「日本の奇蹟」をもたらした<システム>

日本 権力構造の謎〈上〉
本書が出たのは1989年。「日本はなぜこんなに強力なのか」という謎を解き明かす「日本特殊論」(revisionism)の代表として世界的ベストセラーになり、翌年に日本語訳も出た。著者は日本に住むオランダ人で、当時は日本のマスコミにもよく出ていた。今はすっかり忘れ去られたが、本書はいま読んでも荒唐無稽な感じはない。

最近の加計学園や防衛省の騒ぎをみても、日本を動かしているのは国会や内閣ではなく、顔のない<システム>だという本書の指摘は今も当てはまる。その中身は東大法学部を頂点とする学歴エリートだという話は陳腐だが、残念ながら変わらない。

おもしろいのは、かつて「日本の奇蹟」を説明した本が、そのまま日本の失敗を説明するのに使えることだ。<システム>には中心がないが、かつてのように「成長という合意」があったときは官民協調で環境の変化に柔軟に対応できた。それは著者も指摘するように江戸時代から続く「抱き込みの包囲網」だが、そこには致命的な盲点があった。

続きは7月24日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

アベノミクスが甘やかした日本経済

「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために
著者ビル・エモットはバブル絶頂期のEconomist東京支局長だったが、『日はまた沈む』という本でバブル崩壊を予想し、本誌の編集長になった。そこまではよかったが、そのあと彼が何度「日はまた昇る」と予言しても、日本は彼が東京にいたころのようなスーパースターには戻れなかった。

本書の第7章「日本という謎」では、その原因を90年代の不良債権処理から続いてきた財政・金融政策による企業の過保護に求める。日本の政府債務は、純債務でみるとGDPの130%ぐらいなので、ゼロ金利が続く限り財政が破綻するリスクは切迫していないが、最大のリスクはそれが破綻しないことだ。アベノミクスは収益の上がらない企業を甘やかし、改革を先送りしたため、日本の最大の病である「硬直性」が強まってしまった。

この診断は平凡だが、処方箋も単純である。チャーチルは「アメリカ人はつねに正しいことをする――他のすべての選択肢が尽きたときには」と言ったが、同じことは日本人にもいえる。政治家が企業を甘やかすのをやめたとき、彼らは初めて正しいことをするだろう。そして幸か不幸か、甘やかす財源は尽き始めている。

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台湾政府は国籍喪失を10月17日まで審査して9月13日に許可した?


きのう蓮舫側が出した書類には疑問が多い。台湾内政部長の国籍喪失許可証は通常の書式と違い、正式の写真ではなく蓮舫氏の斜め向きの写真(民進党のポスターのもの)が使われている。日付を隠すようにハンコが押されているが、拡大すると「中華民国105年(2016)09月13日」と読める。これはおかしい。

続きはアゴラで。

蓮舫代表は国籍離脱について嘘をついている

きょうの蓮舫代表の臨時記者会見は、おおむねアゴラで予想した通りだったが、意外なのは台湾政府の国籍喪失許可書(2016年9月13日付)が出てきたことだ。

蓮舫事務所が国籍喪失の申請をしたのは9月6日なので、わずか1週間で許可が下りることはありえない(通常は2ヶ月以上かかる)。先週は弁護士が「証拠として国籍離脱申請書を出す」といって失笑を買ったが、今週になって許可書が出てきたのもおかしい。

続きはアゴラで。

日本は江戸時代から「暇つぶし先進国」

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日本の反政府デモは平均年齢が高い。上の写真は安保法制のときのハフィントンポストの記事だが、平均年齢はどう見ても60歳を超えている。「憲法9条を守れ」というような宗教的信念を刷り込まれたのは私以上の世代だが、年金は十分あるので働く必要はない。デモは彼らの暇つぶしなのだ。

普通のサラリーマンは50歳ぐらいで仕事がなくなり、60歳で肩たたきを受け、65歳で定年退職してから平均20年ぐらい何もすることがない。どうやって老後の暇をつぶすかは、高齢化する日本で深刻な問題である。マスコミで加計学園のような些細な話が盛り上がるのも、1日中テレビを見ている団塊の世代の影響が大きいと思う。

暇つぶしにかけては、日本は先進国である。何しろ江戸時代には250年以上、内戦も対外戦争もなかったのに、日本中の300近い「国」がそれぞれ軍人(武士)を抱えていた。彼らは人口の1割近くいたが、戦争をしない国で退屈をまぎらわすには、きわめて高度な技術が必要だった。江戸時代の文化は、そのおかげで洗練されたのだ。

