炭素税って何?

4月の日米首脳会談では、炭素税(カーボンプライシング)がテーマになるといわれています。EU(ヨーロッパ連合)は今年前半にも国境炭素税を打ち出す方針で、アメリカのバイデン政権も、4月の気候変動サミットで炭素税を打ち出す可能性があります。マスコミは「日本は世界の流れに乗り遅れるな」といっていますが、これはそう単純な問題ではありません。



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企業の事なかれ主義が「キャンセルカルチャー」を助長する

呉座勇一さんのツイートが炎上して謝罪に追い込まれた。彼はアゴラでも八幡さんと炎上騒ぎを起こしたことがあるが、元のツイートはこんな感じで、大した話ではない。



この騒ぎが大きくなったのは、NHKが呉座さんを大河ドラマの時代考証からおろしたことだ。これは本人の申し出ということになっているが、「NHKに電凸しよう」というツイートがあり、抗議が来たことがトラブルになったと思われる。

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日本の感染症対策はなぜ過剰対策になるのか



岩田健太郎氏が、永江さんのSIRモデル批判が「荒唐無稽」だというが、これはSIRモデルを普通に読むと出てくる批判である。当ブログでも去年解説したように、感染可能性S(t)の初期値をS(0)と書くと、基本再生産数Roは次のように定義される。

 Ro=βS(0)/γ (*)

ここでβは感染率、γは隔離率で、Ro>1のとき感染が拡大し、Ro<1になると収束する。コロナのケースでは、1/γは世界共通に14日程度と考えられるが、問題は感染可能性S(0)である。普通はS(0)=1、すなわちすべての人がコロナに感染すると考えるが、これは強い仮定である。

日本とヨーロッパではコロナ死亡率が数十倍ちがい、高齢者と若者でも感染率や重症化率が大きく違う。このS(0)がファクターXであり、永江さんのいうように「いままでの数理モデルは「国民全員が罹患する」という前提が間違っていた」のである。続きを読む

メルケル 仮面の裏側

メルケル 仮面の裏側 ドイツは日本の反面教師である (PHP新書)
アンゲラ・メルケルは東ドイツの牧師の家庭に生まれ、科学アカデミーに就職したが、ベルリンの壁の崩壊でDA(民主主義の勃興)という小政党の結党メンバーになった。これは「改良社会主義」を志向する党で、それが東西ドイツの統一でCDU(キリスト教民主同盟)に吸収されたために彼女はCDUの党員になったが、その政治信条は社会主義的だった。

メルケルの実務能力は高かったので、CDUの中でコール首相の腹心として頭角を現し、副報道官としてスピーチライターになった。CDUは親米保守の立場だったが、当時のドイツではイデオロギーより統一の混乱を収拾することが最大の課題だった。党の実務を掌握したメルケルは東西バラバラの政治と多くの党の合従連衡の中で、派閥抗争を巧みに乗り切って副党首、党首、そして首相と順調に出世した。

その中で封印していた社会主義的な信念が、首相としての権力を確立した2010年代に出てきた。2011年の原発ゼロ、2015年のシリア難民の無制限受け入れは、その当時は世論に歓迎されたが、ドイツ経済の重しになった。

それはメルケルの左傾化というより、今までかぶっていた仮面を脱ぎ捨て、東ドイツ時代の社会主義に回帰しているのではないか、というのが著者の見立てだ。これを読んで、星新一のショートショート「雄大な計画」を思い出した。
三郎という青年がR産業の入社試験を受けたとき、社長から「R産業のライバル会社のK産業にスパイとして入社してほしい」と頼まれ、K産業に入社した。三郎は異例の昇進を果たして重役の娘とも結婚し、とうとうK産業の社長になった。それを見てR産業の社長は「計画どおりになったから帰ってこい」と言ったが…

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テレビ朝日の「出生の秘密」

新・電波利権ver.2 (アゴラPODシリーズ)
総務省の接待疑惑は、底なしの様相を見せてきた。谷脇総務審議官や山田内閣広報官のみならず、武田総務相がNTTのドコモに対するTOBの最中に持株の社長の接待を受けていたという事実も判明し、歴代の総務相と事務次官(旧郵政省系)はほとんど接待を受けていたと思われる。なぜこんな接待が総務省だけで続いていたのか。

その理由は簡単である。官民癒着を監視するはずの記者クラブが仲間だからである。彼らが「夜回り」と称してやっていることをNTTもやっているだけだから、その実態は記者クラブが誰よりも知っているが書けない。

