電波オークションで政府もテレビ局ももうかる

政府が電波オークションの検討を始めたが、いまだに産経のような初歩的な誤解があるので、コメントしておく。まず電波利用料(産経は「電波使用量」と誤記)は、オークションと関係ない。これはオークションを導入しない言い訳として電波官僚が決めたもので、その基準が不透明だとか放送局の料金が安いとかいっても意味がない。そもそも電波利用料という制度が間違っているからだ。

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非核三原則の「持ち込ませず」は嘘である

NHKスペシャルという番組は過大評価されているが、つくっているのは半年ぐらい勉強した素人で、大部分は既知の情報である。きのう放送の「スクープ・ドキュメント 沖縄と核」も、昔は沖縄に核兵器があったとか、沖縄返還の密約で「有事の核持ち込み」が決まったとか、古い話ばかりだったようだ。

唯一の新情報らしきものは、スタッフが書いている1959年に那覇市で起こったという誤射事故だが、「もし(海に落ちないで)核爆発を起こしていたら、那覇の街が吹き飛んでいたでしょう」というのは誤りである。核弾頭は正確に起爆(implode)しないと核爆発しない。那覇市内に落ちても、ただの落下物である。

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吉田茂が密約でつくった戦後日本の「裏の国体」

自民党の高村副総裁が「来年の通常国会で憲法改正を発議する」というスケジュールを打ち出した。あと半年でやるとなると、安倍改正案に近いものになろう。ベストとはいいがたいが、国際情勢が緊迫しているときに国会で憲法論議ばかりやる悪弊を除くためには、改正したほうがいいと思う。

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北朝鮮の危機は悲劇の序幕か

Destined for War: can America and China escape Thucydides’s Trap?
ツキジデスの罠という言葉は習近平が(否定的に)使って有名になったが、著者がハーバード大学で主宰した歴史研究プロジェクトの名前である。それは新興国が既存の覇権国を脅かした過去500年の16のケース(日米戦争を含む)を研究したもので、そのうち12は戦争に至った。

本書は中国の脅威を論じた本ではないが、最後にランド研究所のシミュレーションを参照し、同様の結論を出す:戦争の最終的な勝負を決めるのは軍事力だけではなく、総合的な国力の差である。それは経済力だけではなく、政治的統合や民族意識も重要だ。

いま中国の民族意識は高まっているが、経済力にはかげりが見えている。共産党の政治的支配が崩れることは、長期的には不可避だろう。そのとき(中国の歴史でよくある)軍閥の内戦が起こるかもしれない。逆に朝鮮半島で米中の衝突が起こると、そこから政権が崩壊する可能性もある。中国共産党は、平時でも6500万人以上を殺したのだ。北朝鮮の軍事的冒険は、さらに大きな悲劇の序幕にすぎないのかもしれない。

続きは9月11日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

核を「持ち込ませない」原則に意味はない

きのうのVlogは軍事的常識のない人にはむずかしかったようだが、これからは一般国民も知っておくべき知識なので補足しておこう。非核三原則には法的根拠がないばかりではなく、日本政府が米軍に「持ち込むな」ということはできない。日米地位協定によって在日米軍はアメリカ政府の指揮下に置かれ、日本政府の支配には属さないからだ。

これは在外公館のような「治外法権」だが、その及ぶ範囲は基地の中だけではない。東京のまわりにある横田・厚木・横須賀基地の管制空域(横田空域)は、次の図のようにほぼ首都圏全域をおおい、旅客機はこの空域を避けて離着陸しなければならない。たとえば伊丹から羽田に飛ぶ飛行機は、房総半島に大きく迂回して南から着陸する。

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首都の上空が外国の管制空域になっているのは世界でも珍しいが、それを単に「対米従属」と批判してもしょうがない。こういう状態になった背景には、複雑な事情があるからだ。続きを読む

アメリカという主権者

戦争がイヤなら 憲法を変えなさい
国民主権と平和憲法が戦後日本の「表の国体」だとすれば、「裏の国体」は対米追従と在日米軍である。この二重構造は、劣化左翼にとっては「知ってはいけない」話らしいが、自民党政権には戦後ずっと受け継がれてきた。

