日本経済を窒息させる「国家統制の罠」


今の日銀の政策をみると、こういう誤解が出てくるのはしょうがない。「新自由主義」が何を意味するのか知らないが、その元祖とされるフリードマンが提唱したのは「国家統制の金融至上主義」の逆である。彼は政府の裁量的な財政・金融政策を否定し、マネタリーベースの増加率を固定するルール(k%ルール)を提唱したのだ。

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理系はなぜだめになったのか

NHKニュースが「日本からノーベル賞が出なくなる」と報道している。ノーベル賞そのものは単なるイベントだからどうでもいいが、理系の生産性が落ちたことは事実だ(文系はもともとだめだが)。これからもっとひどくなるだろう。優秀な若者が、日本で研究者にならないからだ。

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その原因をこのニュースは「国立大学の法人化が悪い」とか「政府が科学技術にカネを出さない」という話にしようとしているが、図を見れば明らかなように、政府の科学技術予算は横ばいで、大学の定員は減ったので、教員一人あたりではかなり増えた。つまり問題は大学の予算ではないのだ。

大学教師なら誰でも知っているように、この時期に新規採用も減り、ほとんどが任期つきになった。教授や准教授の既得権(テニュア)を認めたまま、若手だけを「非正規」採用したので、40代で非常勤のままという研究者が増えた。そういう状況を見て、優秀な若者が日本の大学院に進学しないのは当然だ。

これは日本社会の縮図である。大企業が「正社員」の既得権を守って新規採用を減らしたので、若手が「非正規」のまま昇給しない。おかげで賃金が下がって雇用は増えたが、新陳代謝が止まって労働生産性は低下した。これを「アベノミクスで完全雇用になった」と自画自賛している政治家は、無知でなければ嘘つきである。

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中国が世界のEVを制覇する



JBpressの私の記事を「中国語に訳したい」という問い合わせが来た。中国は内燃機関で日本に勝てないことは明らかなので、EVで勝負しようとしているのだ。それは1980年代に日本に負けたインテルなどの半導体メーカーが取ったのと同じ戦略である。

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パラノイアだけが生き残る

パラノイアだけが生き残る 時代の転換点をきみはどう見極め、乗り切るのか
JBpressのEVについての記事に書いたモジュール化に関する誤解があるので、補足しておく。これは私が20年前に『情報通信革命と日本企業』で提唱した概念だが、単なる製品の「標準化」ではなく産業構造と一体だ。そういう「革命」を当事者が(まだ事態の進行中に)書いたのが本書である(原著は1996年)。

IBM-PCが登場する前の1980年ごろには、IBM、DEC、スペリー、ワングなどのコンピュータ各社がそれぞれ系列メーカーをもち、垂直統合型の生産システムをとっていたのに対し、90年代にはIBM-PCによって部品が標準化されたため、図のように部品ごとに世界市場ができ、グローバルな水平分業が成立した。この点でIBM-PCは、コンピュータ産業の構造が転換する分水嶺だった。同じことがEVで、自動車産業にも起こるおそれが強い。

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在日米軍基地は「旧枢軸国」を監視する施設である

在日米軍 変貌する日米安保体制 (岩波新書)
日米同盟は、正確には「日米軍事同盟」である。これはそう古い言葉ではなく、1981年の日米共同声明で初めて使われた。このとき国会で、社会党の土井たか子の質問に鈴木善幸首相が「軍事的意味合いは持っていない」と答えたのに対して、伊東正義外相が「軍事的な同盟」だと答弁したため、閣内不一致を追及されて外相が辞任した。

本書もいうように安保条約と地位協定は、アメリカが在日米軍基地を自由に使うための条約である。米軍基地が世界でもっとも多いのはドイツ、日本、韓国、イタリアである。「なぜ日独伊なのか」と問えば、答は明らかだろう。米軍基地は、旧枢軸国に駐留して監視するために設置されたのだ。

