嘘をついたのは森ゆうこ議員である

森ゆうこ議員は10月25日、次のようなツイートで(私を含む)多くの人を脅迫した。
彼女はここで「予算委員会のルールに基づく通告は、提出期限であった11日(金)午後5時までに提出されていた」と主張しているが、これは嘘である。

続きはアゴラで。

「温室効果ガス排出ゼロ」の国民負担は重い

ニュージーランド議会は11月7日、2050年までに温室効果ガス排出を「実質ゼロ」にする気候変動対応法を、議員120人中119人の賛成多数で可決した。その経済的影響をNZ政府は昨年、民間研究機関に委託して試算した。

その報告書では、いくつかのシナリオで2050年のNZ経済を予想している。2050年までのベースラインの平均成長率を2.2%とすると、2050年にCO2排出を(農業を除いて)実質ゼロにするEnergy ZNEシナリオでは1.5%となり、成長率が年平均0.7%ポイント下がる。


温室効果ガス削減による成長率の低下


続きはアゴラで。

天皇制という「新しい伝統」の創造

天皇と儒教思想 伝統はいかに創られたのか? (光文社新書)
天皇家をめぐる論争では、天皇が「万世一系」だとか、男系天皇が日本の伝統だと主張するのが保守派だということになっているが、これは歴史学的にはナンセンスだ。 万世一系は岩倉具視のつくった言葉であり、「男系男子」は明治の皇室典範で初めて記された原則である。

これは日本の伝統ではなく、儒教の影響だ。儒教は中国の皇帝を正統化するイデオロギーとして漢代に国教となり、唐代に科挙や律令制度を支える思想となった。日本の政権がそれを輸入して、大宝律令ができたのは701年。それまで「倭」と呼ばれていた国々は「日本」と呼ばれることになった。

それまでの政権は万世一系どころか、継体天皇以前は王家としてつながっていたかどうかも疑わしいが、そのうち有力だった「大王」(おおきみ)が「天皇」と呼ばれた。中国の建国神話をモデルにして『日本書紀』が書かれ、8世紀から遡及して多くの天皇が創作され、天皇家が神代の時代から世襲されていることになった。

このように天皇支配は律令制度を支える儒教思想にもとづいていたが、律令は当時でさえ日本の実態とかけ離れていた。武士が実権を握るようになると、天皇は忘れられた。それを明治時代に「天皇制」としてよみがえらせたのが、長州藩の尊皇思想だった。それは「王政復古」を掲げていたが、実際には新しい伝統の創造だったのだ。

続きは11月11日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

財政政策と金融政策の協調が必要だ

日銀の黒田総裁が記者会見で「政府が財政政策をさらに活用するなら、財政あるいは金融政策を単独で実施するよりも(政策)効果は高まる」と語った。これまで日銀が財政政策に口出しすることはタブーだったが、彼もようやく財政政策と金融政策の協調に向けて踏み出したようだ。

黒田総裁はこれを「財政ファイナンス」と呼ばれるのをきらって「ポリシーミックス」と表現しているが、いま世界的に議論されているのは、昔のケインズ的なポリシーミックスとは似て非なるものだ。

続きはアゴラで。

「琉球処分」は日清戦争の序幕だった

興亡の世界史 大清帝国と中華の混迷 (講談社学術文庫)
沖縄の問題と韓国の問題が似ているのは偶然ではない。どちらも19世紀まで清の属国だったという共通点があるからだ。これは華夷秩序という中国の伝統的な外交関係で、琉球は清の属国だったが、実質的には島津藩に支配されていた。

日本が琉球を全面的な支配下に置かなかったのは、それが日清両属であることで中継貿易の結節点になったからだ。琉球はこの地位を利用して貿易で繁栄したが、こういう曖昧な関係は明治以降は維持できなくなった。

日本は台湾出兵を行い、それを既成事実として沖縄の領有権を主張した。国際法では、領土は先に占有権を主張した国のものになるからだ。これに対して清は有効な対抗策をとれず、日本は琉球国を沖縄県として領土の一部にした。この1879年の「琉球処分」が、日清戦争の前例となった。

李氏朝鮮も清の属国だったが、その関係は国際法上は明確ではなかった。日本はそこに介入し、日清戦争後の下関条約で「朝鮮の独立」が明記された。日清戦争は、華夷秩序と国際法の制度間競争だったのだ。これによって華夷秩序は解体され、 朝鮮は大韓帝国となったが、それは日本の保護国になる第一歩だった。

続きは11月11日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

今井雅人・柚木道義議員の「サンフランシスコ質問」は議事録から削除せよ

アゴラの記事で指摘した国会質問の事実誤認(あるいは偽造)は今井雅人議員(立憲民主党会派)だけではなく、柚木道義議員(同)も10月23日の衆議院内閣委員会で「内閣府が図を漏洩したのではないか」と質問した。これを自分でツイートしている。