これが今回の疑惑のコアだが、マスコミが隠すので、ほとんどの人が知らない。そこでもうデータは古くなったが、基礎知識の部分はまだ使えると思うので、2010年の拙著『新・電波利権』のPDFファイルをアゴラサロンで公開する。

テレビ朝日(全国朝日放送)が生まれたのは古い話ではなく、1977年である。それまで大阪に朝日放送があったが、東京にはNETという三流放送局があり、新聞とは系列化されていなかった。これを朝日新聞出身の三浦甲子二(テレビ朝日専務)が田中角栄に取り入って系列化し、朝日新聞社の支配下に置いたのだ。『新・電波利権』の第2章から引用しよう。
首相になっても、田中角栄と放送業界の関係は続き、さらに深まった。このとき彼が行ったのは、全国のテレビの新聞との系列化だった。初期のテレビ局は、新聞社とのつながりはそれほど強くなく、NET(現在のテレビ朝日)や東京12チャンネル(現在のテレビ東京)などは「教育専門局」という位置づけだった。系列も一本化しておらず、東京と大阪の局の間に「ねじれ」があり、毎日新聞系のTBSの番組が、大阪では朝日新聞系の朝日放送で流されたりしていた。
 
しかし、新聞経営が頭打ちになる一方、テレビがメディアの主役になるにつれて、新聞社がテレビ局を支配したいという要求が強まっていた。特にこれを強く求めたのは、キー局のなかに系列局をもたない朝日新聞だった。NETは、同じく教育専門局だった東京12チャンネルとともに「総合テレビ局」に免許が変更され、資本関係を整理し、朝日新聞が筆頭株主となって1977年に「テレビ朝日」と改称された。大阪の朝日放送も、TBSとの大規模な株式交換などによって、テレビ朝日の系列へと移され、TBSは大阪の毎日放送とネット関係を結ぶことになる。
 
このとき、資本関係の変更を調整したのも田中角栄だった。財界の要望によってつくられた東京12チャンネルも、当初は科学技術専門チャンネルとして1964年に放送を開始したが、経営不審に陥り、結局、日本経済新聞社に身売りされ、のちにテレビ東京と改称される。これによって

 読売新聞=日本テレビ
 毎日新聞=TBS
 産経新聞=フジテレビ
 朝日新聞=テレビ朝日
 日本経済新聞=テレビ東京

という新聞によるテレビの系列化が完成した。このように系列化されることによって、自民党はテレビばかりでなく系列の新聞社もコントロールできるようになったのだ。

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夫婦別姓が日本の伝統である

政府の「男女共同参画基本計画」が選択的夫婦別姓を認める方向になったことで、また論争が蒸し返されている。自民党内にも賛成の議員連盟ができ、流れは変わり始めているが、わからないのは夫婦別姓(正確には別氏)に反対する人々の論理だ。

たとえば高市早苗氏などの国会議員でつくる50人の議員連盟「『絆』を紡ぐ会」は、全国の自民党の道府県議会議長あてに出した文書でこう書く。
現行の夫婦同氏制度は、日本人が大切にしてきた家族の絆や一体感を維持する上で重要な役割を果たしており、同時に、子育てや夫婦親族相互扶助の環境づくりの土台になってきた。

選択的夫婦別姓導入の動きは、氏が個人に属すると考える人が、この時代の中で出てきたことに影響しているが(原文ママ)、そのことを以って、子育てや相互扶助に悪影響を及ぼしてよいはずがない。人間の中心は情緒であり、家族の絆は、その情緒のなかで紡がれてきた。何より子供たちへの心の影響(原文ママ)を考えれば、慎重になるべきだ。

一段落に二つも文法の誤りがある悪文だが、要するに夫婦同姓(同氏)が「家族の絆」だから守れという「情緒論」で、論理はない。夫婦別姓を認めない民法は世界中で日本だけだが、日本以外の国には家族の絆はないのだろうか。

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ゼロエミッションには炭素税と原子力が必要だ

How to Avoid a Climate Disaster: The Solutions We Have and the Breakthroughs We Need (English Edition)
ビル・ゲイツの地球温暖化への関心は、1990年代にアル・ゴアのスポンサーになったときから一貫している。2011年にGEPRを創立したのは彼の寄付によるものだが、そのときも温暖化懐疑論への批判を語っていた。本書ではIPCCの予測をベースにビジネスとして合理的なCO2排出削減の方法をのべている。

