ゲーデルの証明した合衆国憲法の矛盾

「立憲主義」は、朝日新聞やガラパゴス憲法学者が空騒ぎしたので、頭の悪いリベラルのお題目ぐらいに思われているだろうが、いまトランプ大統領のやっている大統領令の乱発は、本物の立憲主義の危機である。

歴史上もっとも民主的だったワイマール憲法がヒトラーの出現をまねいた原因は、第48条の非常事態条項だった。それは「公共の安全・秩序の確保に失敗した場合には、ドイツ国大統領は、基本的人権の一部または全部を一時的に停止することができる」と定められていた。

この非常事態条項にもとづいてヒトラーは共産党の議員を逮捕し、議会の2/3以上の多数で全権委任法を可決して憲法を停止した。これは手続き的には違法ではなかった。アーレントがいうように、ナチスは「合法的な革命」であり、それを阻止するには「主権」を廃止して法の支配(立憲主義)を徹底することが必要だと彼女はのべた。

では合衆国憲法は、トランプがヒトラーになることを阻止できるだろうか? 1948年、ナチスから逃れたクルト・ゲーデルは、アメリカ市民権を取得するときの審査で「合衆国憲法には矛盾があり、独裁国家に合法的に移行できる」と主張し、入国審査官を驚かせた。

続きは2月13日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

日銀の「新幹線大爆破」



トランプ大統領がドル安を仕掛け、日銀の舵取りがむずかしくなってきた。このまま放置すると、1ドル=100円近いところまで行くのではないか。日銀が円高を防ぐのは簡単である。インフレにするのだ。それが金融政策でできないことは明らかになったが、日銀は国債を買って財政政策もやっているので、それを売ればいい。

そういう「出口」は、いずれやってくる。翁邦雄氏がいうように、現状は映画「新幹線大爆破」のように走っている新幹線の列車に爆弾が仕掛けられ、スピードが時速80km以下になると爆発する状態に近い。黒田総裁が「テーパリング」を示唆しただけで長期金利が上がり、国債を売ったら国債相場が崩壊するだろう。

シムズが来日したとき、マスコミの関心は消費税の凍結に集中したが、そんなことはどうでもいい。「物価水準=名目政府債務/国債の現在価値」だから、国債が値下がりすれば(ハイパー)インフレが起こるのだ。それは(ラムゼーの意味で)最適課税になりうる。

続きは2月13日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

韓国の救いなき「反日ポピュリズム」


朴大統領の辞任表明を受けた韓国の大統領選挙は元国連事務総長の潘基文氏が撤退し、「反日・親北朝鮮」を売り物にする左翼系の文在寅氏が勝つ見通しが強まった。こういう精神的途上国を相手にしてもしょうがないが、なぜこういうデマゴーグが毎度出てくるのかを理解しておく必要はある。

続きはアゴラで。

トランプ大統領の「憎悪のデモクラシー」



トランプ大統領の入国禁止令は世界に大混乱を巻き起こしているが、教科書的なポピュリズムである。これはラクラウのいうように記号としての「敵」を外部に作り出して民衆を団結させる、ラディカル・デモクラシーだ。その元祖はマルクスの「プロレタリア独裁」だが、それはヒトラーのホロコーストとも同じだ。

トランプの知性はマルクスとは比較にならないが、ブルジョア階級の代わりにイスラム教徒のテロを恐れる白人の感情をあおる戦術は巧妙だ。世界から非難を浴びても、国内の支持率は50%を超える。革命が成功する上で重要なのは、マルクスのような高度な理論ではなく、トランプのように大衆の憎悪をあおることなのだ。

続きは2月6日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

「万世一系のイギリス国王」を否定したジョン・ロック

完訳 統治二論 (岩波文庫)財産権の元祖ロックの話をしたついでに、彼のpropertyについて少し書いておこう。彼の『統治二論』を知らない人は少ないと思うが、読んだ人はもっと少ないだろう。彼が本書を書いた動機は、よく誤解されるように名誉革命の正当化ではなく、革命で権力を取った王党派の王権神授説の批判だった。

その代表が、フィルマー卿と呼ばれる(今ではロックに論破された人物としてのみ歴史に残る)貴族だった。彼は「神はエデンの園でアダムに王権を与えたので、その権限が長子相続でイギリス国王に受け継がれた」という「万世一系のイギリス国王」説を主張した。バートランド・ラッセルはこう皮肉った。
政治的権力がいかなるやり方においても、子供に対する親の権力と同等に考えるべきだ、といった考えは、日本以外にいるどのような現代人にも思い浮かばないであろう。確かに日本においては、フィルマーの言説ときわめて類似した説が今なお抱かれており、それはすべての教授や学校教師によって教えられねばならないとされている。(『西洋哲学史』p.612)

