ月後に貸金業者(SFCG)が買い戻す契約を結んだうえ、買い取り手数料を受け取ったことが「事実上の金銭貸借」であり、出資法の上限金利(年29.2%)を超える年45.7%の金利を受け取った違法行為だという。しかし金融業界では、こうしたビジネスは珍しいものではない。

続きを読む

アゴラ起業塾 小池良次 「シリコンバレーの最新ベンチャー事情」

7月5日のアゴラ起業塾では、シリコンバレーに10年以上在住し、アメリカのIT業界を見てきたジャーナリスト、 小池良次さんにシリコンバレーの最新事情を話していただき、日米の落差を埋める道を考えます。

クラウド・コンピューティングやLTE(第4世代)、iPadによるタブレット時代の幕開けなど、興味深い話題が続くシリコンバレーでは、数多くのベンチャーが生まれ世界をリードし続けています。その絶えざるエネルギーの源泉は何でしょうか。今シリコンバレーでは何が起こり、IT業界はどこへ行くのでしょうか。今回は様々な情報通信系ベンチャーを取り上げながら、シリコンバレー独特の風土と仕組みを考えます。

続きを読む


スクリーンショット 2021-06-09 172303
記事検索
Twitter
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
Creative Commons
  • ライブドアブログ