「8割おじさん」はどこで計算を間違えたのか

5月12日のニコニコ生放送は【8割おじさん西浦教授に聞く】新型コロナの実効再生産数のすべて。西浦博氏の「42万人死ぬ」の計算根拠が聞けるのかと思ったら期待はずれで、ほとんどは実効再生産数Rtの計算についての一般論だったが、1枚だけ興味深いスライドがあった。

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新規感染者数(棒グラフ)とRt(折れ線・右軸)

これは専門家会議でも出てくるデータの最新版で、報告ベースの数字を2週間さかのぼり、発症日ベースにしたものだ。

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これを4月22日の専門家会議のシナリオ(西浦氏の計算と思われる)と照合すると、その計算違いは一目瞭然だ(図の左側が発症日ベース)。
  • 感染のピークは緊急事態宣言の11日前の3月27日だった。
  • 緊急事態宣言で大きく下方屈折するはずの新規感染者数の減少率は緊急事態宣言の前後で変わらない
  • Rtも3月下旬から1を下回り、緊急事態宣言の後も変わらない。
彼の予測が完全にはずれたことは明白だが、なぜこんなことになったのだろうか。

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高齢者を保護して休業要請を中止せよ



もう新型コロナの感染は峠を越したといっていいだろう。5月11日現在の日本のコロナ死者は643人。これをアメリカの8万3000人、イギリスの3万3000人と比べるだけで、どこの国が成功したかは明らかだ。14日に政府は緊急事態宣言を見直す予定だが、東京都・大阪府など13の「特定警戒都道府県」以外は、原則として解除する方向らしい。

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【更新】日本国憲法は「三権分立」ではない

検察庁法改正案をめぐって「三権分立を侵害するものだ」という批判が出ている。検察は行政機関なので、内閣が検察の人事権をもつのは三権分立と無関係だが、そもそも日本国憲法に「三権分立」という言葉はないのだ(2017年3月3日の記事の改訂版)。



ところが今回の騒動で知ったのだが、衆議院のホームページには上のような図が描かれ、次のように説明されている。

日本国憲法は、国会、内閣、裁判所の三つの独立した機関が相互に抑制し合い、バランスを保つことにより、権力の濫用を防ぎ、国民の権利と自由を保障する「三権分立」の原則を定めています。

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日本人が新型コロナに感染しにくいのはなぜか



このごろ海外メディアも「新型コロナで日本は違う」と気づいたようだが、その批判には首をかしげるものが多い。一時は「日本はロックダウンしてないから欧米よりひどいことになる」と批判していたが、それが外れると、たとえばBBCの記事はこう始まる。

日本で起きていることを理解したがっている人にとって不可解なのは、なぜ新型コロナウイルスの感染症COVID-19の検査がこれほど少ないのかだ。ドイツや韓国と比べたとき、日本の検査件数は0を1つ付け忘れているようにみえる。

このウィングフィールド=ヘイズ記者はドイツや韓国の検査件数を調べたのかもしれないが、普通の人は検査件数なんか知らない。大事なのは何人死んだかである。彼が「先進国」として日本が見習うよう求めているイギリスのコロナ死亡率は日本の100倍なのだ。

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日本の新型コロナ死亡率はなぜ欧州の100倍も低いのか

日本の驚異的に低い新型コロナ死亡率が、世界の話題になり始めた。たとえばイギリスの累計死者数は約3万人で、日本は550人。人口比でみると100倍近く違う。この差は、自粛や生活様式では説明できない。イギリスのロックダウンは法的強制による外出禁止令なので、それよりゆるやかな日本の自粛でこんな差が出ることはありえない。

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では原因は何だろうか。感染者数をx、回復者数をyとし、感染者数の変化率を実効再生産数Rtとすると、SIRモデル

Rt=Ro(1-x-y)x-x

と書ける。このモデルで計算してみるとわかるが、基本再生産数Roの影響が圧倒的に大きく、それ以外の変数をいじっても大した変化がない。これは微分方程式では変数より係数の変化の影響のほうがはるかに大きいという当たり前のことを示している。

ここでは所与のRoが社会全体に共通で永久に続くと仮定しているが、現実にはそんなことはありえない。一つの国で異なるRoの集団がある場合、その影響は自粛や生活習慣などの変数よりはるかに大きいので、集団ごとの減衰は大きく異なる。人口を老年・中年・若年の3世代モデルでシミュレーションしたのが、アセモグルのマルチリスクモデルである。

同じ計算は免疫力でもできる。たとえば(BCG接種で)自然免疫の強い人と弱い人の混合した集団ではRoが違うので、死亡率も大きく違う。これが日本の死亡率の一つの説明である。