CO2濃度が今後どうなるかは不確実性が大きいが、それが自然に減ることはありえない。CO2が海に吸収されるスピードはそれが排出されるスピードよりはるかに小さく、元に戻るには100年ぐらいかかるので、排出量を減らす必要がある。先進国は2050年までに実質ゼロにすべきだという。

そのためには化石燃料の消費を減らすと同時に、巨額の技術投資が必要だ。その障害となっているのは、CO2の外部性のコストが安すぎることだ。ガソリンの価格がミルクより安いことが過剰消費をまねき、非化石燃料への投資不足が生じているので、価格の補正が必要だ。これを彼は緑のプレミアムと呼ぶが、普通の言葉でいえば炭素税である。

彼の提案するプレミアムは、たとえばガソリンに対して106%という高率の課税だが、それでも現在の技術の延長では、2050年にゼロエミッションは不可能だ。それを実現するには大きなブレイクスルーが必要だというのが、彼がザッカーバーグやベゾスや孫正義氏などとともにBreakthrough Energy Coalitionを立ち上げた理由である。

そのブレイクスルーの中でもポテンシャルが大きいのは(核融合を含む)原子力だ。これを「ビル・ゲイツは自分の原子力ビジネスへの利益誘導で温暖化の脅威を誇張している」という人がいるが、逆である。彼は多くの再エネ技術や蓄電技術にも投資をしているが、見通せる将来に再エネと蓄電だけでゼロエミッションが実現する見通しはない。再エネのバックアップとして原子力が不可欠なのだ。続きを読む

小泉進次郎氏の知らない「カーボンニュートラル」

小泉進次郎環境相が「プラスチックが石油からできていることが意外に知られていない」と話したことが話題になっているが、そのラジオの録音を聞いて驚いた。彼はレジ袋に続いてスプーンやストローを有料化する理由について、こう話しているのだ(Share News Japan)。
なんでじゃあこのプラスチックを、使い捨てを減らそうと思ってるかというと、プラスチックの原料って石油なんですよ! 意外にこれ知られてないんですけど、石油の色もにおいもないじゃないですか。

だからわからないと思うんですけど、石油って化石燃料で、この化石燃料、石炭・石油・天然ガス、これに依存して人間の経済社会活動が営まれる時代を変えよう!というのが、カーボンニュートラルであり、このプラスチックをもし使うのであれば、リサイクルが前提となる、ゴミが出ないサーキュラーエコノミーなんですよね。大量生産・大量消費・大量廃棄からの脱却はまさにそういうことですね。

小泉氏は「カーボンニュートラル」の意味を取り違えている。これはCO2の排出を吸収量と等しくするという意味であり、カーボン(炭素)の排出をゼロにするという意味ではない。そんなことは不可能である。

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テスラ社外取締役が日米首脳会談に関与する利益相反

4月9日に日米首脳会談が行われる予定だが、その事務局になるのが国連特使の水野弘道氏である。彼はテスラの社外取締役でありながら経産省参与となり、昨年10月に菅首相が打ち出した「2050年カーボンニュートラル」に影響を与えたといわれる。これは利益相反ではないかと週刊新潮に指摘されて経産省参与を辞任し、国連特使に転出した。


彼が菅首相に見せたといわれる「水野メモ」が関係者に出回っているが、そこには「テスラの時価総額は日本の自動車メーカー9社の時価総額の合計を上回っている」とか「日本がカーボンニュートラルを打ち出さないとESG投資に取り残される」などと書かれ、特に電気自動車へのシフトを強調している。

これを受けて経産省は、2030年代なかばまでに乗用車新車販売の「電動車」の比率を100%とする方針を打ち出した。この電動車はハイブリッド車を含むが、ガソリン車は全面禁止になって日本メーカーは苦境に陥り、テスラは日本で売りやすくなる。これはテスラへの利益誘導ではないか。

彼が日米首脳会談の事務局をつとめるのは、さらに大きな問題がある。これは4月22日からアメリカで開かれる「気候変動サミット」の一環なので、日米共同声明でカーボンニュートラルや石炭火力の新設禁止などの方針を打ち出すことが予想される。そういう政府の環境政策にテスラ取締役が関与するのは国益に反する。

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水素エネルギーって何?

政府のグリーン成長戦略では、2050年までに二酸化炭素(CO2)の排出を実質ゼロにすることになっています。その中で再生可能エネルギーと並んで重要な役割を果たすのが水素です。水素は宇宙で一番たくさんある物質ですから、これがエネルギー源にできれば、エネルギー問題は解決するんですが…

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