続きはアゴラで。

中央銀行は「財政ファイナンス」をコントロールできるか

日本ではまだMMTなどという古い話にこだわっている人がいるようだが、世界的にはそんなものは問題になっていない。大論争になっているのは、ブランシャールやサマーズの提案した財政と金融の協調である。この論争にスタンリー・フィッシャー(元FRB副議長)も参加した。

従来のマクロ経済学では、景気安定化策に財政政策を使うのは効率が悪く、金融政策でやるべきだと考えられていたが、2010年代の先進国経済(DM)は流動性の罠に陥って、金融政策がきかなくなった。他方で図のように、財政支出の余地(実質金利-実質成長率)は大きい。

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このため財政支出を増やすべきだという議論が高まっているが、財政インフレをコントロールする手段がはっきりしない。MMTのいうような増税は簡単にできない。フィッシャーの提案は、これを中央銀行が長期国債の買い入れでコントロールしようというものだ。

中銀は財政支出とインフレ率の目標を決め、イールドカーブがフラットになるまで長期国債を買い入れる。予想インフレ率が目標を上回ったら、買い入れをやめる。これは明示的な財政ファイナンスで、日銀のやっているイールドカーブ・コントロールに近い。しかし長期金利で財政はコントロールできるのだろうか。

続きは11月4日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

霞ヶ関のブラック労働は「行政国家」の末期症状

今年の8月、厚生労働省の若手チームの出した業務・組織改革のための緊急提言がちょっと話題を呼んだ。これは霞ヶ関でも最悪といわれる厚労省の労働環境について、現場のアンケートをもとに提言したものだ。

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そこには「厚生労働省に入省して、生きながら人生の墓場に入ったとずっと思っている」といった過酷な労働実態への悲鳴が並び、その大きな原因として「国会関連業務」があげられている。今や「モンスタークレーマー」になった野党への対応が、若手官僚の大きな負担になっていることがわかる。

この原因は日本独特の国対政治だが、そこには普遍的な問題も含まれている。ジョン・ロック以来の近代デモクラシーの原則では、主権者たる国民が選挙で議員を選び、彼らが立法によって政府をコントロールすることになっている。法を執行するのは官僚だが、その解釈は行政から独立した司法が決めるというのが、モンテスキュー以来の三権分立の理念である。

だが、そんな原則を信じている官僚はいない。事務量が膨大になった現代の先進国では、官僚が立法も行政も法解釈も実質的に行う。議会は官僚機構の決定を追認する機関にすぎない。このような行政国家をチェックする制度は、日本国憲法には存在しない。国民主権とか立憲主義とかいうとき、想定されているのは実定法による支配だけなのだ。

続きは11月4日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

モンゴル帝国のグローバル化はなぜ挫折したのか

アジア近現代史-「世界史の誕生」以後の800年 (中公新書)
本書の副題は「世界史の誕生以後の800年」。ここでは世界史が誕生したのは、チンギス・ハンがモンゴル帝国の初代カアンに就任した1206年である。それ以降モンゴルは中国から東欧に至るユーラシア大陸の大部分を版図に収め、世界史上最大の帝国を築いた。

これはウォーラーステインのいう近代世界システムより300年近く早いグローバリゼーションだったが、モンゴル帝国は200年足らずで崩壊した。中国では1368年に明が元を滅ぼし、中央アジアでは1370年にティムールがモンゴルを滅ぼし、ロシアでは1380年にモスクワ大公がモンゴルに勝利を収めた。

このようにあっけなくモンゴル帝国が崩壊したのはなぜかというのは明快な答のない問題だが、本書はそれを軍事帝国の限界と考える。モンゴルの最大の武器は馬だった。モンゴル兵は馬から弓矢を射て、歩兵との戦いでは圧倒的な強さを発揮した。チンギスやクビライは戦略家としても一流で、敵が戦わずして降伏することも多かったという。

しかしモンゴルには固有の文化がなく、征服した民族を同化できなかった。モンゴル軍に降伏すれば相手を殲滅することはなく、宗教や言語も元のままでよかった。モンゴル帝国の権威を示す建物はほとんど建設されなかった。こういうゆるやかな支配では、土着勢力が同時多発的に反乱を起こすと、少数派のモンゴル人が鎮圧することはむずかしい。

続きは11月4日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

与野党の談合する「国対政治」が官僚を疲弊させる



国会の騒ぎは、野党のいう「情報漏洩」の根拠がツイッターの日付の誤認だとわかって、急に静かになった。野党が国会で政策論争をしないでスキャンダルたたきに熱中するのは今に始まったことではないが、その起源は意外に古い。

続きはアゴラで。






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