投資のきらいな日本人が国債を支える

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2008年のリーマン・ショックから、今年で10周年。私の金融資産の大部分はドル建ての投資信託なので、去年はいい年だった。図のようにダウ平均(青線)はこの5年で約2倍になり、その間にドルは約40%上がったので、ダウ平均インデックスを買った日本の投資家の資産は、円ベースで2.8倍になった計算だ。

日経平均(上の図の赤線)はまだ「リーマン前」の50%高でアメリカには及ばないが、銀行預金よりはるかに有利な運用であることは間違いない。長期をとると銀行預金が最悪の資産運用であることは明らかだが、日本人はリスク資産への投資をきらう。

キャプチャ

日本の家計金融資産の50%強は預金で、世界的にみても異常に片寄っているが、ゼロ金利になっても変わらない。おかげでこの20年をとると、図のようにアメリカの家計金融資産が3.11倍になったのに対して日本は1.47倍。運用で2倍以上の差がついたが、実質金利マイナスの預金が国債の相場を支えている。これはいつまで続くのだろうか。

続きは1月8日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

トランプ大統領の「精神状態」は大丈夫か


新年早々、金正恩が「核のボタンは机の上にある」といい、トランプが「おれの核のボタンはもっとデカい」とツイートして、世界が騒然としている。核の均衡を成り立たせている相互確証破壊(MAD)は、核保有国の指導者がすべて合理的だという条件で成立しているので、彼らの誰か一人でもmadだったら崩壊する。

アメリカ議会では、トランプの「精神状態」についての説明会が開かれたが、これはアメリカの「核の傘」の下にある日本にとっても他人事ではない。核の傘が存在するのは、日本への攻撃に対して米軍が必ず報復するときに限られるが、日米同盟への「ただ乗り」をたびたび批判している彼が、日本国民のために米兵の血を流すかどうかはわからない。

ところが日本は、核拡散防止条約(NPT)で核武装を放棄し、日米原子力協定で「余剰プルトニウムはすべて平和利用で消費する」と約束した。これによって核兵器で「自主防衛」する道は断たれたので、日本国民の安全はトランプの精神状態に依存しているのだ。

続きは1月8日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

「人権後進国」というレッテル貼りはやめよう


アゴラは自由な言論の場だから「人権派」の発言も自由だが、日本を「人権後進国」と呼ぶ駒崎さんの記事には違和感を覚えた。顔を黒塗りしたメイクが不愉快だ、と在日の黒人がツイートしただけで、なんで「日本全体に人権後進国のレッテルが貼られても、仕方がない」という話に飛躍するのか。

続きはアゴラで。

原子力技術にまだ夢はあるのか

遺言~私が見た原子力と放射能の真実~
1950年代以降、政府は国策として原子力開発を進めた。そのころ原子力は夢のエネルギーで、鉄腕アトムもドラえもんも動力は原子力で、エリート技術者が原子力に集まった。著者も夢を抱いて原子力技術者になったが、そのポテンシャルを十分発揮できないまま、原子力開発は3・11で頓挫してしまった。

しかし炉心溶融は原子力の宿命ではなく、軽水炉に固有の問題だ。軽水炉は核反応を制御棒で減速して水で冷却する構造なので、炉心溶融のリスクが避けられない。それはもとは軍事技術で、民間で使うには多重に安全装置をつけないといけない過渡的な技術と考えられていた。本命は制御棒なしで高速中性子を使う高速炉だったが、原子力潜水艦で実用化した軽水炉が世界標準になった。

著者の発明した4S炉も高速炉の一種で、出力は1万~5万kWと超小型なので制御しやすい。燃料を交換しないで(運転員なしで)30年運転でき、電源がなくなった場合も制御棒なしで自動的に核反応が止まるので、炉心溶融は起こりえないが、その実用化への道は遠い。

続きは1月8日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

丸山眞男と漫才師の共通点

アゴラこども版でふれた村本大輔の話は、丸山眞男と共通点がある。もちろんレベルはまったく違うのだが、村本の話は単なる無知ではなく、丸山を代表とする戦後リベラルの劣化版だからである。

丸山の憲法論は、最近の憲法学者のような解釈学的トートロジーではなく、国際情勢の分析にもとづくものだった。憲法問題研究会の最終報告である1964年の「憲法第九条をめぐる若干の考察」で、彼は憲法制定議会での吉田茂の答弁を引用して、自衛戦争を含むすべての戦争を放棄する立法趣旨を確認するが、それは解釈として正しいかどうかとは別の問題である。

丸山は「国家の一切の戦力を放棄することに究極の安全保障がある」という憲法の考え方が逆説であることを認めるが、それは「核兵器を増強すればするほど人々の安全感が低下する」という核兵器の逆説と同格で、「問題は、どっちの逆説をわれわれ日本人が選択するのか」だという。彼は国民が前者の逆説を選択すると思ったのだが、それは誤りだった。