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ベーシック・インカムが可能にする自由時間の拡大

Basic Income: A Radical Proposal for a Free Society and a Sane Economy
アゴラで紹介したブレグマンのBIが話題になっているようだが、本質的に新しい話ではない。本書はこれを学問的に精密に論じたもので、ねらいはヨーロッパでも拡大する所得格差を是正し、技術革新で自由になる時間を合理的に使うことだ。

先週のJBpressでも紹介したようにBIの提案は昔からあり、1950年代にティンバーゲンなどが提案した。同じころスティグラーやフリードマンが負の所得税(NIT)を提案したが、70年たっても実現しない。それは従来の社会保障を根底からひっくり返すためだ。

実際にはBIはそれほど革命的ではなく、たとえば生活保護だけをBIに置き換えることも可能だ。最大の問題は財源をどうするかで、NITは所得税を想定しているが、これは不公平の原因だ。2008年のアメリカ大統領選挙でハッカビーが提案したのは、BIの財源を連邦消費税(VAT)に求める税制改革で、経済学的には合理的である。続きを読む

なぜ戸籍謄本の開示が必要なのか

蓮舫代表は前言をひるがえし、18日に「戸籍そのものではなくて、私自身が台湾の籍をすでに有していないことがわかる部分」を出すという。台湾国籍離脱の申請書は何の証拠にもならないが、かりに国籍離脱の証明書を見せたとしても、違法状態を否定する証拠にはならない。戸籍謄本を見せた小野田紀美議員もいうように、
続きはアゴラで。

みこしは軽くてパーがいい



これは『失敗の法則』第8章のテーマだが、昨年9月の民進党代表選では、蓮舫代表が「軽いみこし」としてかつがれた。彼女とポストを取引して立候補を見送った幹部もいた。それは政局的には正しかったのだろう。当時の票読みでは、彼女が圧倒的に有利だったからだ。

だが、このように「表の代表」と「裏の幹事長」を分離し、実権を後者が握る二重権力こそ、民主党政権が改革しようとした構造だった。それは1990年代から「政治主導」を提唱してきた小沢一郎氏のコンセプトでもあった。鳩山政権は政策調査会を廃止して意思決定を政府に一本化したが、小沢氏が幹事長になると逆に陳情の窓口を幹事長に一本化した。「みこしは軽くてパーがいい」というのは、彼の言葉である。

こういう構造が失敗するのも日本型組織の法則だが、その原因は大きな意思決定ができないからだ。閣僚は内閣改造で交代する「軽いみこし」なので、官僚はその命令を聞かないで、役所のコンセンサスを代表する事務次官の命令を聞く。彼らは業界の既得権で動くので、獣医学部の新設さえできない。それは議院内閣制が想定している統治構造とはまったく違うのだ。

続きは7月17日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

蓮舫代表は台湾国籍を離脱したのか

いったん「戸籍謄本を出す」と表明した蓮舫代表は、きのう午後になって「台湾の籍を有していないことがわかる部分」だけ見せるといい、さらに「パスポートや台湾当局への国籍離脱申請書の写し」を提出すると話が変遷している。申請書を出すというのは、証明書が存在しないということだろう。台湾政府のウェブサイトで「謝蓮舫の国籍喪失」を検索すると、こういう結果が出る。

続きはアゴラで。

失敗の法則:日本人はなぜ同じ間違いを繰り返すのか

失敗の法則 日本人はなぜ同じ間違いを繰り返すのか
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」という。これはプロ野球の野村克也元監督の言葉として知られているが、もとは江戸時代の大名、松浦静山の剣術書である。勝つときは偶然勝つこともあるが、負けるときは必ず理由があるという意味だ。
 
ビジネススクールの授業やビジネス本には「不思議の勝ち」を説明する結果論が多い。たとえばコイン投げのギャンブルで、あなたが表だけに賭けて30回続けて勝つ確率は10億分の1だが、そのとき「コイン投げで勝つ秘訣は何ですか?」ときかれたら、あなたは「表に賭けることです」と答えるだろう。
 
こういう錯覚を「生存バイアス」と呼ぶ。どんなゲームにも(偶然で)勝ち続ける人は少数いるので、その原因を結果論で説明しても、大して役には立たない。それに対して、負ける人は多いので、その原因を分析することは意味がある。一つ一つはつまらない失敗でも、集めると法則性が見えてくる。続きを読む






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