日本の国会はなぜ異常に強いのか

日本の国会――審議する立法府へ (岩波新書)
ゴロツキ野党議員が出てくる原因は、国会の独立性が異常に強く、政府が「国会がお決めになること」としかいえない日本の統治機構にあるという問題点は、多くの政治学者が指摘してきた。ではこの「強すぎる国会」はなぜ生まれたのか。

それについての意見は必ずしも一致していないが、本書もいうように日本国憲法が一つの原因だろう。そもそも憲法41条は「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」と定めており、政府が提出する内閣提出法案(閣法)についての規定は憲法のどこにもない。

これはホワイトハウスに法案提出権のないアメリカの制度をモデルにしたものだが、実際には国会で成立する法案の8割以上が閣法である。ところが憲法は閣法を想定していないため、審議日程などについて政府の国会への介入をことごとく排除する構造になっている。

国対委員長会談で法案の優先順位が決まり、議院運営委員会で審議日程が決まる。政府が審議日程をコントロールできないので、自民党は政調会や総務会で事前審査を行ない、審議を党内で前倒しでやってしまう。ただ最近の研究で、こういう構造は戦前にもあったことがわかってきた。

続きは10月21日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

ゴロツキ野党議員はなぜ暴走するのか

産経新聞によると、国民民主党と立憲民主党の「調査チーム」は、松井孝治氏がツイッターで公開した文書が「情報漏洩だ」として、内閣府にアカウントの特定を求めた。しかしこの文書は参議院事務局が予算委員会の出席者に配布した議事進行であり、公務員の守秘義務の対象になる「非公知の事実」ではない。

また内閣府が原英史氏に参考人として出席を求めた際に送ったメールに「質問要旨」と国家戦略特区に関する「質問詳細」が添付されていたことを問題視しているが、この「質問要旨」は11日夜に森ゆうこ議員がツイートした公開情報である。

続きはアゴラで。

霞ヶ関を「ブラック職場」にするゴロツキ野党議員

森ゆうこ議員が情報漏洩がなんちゃらとわけのわからないことを言っているが、この問題の本質は、彼女が台風前夜に多くの官僚を深夜まで待機させ、しかもそれを批判されると「規定の提出期限までに出した」と嘘をついたことだ。まず経緯を簡単におさらいしておこう。
  • 大型の台風19号が首都圏に接近していた11日夜、何人かの官僚がツイッターで「森ゆうこ議員の質問がまだ来ないので家に帰れない」とつぶやいた。
  • 最初に森議員が出した14項目の箇条書きでは、どの部署が答弁を書くのかわからないので、20:30ごろまでは全省庁待機がかかり、数百人が待機したものと思われる。
  • 次第にその内容が追加されて具体的にわかったので、無関係な省庁から待機が解除されて帰宅したが、担当官庁は徹夜になって帰宅できなくなった。
  • 質問は何度も追加され、最後の更新が終わったのは24:25だった
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森ゆうこ議員のいう「情報漏洩」は論点のすり替えだ

きのう国民民主党は記者会見を開いて「質問内容が外部に流出したのは情報漏洩だ」と主張した。朝日新聞は「森ゆうこ議員が11日午後4時すぎに参院事務局に出した質問通告が外部に流出した可能性がある」と報じているが、これは誤報だ。彼女が16:08に出した通告の内容を20:22にツイートしているからだ。
続きはアゴラで。

アル・ゴアの隠す不都合な真実

K10012132281_1910151356_1910151454_01_04アル・ゴア元米副大統領が来日して、 NHKがインタビューしている。 それによると彼は「福島の事故のあと、日本はなぜ石炭火力発電所の増設という方向に向かったのか。理解できない」そうだ。

NHKの佐藤真莉子という記者はこれを真に受けて「日本の環境政策は変わってしまった」とか「日本は世界の流れに乗り遅れてしまった」と彼に語らせているが、 石炭火力を減らす方針だった日本が、増設に転換した理由は明らかだ。動く予定だった原発が動かせないからである。

それはゴアも知っているはずだ。彼は5年前に来日した時のインタビューで、日本の原発について質問されて「最新の技術で正しい管理のもとに運用されるのであれば、現代の原発は安全に動かすことが可能だと思う」と答えているからだ。

つまりゴアは、日本の原発が安全に動かせる状況でありながら止められていることを知っている。それが石炭火力の増えた原因であることも知っているが、それを隠して「日本は遅れている」と批判したのだ。これは政治的プロパガンダである。