続きは1月8日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

あけましておめでとうございます

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今年も年賀状を出さないので、ブログでごあいさつ。

今年は憲法改正が国会で議論になりそうです。自民党では去年の安倍案をもとにして、第9条の2(あるいは第3項)に自衛隊を「必要最小限度の実力組織」として条文に明記する案が出ているようです。これは「戦力を保持しない」と定めた第2項を残したまま自衛隊を書き込む苦心の策でしょう。

しかしこれだと今の法制局見解を条文化したようなものだから、何が「必要最小限度」なのかという神学論争がまた続きます。石破茂さんのいうように第9条2項を削除するのがすっきりすると思いますが、これには公明党が反対しているため、話が進まない。他方、希望の党や維新には改憲派がいます。

そこで私が提案したいのは、党議拘束をかけないで議論すること。憲法改正は議員立法なので、超党派でやってはどうでしょうか。もちろんその後には国民投票があるので容易ではありませんが、時間をかけて議論すれば、国民が「国のかたち」を理解するいい機会になるでしょう。

「1ミリシーベルトの神話」が風評被害を生む

きのう「福島県沖の魚介類の放射性セシウム濃度が2年連続で基準値超えゼロだった」という福島県の発表があった。これ自体はローカルニュースにしかならなかったのだが、驚いたのはYahoo!ニュースのコメント欄だ。1000以上のコメントがつき、その上位は「信用できない」というコメントで埋め尽くされ、しかも2000以上の「いいね」がついている。

続きはアゴラで。

高橋純子記者の「エビデンス? ねーよそんなもん」のエビデンス

日刊ゲンダイが朝日新聞の高橋純子編集委員にインタビューした記事がまだ話題になっているが、話が混乱したままネットに拡散しているので整理しておく。

「新聞記者は、ウラを取って書けと言われるが、時に〈エビデンス? ねーよそんなもん〉と開き直る」というのは日刊ゲンダイの記者が書いた地の文で、彼女がインタビューでそう言ったわけではない。この言葉は、彼女の『仕方ない帝国』という本の19ページに出てくる(クリックで拡大)。
嫌われたり読み捨てられたりしながら、読者の思考をちょっとでも揺さぶりたい。はい。きれいごとですよ、きれいごと。だけど、そこを曲げたら私のなかで何かが終わる。何かは何か。何かとしかいいようがない、何か。エビデンス? ねーよそんなもん

続きはアゴラで。

砂川事件から始まった「安保反対」の暴走

1月からのアゴラ読書塾で考えてみたい問題の一つは、戦後の政治の最大の争点だった「安保」は本当に争点だったのかということだ。1957年の砂川事件について今年11月、東京高裁は再審請求を棄却した。この事件は1959年に東京地裁で「米軍の駐留は違憲だ」という判決が出たが、最高裁で棄却された。

この判決は米軍基地の合憲性についての最高裁の唯一の判例で、集団的自衛権についての政府見解の根拠ともされたが、これについては政権に遠慮した「統治行為論」だという批判も強い。2000年代に発見されたアメリカ側の公文書では、当時のマッカーサー駐日大使が最高裁への「跳躍上告」を求めたことが判明した。今回の再審請求はそれを根拠にしたものだが、裁判所も事実関係は認めた。

憲法解釈としては、在日米軍は憲法の禁止する「戦力」にあたるという砂川事件の一審判決(伊達判決)はおかしくない。岸信介も「伊達判決は傾聴に値する」と回顧し、「こういう問題について一点の疑義もないような憲法をもたなければ嘘だ」と述べている(『岸信介証言録』)。彼が憲法を改正しようとしたのも、そういう疑義を解消するためだったが、「安保反対」の大波がそれを押し流してしまった。それは意味のある問題だったのだろうか。

続きは12月25日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

地デジのIP再送信を禁止する著作権法

今週のシンポジウムで、TBSの人から「キー局もインターネット配信したいが、著作権法が障害になってできない」という質問があったので、調べてみて驚いた。いまだに著作権法は、ケーブルテレビなどによる地デジのIP再送信を実質的に禁止しているのだ。

著作権法では、通信の場合は個別に著作権の許諾が必要になるが、IPマルチキャストのような放送型サービスは「有線放送」なので包括契約でよい、というのが世界の常識だ。ところが文化庁は「IPマルチキャストは通信だ」と主張し、2006年に著作権法を改正して、IP再送信は放送ではなく自動公衆送信という通信の一種と規定した。CATVは包括契約なのに、IPマルチキャストだけは「送信可能化」なのだという。

これによってテレビのIP再送信はほぼ不可能になったが、地デジの再送信だけは例外として「専ら当該放送に係る放送対象地域において受信されることを目的として送信可能化を行うことができる」と放送エリアを県域に限定して認めた。このためTBSの放送は、東京都内にしか流せない。ネット配信すればキー局の番組は全国に流せるのに、配信業者は隣の県では見られないように1年ぐらいかけて県境でルータの工事をしなければならない。続きを読む






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