1%の「愉快犯」が政治を変える

今回の参議院選挙ほど「諸派」が注目された選挙は少ない。自民・公明が勢力を維持する一方、野党が総崩れになった結果、マスコミに無視された「れいわ新選組」や「NHKから国民を守る党」が躍進し、得票率2%を超えて「政党」になった。

特にれいわは、山本太郎代表を比例区の第3位にする奇抜な戦術で、彼自身は落選したが、第1・2位の候補が当選した。毎日新聞の集計によれば、これは党名ではなく「山本太郎」と書いた有権者が96万人以上もいたためだ。



続きはアゴラで。

バブルはなぜ一挙に崩壊するのか

日本経済の停滞は1990年から始まった。最初は「失われた10年」といわれ、そのうち「失われた20年」といわれたが、最近は「長期停滞」といわれるようになった。先進国でも2008年の世界金融危機から「失われた10年」が始まっているからだ。

しかしサマーズやブランシャールのように、それを標準的なマクロ経済理論で理解することには限界がある。日本の1990年には、欧米の2008年のような決済機能の崩壊は起こらなかった。むしろ大手銀行はかなり早めにバブルの処理を始めていた。イトマンやEIEの処理が始まったのは1990年である。

不動産バブルが起こっていたことは明らかなので、公定歩合を引き上げた日銀の対応は正しかったが、それもすぐきいたわけではない。日銀が公定歩合を上げても、地価も株価も上がり続けた。1990年初めからの下げも、当初は一時的な調整だと思われていた。その流れを変えたのが、1990年3月に大蔵省の出した不動産融資の総量規制だった。

だがこれは結果論である。当時の新聞論調は「地価バブルを完全につぶそう」(朝日)、「居座り許せぬバブル地価」(毎日)、「地価対策の手綱を緩めるな」(読売)、「地価は落ち着いても楽観できない」(日経)という感じだった。NHKもバブルつぶしのキャンペーンを張ったが、誰もバブルがあれほど一挙に崩壊するとは思わなかった。

続きは7月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

「利上げしたらインフレになる」ケルトンの珍理論

MMTの提唱者であるステファニー・ケルトンが日本に来て、マスコミ各社を集めた記者会見を開いた。質問が集中したのはインフレの部分だ。彼女は「20年デフレが続く日本でインフレの質問ばかり出てくる」と笑っていたが、それは彼女のインフレについての説明が破綻しているからだ。



続きはアゴラで。

世代間格差は「誤解」ではない

朝日新聞が「年金、誤解の果ての不信」という記事を電子版で掲載している。何かと不安をあおる朝日には珍しく、政府の年金政策を擁護する記事だ。何が誤解かというと「公的年金を「払った分受け取れる私的年金と混同」しているのだというが、そんな誤解をしている人がどこにいるのか。

世代間格差を問題にしている多くの経済学者は、公的年金を私的年金と同じにしろといっているのではない。今の賦課方式の年金制度が、超高齢化する社会では将来世代との受益と負担の格差を拡大するといっているのだ。

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朝日新聞(少なくともこの記事を書いた太田啓之という記者)の考え方は厚労省の年金マンガと同じだが、厚労省も世代間格差がないとはいっていない。格差はあるが、公的年金は保険だから金銭の損得で判断してはいけないというのだ。これは奇妙な話である。保険を金銭で判断しなかったら、何で判断するのだろうか。

朝日新聞は「世代間格差は受け入れざるを得ない副産物」だというが、これは嘘である。年金制度としては積立方式もある。積立方式だと原理的には世代間格差をなくすことができるが、別のコストが発生する。それは費用対効果の問題である。賦課方式のメリットは、将来世代との生涯所得1億円の格差に見合うのだろうか。

続きは7月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

約束を破る韓国と約束を守りすぎる日本

河野太郎外相は19日午前、南官杓駐日韓国大使を外務省に呼び出し、朝鮮人労働者の訴訟について、日韓請求権協定にもとづく協議に韓国が応じないことに抗議した。これに対する南大使の「日本側に韓国側の構想をお伝えしてきており…」という通訳の言葉を、河野外相がさえぎって声を荒げた(動画の8:00以降)。



ちょっと待ってください。韓国側の提案はまったく受け入れられるものではない、国際法違反の状況を是正するものではないということは、以前に韓国側にお伝えしております。それを知らないふりをして改めて提案するのは極めて無礼でございます

続きはアゴラで。

解決策を提示せず国民の反日感情に火をつける韓国大統領府

韓国大統領府が朝鮮日報と中央日報の記事に「韓国の国内世論を日本に誤って伝えている」と批判し、両紙はその記事を電子版から削除した。政府が新聞の社説を公式に批判するのは先進国では考えられないが、事実誤認があるわけではない。

