消費増税延期の判断基準は「日銀短観」ではない

自民党の萩生田幹事長代行は、10月の消費増税について「6月の日銀短観の結果次第で延期もありうる」と発言した。これは7月1日に発表される日銀短観のことだと思われるが、こんな短期的な指標で増税を延期することはありえない。延期する理由として意味があるのは、ゼロ金利がいつまで続くのかという基準だ。



続きはアゴラで。

ヘリコプターマネーで将来世代の負担は減る

T-POINT

日本では増税する必要がないという記事に「それでも財務省は増税すると思って若い世代は消費しないのでは?」という質問が来たが、これはもっともだ。減税しても将来の増税を恐れて消費しない現象は、経済学ではリカードの中立命題(等価定理)としてよく知られている。

現実には永遠の未来の子孫の増税を恐れて消費を控える人はほとんどいないが、日本のように政府債務が大きくなって、マスコミが「財政が破綻する」とか「将来世代の負担が重くなる」と宣伝すると、そういう心理的なマイナスの効果が大きくなる。これには(理論的には)解決策がある。政府が国民に一律に現金(あるいは商品券)を配ればいいのだ。

これはフリードマンが(冗談で)ヘリコプターマネーとして提案した思考実験で、荒唐無稽のようにみえるが、意外に合理的だ。現金は政府が返済する必要がないので、政府紙幣と同じく政府債務は増えない。インフレになるが、徐々に増やせばコントロールできる。将来の増税の心配がないので消費は増え、いま生まれていない世代の負担も減る、とBuiterは論じている。消費増税のポイント還元は、電子マネーのヘリマネでやってはどうだろうか。

続きは4月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

国債の「合理的バブル」はどこまで続くのか

金利がマイナスになるとはどういうことだろうか。そもそも銀行はマイナス金利の国債をなぜ買うのか――こんな疑問をもつ人は多いだろう。その答は簡単だ。もうかるからである。国債の金利は下がり続けているので、価格は上がり続けているのだ。

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これはきょう13時現在の日本国債先物の価格だが、152.45円。10年前の140円に比べると、10年で8.5%も値上がりした。リスクゼロで、これだけキャピタルゲインの出る金融商品は他にない。その一つの原因は日銀が国債を大量に買ったからだが、企業が貯蓄超過になって資金需要が足りないことが根本的な原因だ。

このように金利<成長率(r<g)になる動学的に非効率な経済では、慢性的に金余りなので安全資産に資金が集中してバブルが発生する。その対象は、1980年代には(安全資産と思われていた)土地だったが、90年代から国債に変わった。これは余った資金を回転させて資金配分の効率を高める合理的バブル(Tirole)で、理論的にはr=gとなるまで続く。

日本のバブルが崩壊したのは、不動産投資に資金が集中してr>gとなってからも公定歩合の引き上げが遅れ、資本収益率をはるかに上回る価格で投資が行われたためだった。しかし90年代から資金の集中した国債の金利は上がらず、r<gが20年以上続いている。これは日銀が買い支えているためだからバブルはそのうち崩壊する、と警告した人は(私を含めて)多いが、今までは崩壊しなかった。では今後、崩壊する可能性はあるのだろうか?

続きは4月22日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

消費税率8%のままでも財政は破綻しない

OECDの対日審査報告が「日本は消費税率を最大26%に上げるべきだ」と提言したことが話題になっているが、その前提には疑問がある。


図1 OECDの予想


図1がOECDのシミュレーションだ。2026~35年までにGDP比5%の増税(消費税20%)を行ってプライマリーバランス(PB)を黒字にした場合は、政府債務比率はGDPの150%に収斂するが、何もしないと債務が発散して、2060年にはGDPの560%に達すると予想している。

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中央銀行は独立性を失った。それが何か?

FRBが適切に仕事をしていたら(そうではなかったが)、株式市場は5000〜10,000ポイント上がり、GDPは3%ではなく4%をはるかに上回っていただろう。量的引き締めはキラーだった。FRBは正反対のことをすべきだった!