もちろんアメリカが日本の主権者だということは、いかなる法律にも条約にも書かれていない「密教」だが、1981年に著者が日本国憲法を書いたケーディス(当時のGHQ民政局次長)に「第9条の目的は何だったのですか?」と質問したとき、彼は「日本を永久に非武装のままにしておくことです」と答えた。マッカーサーのメモには「自国の防衛のための戦争や戦力も放棄する」という指示があったが、その部分をケーディスが削除したのだという。
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「明治維新」という奇妙な革命

「維新革命」への道: 「文明」を求めた十九世紀日本 (新潮選書)
来年は明治150年である。私の子供のころは「明治100年」を祝賀するのは保守的な人で、明治維新を「不十分な上からの革命」として否定するのが進歩的な人だった。今はそれほどわかりやすい対立はないが、安倍政権の「明治150年記念事業」に反対することが進歩的だという対立は残っているようだ。

しかしこういう対立に、今も意味があるのだろうか。そもそも「明治維新」という区切りがあったのかという問題について、最近の歴史学はどちらかといえば否定的だ。もちろん制度上の区切りはあったが、17世紀から続く「長い江戸時代」の中で、1868年がそれほど特権的な節目とは考えられていない。今の社会の基本的な枠組は、江戸時代にできたという見方が多い。

明治維新は革命としては低コストだったが、政権の自称した「王政復古」(Restoration)だったわけではない。「文明開化」で見かけはがらっと変わったが、文明の中身は江戸時代と連続していた。江戸時代は中世というより近代に近く、それを「近世」と呼んでも問題は解決しない。本書は江戸時代を日本の「文明」が生まれた時期だと考えるが、それは実に独特な文明だった。

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EVで「オール電化」の時代は来るか

エネルギー基本計画の改定に向けた論議が始まったが、先週の言論アリーナで山本隆三さんも指摘したように、今の計画はEV(電気自動車)の普及をまったく計算に入れていないので、大幅に狂うおそれが強い。

新しい計画では2050年までにCO2排出量を80%削減するというパリ協定の長期目標の実行計画を出すらしいが、これは今の計画の延長上では不可能だ。日本の場合、図のようにCO2排出量を1960年ごろのレベルに削減する必要があるので、マイナス成長にするしかない。


日本のCO2排出量と目標値(出所:日本エネルギー経済研究所)

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米軍の「先制攻撃」はあるのか



北朝鮮がICBM発射に続いて「水爆実験」をやり、さすがにガラパゴス平和主義の界隈も静かになったようだ。客観的にみて、東アジアでこれほど戦争のリスクが高まったのは、朝鮮戦争の終わった1953年以来だ。具体的なシナリオはいろいろあるが、1994年にクリントン政権が実際に検討したのは、寧辺にある核施設の爆撃だ(写真はGlobal Security)。

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日銀の出口で「ハイパーインフレ」は起こるか

異次元緩和に「出口」なし! 日銀危機に備えよ (PHPビジネス新書)
日銀が財政ファイナンスで国債を買い支えたため、財政危機は「日銀危機」になった。マネタリーベースを毎年80兆円増やすというペースも60兆円程度に落ち、長期金利もゼロ%ちょうどをつけたので、このあとは上がるしかない。

これについて著者が今年6月に参議院の財政金融委員会で「金利上昇で日銀の評価損はどれぐらい出るのか」と質問したところ、岩田副総裁は次のように答弁した。
  • 1%上昇:24.6兆円
  • 2%上昇:44.6兆円
  • 5%上昇:88.3兆円
日銀は今は14兆円の評価益を計上しており、自己資本も6兆円ある。長期的には金利収入が増加するので、1%上昇ぐらいまでは耐えられる可能性があるが、問題は民間銀行だ。本書にはその話が抜けているが、IMFは地方銀行の過剰な不動産融資に警告している。

著者は昔から「財政破綻でハイパーインフレになる」といい続け、オオカミ少年ならぬ「オオカミ老人」といわれているらしいが、そういう「ハードランディング」は本当に起こるのだろうか?

続きは9月4日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。






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