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日本は実質的に「集団免疫」を実現した

きのうの記者会見で菅官房長官が「政府は集団免疫の考え方は採用していない」と述べた。政府は「徹底したクラスター対策による感染封じ込めで、感染のスピードを抑えながらピークを後ろ倒しにすることを目指している。国民の皆さんが集団免疫を獲得することを目的として行ってきていることではない」という。

これは当然だろう。5月1日の専門家会議の分析・提言でも「感染の拡大を前提とした集団免疫の獲得のような戦略や、不確実性を伴うワクチン開発のみをあてにした戦略はとるべきでない」と書いており、これはWHOの方針でもある。

しかし「集団免疫戦略」という政策は存在しない。スウェーデンも、高齢者を隔離してロックダウンしないだけである。その結果として集団免疫が実現するかもしれないが、しないかもしれない。それは収束の副産物であって必要条件ではないのだ。

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日本はハンマーなしでダンスできる

山中伸弥氏によると、日本政府の新型コロナ対策の基本方針は「ハンマーとダンス」に書かれているという。この原文は3月20日に発表され、ロックダウン支持派のテキストとして広く読まれているが、西村経済再生担当相がその翻訳を記者会見で紹介した。

この記事は専門家の論文ではないが、よく調べてやさしく書かれており、コロナを理解する上では役に立つ。中身は基本的にインペリアルカレッジの報告書を噛み砕いたもので、感染爆発が起こったときは、患者を隔離するなどの緩和(mitigation)だけではだめで、もっと強力な「ハンマー」で抑制しなければならないというものだ。



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新型コロナはなぜ3月末にピークアウトしたのか

専門家会議も国立感染症研究所も認めたように、日本の新型コロナウイルスの感染が3月末でピークアウトしたことは明らかである。この原因が4月7日の緊急事態宣言ではないことも明らかだが、では原因は何だろうか。

多くの人が指摘しているのは、3月からヨーロッパ・アメリカからの入国制限が強化され、3月末で(日本人の帰国者を除いて)ほぼ全面禁止になったことだ。ABOFANブログは、ヨーロッパからの帰国者を説明変数として新規感染者数をシュミレーションしている。

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新規感染者数のシミュレーション(ABOFAN)

これは専門家会議の出した新規感染者数(発症日ベース)とほぼ同じである。つまり3月の感染は標準的な疫学理論の想定する閉鎖系の中の現象ではなく、海外から輸入された感染だったと考えることができる。

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全国の実効再生産数(専門家会議)

2月下旬にイタリアで感染爆発が起こり、そこから全欧に感染が広がったので、ヨーロッパから来る外国人が増えると感染が増えるのは当然だが、不思議なのは4月以降、感染拡大が止まったことだ。普通は国内にウイルスが入ると感染が拡大するので、水際対策は無意味だとされている。

ところがコロナウイルスは、日本国内に入ると、急におとなしくなったようにみえる。ABOFANは再生産数を0.8と推定している。これは専門家会議の実測値とほぼ同じだが、2を超えていたヨーロッパよりはるかに低い。

ここから推定できるのは、感染の拡大を止めたのは自粛ではなく水際対策だったということである。従来の感染症の常識では、再生産数はどこの国でもほとんど同じなので、ウイルスが国内に広がったあとは海外からの流入を水際で止めるのは無意味だとされている。

だが今回はそうではなかった。コロナウイルスが国内に入ったあとも、海外から入ってきた外国人の感染力は日本人よりはるかに強いので、それを検疫で止める水際対策が有効だったのだ。では日本人の感染力がこれほど弱い原因は何だろうか?

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新型コロナウイルスは根絶できるの?

いつまでも同じようなコメントが来るので、こども版で書いてみました。新型コロナウイルスを根絶することはできるんでしょうか?

根絶というのはグーグル先生によると「根本から完全になくすこと」なので、普通に考えるとウイルスをゼロにするということですね。でもウイルスは1人の体の中に何兆個もいるので、地球上からゼロにすることは絶対できません。人類が根絶したウイルスは歴史上、天然痘ぐらいしかありません。

では新規感染者をゼロにするという目標はどうでしょうか? これはワイドショーにいつも出てくる累計の感染者ではなく、毎日あらたに発生する感染者の数なので、世の中から感染者をゼロにするという意味ではありません。

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専門家会議は「新しい生活様式」の説教よりデータを出せ



専門家会議が「新しい生活様式」を提言した。
  • 公園はすいた時間、場所を選ぶ
  • すれ違うときは距離をとる
  • 食事は大皿を避けて、料理は個々に
  • 対面ではなく横並びで座る
  • 毎朝、家族で検温する
など細々と生活様式についての説教が列挙されているが、余計なお世話である。こうした接触削減で感染の拡大が防止できたというエビデンスは何もない

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