他の媒体に転載された記事も削除されたが、今の段階でネット上に残っている朝鮮日報の社説「解決策を提示せず国民の反日感情に火をつける韓国大統領府」の日本語版(元記事は削除)の一部を紹介する(強調は引用者)。
米国に韓日間の仲裁を要請した韓国大統領府の金鉉宗国家安保室第2次長は帰国の際「1910年の国債補償運動、そして1997年のアジア通貨危機で金を集める運動を行った時のように、今こそ一つとなって(日本の報復という)危機を共に克服しなければならない」と述べた。当初期待されていた米国による仲裁について確かな回答を得ることができなかったため、「国債補償運動」という110年前の運動を持ち出しはじめたのだ。

続きはアゴラで。

SMAPという「芸能バブル」の崩壊

公正取引委員会がジャニーズ事務所に、元SMAPのメンバーのうち事務所から独立した3人(稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾)の出演について民放に圧力をかけたとして「注意」した。これは行政処分ではないが、公取委が芸能界にこういう注意をするのは初めてだ。


AbemaTV公式サイトより

続きはアゴラで。

資本主義と闘った男

資本主義と闘った男 宇沢弘文と経済学の世界
本書は宇沢弘文の伝記だが、戦後日本の経済学の歴史にもなっている。彼は1950年代にアメリカに渡り、数学的な論文で世界の経済学界のスターになったが、40歳で日本に帰ってきた後の業績には見るべきものがない。この落差の原因は何だったのだろうか。

彼は資本主義と闘ったわけではなく、新古典派経済学と闘ったが、その闘いに敗れた。「新古典派は非現実的だ」とか「人間不在だ」という話は誰でもできる。経済学者の仕事はその理論を変えることだが、彼はその闘いに挫折して環境問題の活動家になった。コメの輸入自由化に反対し、晩年にはTPP反対の先頭に立って支離滅裂な話をするようになった。

本書で宇沢の仮想敵になっているのは、ミルトン・フリードマンである。彼の人格は高潔ではなかったかもしれないが、学問的に勝利したのはフリードマンだった。彼の自然失業率理論はルーカスの「合理的期待」を生み、それは数学的にエレガントだという理由でマクロ経済学の主流になった。宇沢は「合理的期待は水際で止める」と宣言し、複雑怪奇な不均衡理論をつくったが、使い物にならなかった。

宇沢が「市場原理主義」と呼んで闘ったのは、経済学そのものだった。それを否定することは経済学者の自己否定であり、彼のように学界で地位を確立した学者以外にはできない。彼の提唱した「社会的共通資本」の概念は曖昧で、学問的には何も生み出さなかったが、21世紀の資本主義で価値を生み出すのが市場化できない「無形資産」だとすれば、彼の闘いは無駄ではなかったかもしれない。

続きは7月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

「素朴ケインズ主義」に転向するアベノミクス

アベノミクスの指導者である浜田宏一氏が、MMTを意外に高く評価している。MMTは彼が1970年代に教えていた(私も学生として聞いた)素朴ケインズ主義である。おもしろいのは、彼がリフレ派を卒業したと明言していることだ。
金融緩和の効果がいろんな意味で薄れてきているのは事実です。デフレ脱却では、金融政策だけでなく財政政策も両方が必要なことは、私も「シムズ理論」にふれるまでは、十分、理解していたわけではありませんでした。
そして「私も国際的なマネタリズムという視点でみてきたわけですが、なかなか貨幣の需給だけでは説明が十分でないところが出てきています」という。「国際的なマネタリズム」という言葉は初めて聞いたが、たぶんかつて彼が力説していたマンデル=フレミング理論のことだろう。

これは「変動相場制では財政政策はきかないが金融政策はきく」という理論だが、実際に起こったのはその逆だった。その原因は単純である。金利がゼロに張りついた状況では、利下げで円安にもインフレにもできないからだ。彼もようやくそれを認めたわけだが、こうして誠実に間違いを認める人は少ない。

リフレ派は今、MMTを否定する分派と転向する分派で大混乱だ。財政政策の効果を認めない原理主義的リフレ派は旗色が悪く、間違いを認めないで「本当のMMTはリフレ派と同じだ」と称して転ぶ上念某のような手合いが多い。今後アベノミクスも「第2の矢」の財政政策に重心を移すだろう。

続きは7月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

どうやって「減らない年金」にするの?

参議院選挙で年金問題がよく話題になりますが、肝心の年金制度をどう改革するのかという政策がはっきりしません。ただ一つ「年金を減らさない」と明確に公約に掲げているのが共産党です。どうやって減らない年金にするんでしょうか?

それは簡単です。年金を減らすマクロ経済スライドという制度を廃止するのです。これによって「年金が7兆円減るのを防げる」と共産党は主張しています。マクロ経済スライドという言葉は何のことやらわからないと思いますが、日本年金機構の説明によると次のような制度です。
賃金や物価による改定率から、現役の被保険者の減少と平均余命の伸びに応じて算出した「スライド調整率」を差し引くことによって、年金の給付水準を調整します。
これでもよくわかりませんね。簡単にいうと、これは共産党のいうように年金を減らし続けるしくみです。図1のように、本来は上がるはずの年金支給額(実質)を減らすのがマクロ経済スライドですが、役所が「減らす」という言葉を使わないのでややこしいのです。

図1

続きはアゴラで。






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