続きは10月21日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

防災インフラ整備は地元にまかせてはいけない

台風19号の被害が堤防やダムで防げたことで、インフラの役割が見直されている。特に民主党政権が完成を遅らせた八ッ場ダムが、完成直後の試験貯水で洪水を防いだという評価が高い。利根川の流域全体の水量からみると大きな差がなかったという意見もあるが、ないよりあったほうがいいことは明らかだ。

こういう公共事業に反対するのが、10年ぐらい前まで流行した。田中康夫知事が「脱ダム」を打ち出した長野県が千曲川の氾濫で大きな被害を出したことが批判を浴びているが、大部分のダムは農業用水のための利水ダムだったので、治水設備としては効率が悪い。

治水は100年に1度ぐらいの洪水にそなえるものだから、自治体の防災対策は99年は空振りになり、過少投資になりやすい。だが日本全体としてみると、去年の西日本豪雨に続いて今年と、大型の台風や集中豪雨はほぼ毎年、全国のどこかに来る。

つまり国レベルで考えると、ほぼ確率1で起こる出来事にそなえる災害予算を組めばよい。政府の一般会計予算で治山・治水費用は約1兆円あるから、これを水害の被害の大きい都市部の堤防に優先的に配分すればいいのだ。このとき地元の意見を聞いてはいけない。

続きはアゴラで。

インフラ整備は温室効果ガスの削減より効率的だ

台風19号の被害は、14日までに全国で死者46人だという。気象庁が今回とほぼ同じ規模で同じコースだとして警戒を呼びかけていた1958年の狩野川台風の死者・行方不明は1269人。それに比べると台風の被害は劇的に減った。

このように水害が減ったのは、台風が減ったからではない。台風や集中豪雨の頻度は、ここ100年ほとんど変わっていない。自然災害が減らなくても被害が減った最大の原因は、台風情報が正確になり、堤防やダムが整備されたことだ。

続きはアゴラで。

弱小野党が強すぎる国会

森ゆうこ議員の質問通告の問題は、日本の国会の深刻な欠陥を示している。日本の政治改革で手本となったイギリスの議会では政府と与党は一体なので、重要法案は政府が優先して審議させるが、日本の政府は審議日程に口を出せないので、内閣が最優先する法案も、野党が協力しないと「審議未了で廃案」になってしまう。

このような国会の強い独立性は、戦後GHQのつくったアメリカ型議会モデルだが、結果的には万年野党を救済するしくみともなった。本会議で採決すると勝てない野党も、全会一致が原則の議院運営委員会では自民党と対等の拒否権をもつので、日程闘争が野党の唯一の武器になった。

野党の要望は自民党の政策に取り入れられ、その賛成するバラマキ福祉はできるが、反対する憲法改正はできない。単純過半数でできる小選挙区制法案も、国会に出るたびに審議未了で廃案になった。政府は日程をコントロールできないので、審議拒否されると法案が成立しないのだ。続きを読む

森ゆうこ議員の「質問通告」はなぜ深夜まで長引いたのか

官僚たちの反乱が始まったのは、台風19号が首都圏に接近している11日の深夜だった。「森ゆうこ糞」というアカウントをつくって経過報告した官僚(と思われる)は、午前0:52にこうツイートした。



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シルクロードが世界史の中心だった時代

興亡の世界史 シルクロードと唐帝国 (講談社学術文庫)
シルクロードといえば、ほとんどの日本人はNHKの番組ぐらいしか知らないだろうが、それはかつては「東西文明を結ぶ道」ではなく、世界史の中心だった。著者によれば、世界史は次の8段階に分けられる。

 1.農業革命(1万1000年前~)
 2.4大文明の時代(5500年前~)
 3.鉄器革命(4000年前~)
 4.遊牧騎馬民族の時代(3000年前~)
 5.中央ユーラシア型国家の時代(1000年前~)
 6.火薬革命(500年前~)
 7.産業革命(200年前~)
 8.自動車と航空機の時代(100年前~)

このうちわれわれがよく知っているのは6以降の時代である。その最大の特徴は、銃や大砲などの火器が最強の武器になった時代だが、それまで3000年にわたって最強の武器は馬だった。戦争だけではなく、移動や情報伝達、あるいは商取引や経済においても、馬の能力は圧倒的だった。

この時代は中国史では、唐宋変革として知られる国家統一の時代だった。それまで各地を分割していた異民族を統一する王朝が生まれたというのだが、それを統一したのは漢民族ではなかった。唐を建国した李淵(高祖)は鮮卑系の遊牧民で、それが後のモンゴルに至る遊牧民の国家の始まりだった。続きを読む






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