トランプ大統領が、FRBへの介入を強めている。理事にB級の身内を2人指名しただけでなく、パウエル議長にも利下げを要求している。Economist誌も、カバーストーリーで中央銀行の独立性が失われることを警告している。

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黒田日銀のマネタイゼーションはなぜ失敗したのか

日本の政府債務が先進国で最悪だということはよく知られている。粗債務ではGDPの236%、純債務でみても152%で、2位イタリアの約2倍だ。国債のリスクが政府債務に比例するとすれば、日本の長期金利はイタリアより高くなるはずだが、図のようにイタリアの金利が最高7%を超えたのに、日本の金利は1%からゼロだ。

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各国の長期金利

この図を見ると、日本やドイツのようなよい均衡と、イタリアやスペインのような悪い均衡があるように見える。日本では国民が政府を信頼しているので、政府債務が増えても金利が上がらないが、南欧では国民が政府を信頼していないので債券市場が国債に高いリスクプレミアムを要求し、金利が上がるのだ。このように金利(国債価格)は予想に依存する複数均衡になっているので「最適な政府債務」は存在しない。

ユーロ圏ではECBが通貨を発行するのに、国債を各国政府が発行する「ねじれ」が債務危機の原因になったが、日本政府は自国通貨を発行できるので、財政をコントロールしやすい。その特権を利用して、国債のマネタイゼーションという禁じ手でインフレ予想を生み出そうというのが、日銀の黒田総裁の発想だったと思われる(そんなことは公言できないが)。

これはよくできた戦略だったが、失敗した。その最大の原因は、財務省が財政赤字を減らしたからだ。マネタイゼーションが危険なのは財政への信頼をなくすからだが、日本はよくも悪くも財政への信頼が強すぎるのだ。財政赤字が減っているとき、それをマネタイズしても国債のリスクは増えないので金利は上がらず、インフレにもならない。黒田総裁は財務省出身なので「消費税を増税するな」とはいえなかったのだろうが、ここに彼の矛盾があった。

続きは4月15日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

新紙幣を「政府の電子マネー」として発行したら…

政府が2024年から新紙幣を発行すると発表したが、キャッシュレス化を進めているとき、時代錯誤な話だ。むしろ脱税の温床になっている1万円札は廃止すべきだ、というのがロゴフの提案である。そこで電子マネーの時代にふさわしい新通貨を考えてみた。



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5Gの電波はプラチナバンドに空いている



第5世代移動通信システム(5G)の電波割り当てについての比較審査(美人投票)の結果が出た。きょう政策カフェでその話をしたが、その結果がちょっとおもしろい。NTTドコモとKDDIが1位と2位で3.7/4.5GHz帯では2枠取ったが、ソフトバンクは最下位で1枠しか取れなかったのだ。その点数は4.7点と、楽天より少ない。

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ゼロ金利では賦課方式の社会保障が効率的になる

ゼロ金利の世界では、いろいろ直感に反する現象が起こる。Blanchard-Summersの指摘でおもしろいのは、賦課方式の社会保障が積立方式より効率的になることだ。社会保障の常識では、若者の所得を同時代の老人に移転する賦課方式は不公平で、積立方式にしたほういいと思われているが、金利が成長率より低い動学的に非効率な社会ではその逆になるのだ。

これを簡単な例で考えてみよう。これから50年間、人口も年齢構成も同じで成長率は1%、金利はゼロとする。いま20歳の若者Aの年収が500万円で毎年1%増えると、50年後の年収は822万円になる。他方いま70歳の老人Bがいて年収ゼロとすると、積立方式では生活できないが、賦課方式でAが収入の10%を社会保険料として払うと、Bは年収50万円になるので得する。

50年後には、積立方式だとAは社会保険料を年金として払い戻すが、金利ゼロだと元本が増えないので、年収は(年金の算定方式によって違うが)毎年60万円ぐらいだろう。しかし賦課方式だと、Aは50年後の現役世代の年収の10%をもらえるので、年収82万円になる。つまり賦課方式で今の老人は明らかに得するが、今の若者も(次の世代がいる限り)得するのだ。

これは高齢化による所得分配の変化を除外しているが、厳密な証明(Acemoglu ch.9)でも一般的に同じことがいえる。資本過剰で動学的に非効率なときは、賦課方式の社会保障は政府債務と同じくパレート改善的(すべての世代の利益)になる。直感的にいうと、ゼロ金利の時代には資産を積み立てるより若い世代の成長の成果をわけてもらったほうがいいのだ

続きは4月15日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

大坂なおみ選手は国籍選択しないと「違法状態」になる



パックンが「大坂なおみ選手の二重国籍が認められた!」というコラムを書いているが、これは蓮舫問題のときも出てきた誤解である。これは国籍法の改正ともからむので、訂正しておく。彼の論旨は
日本国籍をキープしたいなら、それを選ぶ「選択宣言」をしないといけない。そして、その後「外国籍の離脱に努める」ことが規定となっている。しかし、それに伴うチェック機能もなければ、離脱に努めていないときの罰則もなにもない

ということだが、これは間違いである。

続きはアゴラで。






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