続きは2月6日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

JASRACの「演奏権」は自然権か

JASRACが音楽教室から著作権料を徴収する方針を決めたことに対して、ヤマハや河合楽器など大手の音楽教室が反発している。ネット上でも批判が圧倒的に多いが、これに敢然と反論したのがJASRAC理事の玉井克哉氏だ。

続きはアゴラで。

政府に「会社更生法」が適用されるとき

Interest and Prices: Foundations of a Theory of Monetary Policy
学生のころ、フリードマンの自然失業率の論文を読んで目からウロコが落ちたが、シムズのジャクソンホール論文は、それ以来だ。フリードマンが見事にスタグフレーションを説明したように、FTPLは長期停滞を説明した。それをフリードマンになぞらえると、自然失業率に相当する重要な概念が非リカーディアン均衡である。

政府の本源的な収入は税収だけだから、長期的には均衡財政になるというのがバローのリカーディアン均衡(中立命題)だが、政府は通貨を印刷して債務を返済できるので、理論的には「無税国家」も可能だ。ウッドフォードはFTPLの指導的な理論家だが、本書でも「政策が非リカーディアンなら、政府予算は外的な制約を受けない」という(p.315)。

つまりケインズ政策で景気は無限によくなるように見えるが、長期的には金利が上昇するとインフレで実質債務のデフォルトが起こり、金利と物価が発散する。それを防ぐために財政赤字を減らすと財政黒字の現在価値が上がり、民間投資をクラウディングアウトして物価が下がる。それは次の均衡条件で説明できる。

 物価水準=名目政府債務/財政黒字の現在価値

これは日本やEUが「非リカーディアン不均衡」にあるからで、それを非リカーディアン均衡に近づけて安定させようというのがシムズの提案だ。それには政府の過剰債務の整理が必要だ。会社更生法のように国民がインフレで「債権放棄」すると同時に、政府が社会保障などの債務を踏み倒してリストラするのだ。

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キリシタンは神仏習合した「日本教」



遠藤周作の『沈黙』を原作とする映画が、日本でも公開された。原作は日本的なので英米で映画になるとは思えなかったが、スコセッシ監督は「28年前に原作を読んだときから映画化したかった」という。私は映画を見ていない(見る気もない)ので、これは原作の感想である。

小説も映画もフィクションだから、その「正しさ」を論じてもしかたないが、原作はキリスト教というより、山本七平のいう「日本教」の典型である。タイトルの意味は「主よ、あなたはなぜ黙ったままなのですか」という訴えだが、キリスト教の神は超越的存在なので、信徒に語りかけてくることはありえない。ところが原作では、神は現世的な「弱い者の味方」として描かれる。

ただスコセッシはイタリア系だから、日本のキリシタンと似ている部分もある。それはキリスト教というより「神仏習合」した土着信仰だったのだ(以下はネタバレ)。

続きは2月6日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

消費税の増税延期では何も起こらない

シムズが来日し、「消費税の増税を延期せよ」と提言している。これはクルーグマンのいい加減な話とは違い、検討に値する。彼は安倍首相とも会うようで、「アベノミクス2.0」としてFTPLが採用される可能性も出てきたが、彼のインタビューには気になる部分がある。
――物価上昇が止まらなくなり、ハイパーインフレーションにはなりませんか。

(シムズ)そんなに大きな危険はない。人々はなぜハイパーインフレが良くないかを理解している。インフレは政治的にも不人気だ。どう対処すべきかも分かるし、対処のための政策手段も整っている。物価が上がるよりも素早く金利を上げる。財政政策でも対処できる。[…]

むしろ低金利環境が長引き、なかなか物価上昇率が高まらないケースの方が心配だ。最初は動かなくても、やがて急激に上がる瞬間が来る。急な調整を迫られる可能性もある。だからこそ物価上昇率が早めに、少しずつ上がるようにしておくべきなのだが。
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「放射能いじめ」の元祖は朝日新聞だ

aera朝日新聞は、このごろ「放射能いじめ」の追及に熱心だ。1月30日の「『放射能来た』いじめられ、でも「やめて」と伝えたら…」という記事では、転校先の小学校でいじめられた小学生の話を報じている。大したニュースではないが、これは朝日の方向転換を示唆している。

朝日新聞社の『AERA』は、2011年3月28日号の「放射能がくる」という全ページをつぶした特集で「首都圏が放射能で壊滅する」と報道し、人々を恐怖に陥れた。長期連載された「プロメテウスの罠」では「原発事故で鼻血が出た」という類の放射能デマを執拗に繰り返した。「放射能いじめ」の元祖は、朝日新聞なのだ。

続きはアゴラで。






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