原発の事故処理は安倍首相が政治決断するときだ

hairoけさ経産省の「東電改革・1F問題委員会」が開かれ、現在の「支援機構」の体制を来年以降も続けることになった。今年度中に国が手を引く予定だったが、逆に左の表(日経新聞)のように賠償・廃炉・除染などのコストが20兆円を超えることが判明したからだ。

今の想定では、国が支援機構を通じて東電に出資して賠償費用を立て替え、それを東電が経営を再建して返済することになっているが、時価総額6800億円の東電株の値上がり益で20兆円のコストを回収するのは空想だ。東電の広瀬社長も記者会見で認めたように、このままでは来年3月に「債務超過になって倒れてしまう可能性」がある。

続きはアゴラで。

会社整理は「約束を破る技術」



福島第一原発事故の賠償・廃炉費用が、20兆円を超えることが明らかになった。この番組で私は「18兆円」といったが、その後1週間で2兆円増えた。今の「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」という無責任体制でやっていると、ますますコストがふくらみ、その大部分が国民負担(税金と電気代)になるおそれが強い。

この点で参考になるのは、2010年1月に会社更生法の適用を申請した日本航空だ。当時も「法的整理は無理だ」とか「公的資金の投入はけしからん」という声が多かったが、結果的には経営を再建して2012年9月に再上場し、国からの借金をすべて返した。これは稲盛和夫会長の手腕と思われているが、最大の原因は会社整理で「暗黙の約束」を破ったことだった。

続きは12月5日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

近衛文麿の批判した「英米本位の平和」



ひところ安倍首相をヒトラーにたとえて騒ぐ連中がいたが、彼はファシストとは逆の「みこし」タイプだ。マスコミが大騒ぎしたおかげで安保法制では偉業をなしとげたようにみえるが、実際には1972年の法制局見解の枠を出ない。アベノミクスは何も結果が出せず、TPPは手間取っているうちにアメリカが脱退し、政府債務は増える一方で、原子力にも手をつけない。

安倍首相は政治的に危険な問題から逃げる日本型ポピュリストであり、その元祖は近衛文麿だ。初期の彼はそれなりに政治哲学をもっており、1918年に書いた「英米本位の平和主義を排す」という論文では、リベラルな国際主義は英米の既得権を守る秩序に過ぎないと批判した。

その後の世界は近衛の指摘したように国際連盟が機能せず、戦争になだれこんでいったが、彼も首相として指導力を発揮できなかった。ヒトラーのような独裁者がすべて決定したのではなく、近衛のような優柔不断な指導者しかいなかった日本が暴走したのはなぜだろうか。

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ハイパーインフレを防ぐには日銀法の改正が必要だ

日銀法は1998年に改正され、日銀の独立性が法的に保証された。これは1980年代に大蔵省の財源が足りない分を日銀が低金利で補おうとして、バブルを長引かせた反省によるものだった。理論的にいうと自然失業率は財政・金融政策とは独立なので、日銀の目的はインフレ率を安定化させることだけで、景気対策は含まれていない(テクニカル)。

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パリ協定は「リベラルな国際主義」の墓標

精神論抜きの地球温暖化対策――パリ協定とその後
2020年以降の気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」が国会で承認されたが、アメリカのトランプ次期大統領は脱退する方針を表明している。世界最大のCO2排出国が脱退すると、京都議定書と同じくほとんど実効性がなくなる。

だが実はアメリカは、脱退する必要はない。パリ協定は拘束力のない努力目標だから、単に無視すればいいのだ。その意味でこれは第1次大戦後の国際連盟のように、リベラルな国際主義の終焉を示す墓標だ。日本政府はまじめにパリ協定を履行するだろうが、その限界費用はスイスに次いで高い。

本書も指摘するように気候変動対策は(排出権取引も炭素税も)成長率を低下させるが、それは必ずしもトレードオフにはなっていない。たとえば炭素税を1万円/トン課税すると石油の価格は33ドル/バレル上昇し、原子力が圧倒的に低コストになるので、CO2を削減すると成長率が上がるのだ

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日本の政治を契約理論で考える

朴大統領のスキャンダルは韓国ではありふれた事件だが、日本では起こりえない。よくも悪くも、首相に「孤独な決断」はできないからだ。これは契約理論でいう残余コントロール権の問題と考えることができる。「主権者とは、例外状態に関して決定を下す者をいう」という『政治神学』の冒頭の有名な言葉は、残余請求権者の定義そのものだ。

続きは11月28日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

朴大統領が退任しても「負のデモクラシー」は続く

韓国の朴槿恵大統領が「任期短縮を含めて進退問題を国会の決定にゆだねる」と述べ、実質的に退陣を表明した。これは遅かれ早かれ予想されていたことで、韓国では珍しくない。軍事政権の大統領は(彼女の父を含めて)例外なく失脚するか殺され、文民が大統領になってもすぐクーデタで失脚した。

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朝日・岩波が支えた戦後の「表の国体」が終わる

iwanami神田・神保町の信山社が、東京地裁から破産開始決定を受けた。私ぐらいの世代にとっては「岩波ブックセンター」としておなじみで、本屋にない岩波書店の本も信山社に行けば必ずあるので便利だったが、気がつくと岩波の本はほとんど買わなくなった。

アゴラの書評欄でも今年103冊書評したうち、岩波は3冊だけだ(うち1冊は「読んではいけない」本)。その原因は、反原発派のパンフレットに化けた『科学』を見ただけでもわかる。

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ポピュリズムは「新たな階級闘争」

民主主義の革命―ヘゲモニーとポスト・マルクス主義 (ちくま学芸文庫)
トランプに代表される世界的なポピュリズムは、日本のマスコミがいうような特異現象ではなく、2008年以降の「大不況」がもたらした政治的危機だ。それは1930年代に全世界に社会主義が広がったのと同様の階級闘争であり、そのエネルギーが不平等や貧困へのルサンチマンであることも80年前と似ている。

しかし最大の違いは、ポピュリズムがブルジョアジーとプロレタリアートではなく、エリートと非エリートの闘争だということだ。ここで敵視されるのは「グローバリズム」を進める政治的・経済的エリートであり、大衆は「われわれは99人だ」と1人のエリートを攻撃する。

ポピュリズムの中身は各国で大きく違い、トランプには場当たり的なレトリックしかないが、ヨーロッパのポピュリズムにはそれなりの理論がある。特に注目されるのは、スペインの「ポデモス」の掲げるラディカル・デモクラシーで、その教祖が本書の著者エルネスト・ラクラウである。

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トランプは21世紀のレーニンである


今週の木曜から、渡瀬裕哉さんのトランプ・セミナーが始まる(まだ受け付け中)。私は3回目に彼と対談するが、トランプについてはほとんど何も知らない。ただ、こうしたポピュリズム革命は新しい出来事ではなく、その本質はカール・シュミットが100年近く前に解明している。

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