その後も米軍は既得権を離さず、日本政府は平和憲法に呪縛されて、数々の「密約」が結ばれた。本書はそういう資料をコンパクトにまとめていて便利だ。Nスペの「スクープ」と称する核兵器の事故(broken arrow accidents)も既知の事実で、1981年までに(沖縄も含めて)全世界で32件の事故が記録され、文書で公開されている。

もちろん岩波新書なので、著者は「米軍基地はないほうがいい」というのだが、北朝鮮の脅威が現実になったことも認めるので「現実的な選択肢」がうまく示せない。いろいろ苦闘したあげく、最後に出てくる唯一の具体例は、なんと「モンゴル国の国際的安全保障と非核地位」と題する1988年の国連総会決議である。日本もモンゴルを見習って「非核化」しろというわけだ。

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本百姓の共同体から「百姓成り立ち」へ

徳川社会の底力
近世の百姓は「生かさぬよう殺さぬよう」領主にいじめられていたというイメージがあるが、最近の研究では江戸時代の前期と後期でかなり違うようだ。18世紀前半までは土地が開墾されて人口も増え、本百姓(自作農)を中心とする村請による村落共同体の自治が確立した。

初期の徳川幕府は軍事政権の性格を残していたが、人口増加で災害の被害が増え、餓死や逃散が増えた。特に1780年代の「天明の大飢饉」では、東北地方の人口の2割近くが死亡したという。こうした災害で本百姓が没落する一方、豪農が広域的な土地を支配する地主になり、階層分化が進んだ。

飢饉で年貢が減ったので、領主は百姓を救済して税収を確保した。それが百姓成り立ちという制度だった。その方法には「夫食貸」と呼ばれる生活補助や「種貸」と呼ばれる生産補助などがあったが、公的補助の分配を決めたのは、領主支配を代行する「取締役」と呼ばれる地主だった。領主の仕事の中心は、戦争から「御救い」と呼ばれる社会保障に移ったのだ。

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「政治空白」をつくっているのは野党だ

臨時国会の冒頭解散で、10月22日投票というスケジュールになりそうだ。野党は例によって「解散の大義名分がない」とか「北朝鮮の脅威が強まっているとき政治空白をつくるべきではない」などと批判しているが、私はそうは思わない。安倍首相の意図は政権の延命かもしれないが、政治は結果がすべてだ。

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EVは「車のインターネット」である

世耕経産相は「EV(電気自動車)の潮流は拡大してきているが、いきなりEVにいけるわけでもない」と述べ、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)などいろいろな次世代自動車がある中で「戦略的によく考えて中長期的な視野で臨みたい」と語った。これは一般論としては間違っていないが、政府の戦略としては疑問がある。

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丸山眞男という巨象をなでる群盲

丸山眞男の憂鬱 (講談社選書メチエ)
かれこれ2年半ぐらい丸山眞男論を書いているのだが、なかなか先に進まない。彼の書いた学術論文は少ないが、講演や座談会が膨大で、いまだにそれが出版されるからだ。丸山を論じた新刊も出るので、先行研究を踏まえるアリバイとして読まざるをえない。本書もその一つだが、アリバイ以上の意味はなかった。一般読者にはおすすめできない。

丸山論のほとんどは弟子がありがたがる讃辞で読む価値はないが、たまに批判する本は文献を読む手間を省き、一部をつまみ食いして「群盲象をなでる」になってしまう。本書は「闇斎学と闇斎学派」を読んで(同じく闇斎学派を論じた)山本七平の『現人神の創作者たち』と比較するが、これは私の『「空気」の構造』と同じで、誰でも思いつく発想だ。

ところがこの比較だけで、本書はいきなり「私は丸山は、近代主義者ではないと思う。なぜなら、近代とはなにか、丸山はわかっていないから」(p.205、強調は原文)と断定する。それ以外に引用しているのは、丸山が20代に書いた『日本政治思想史研究』だけだ。これはまるで巨象の鼻をなでて「象とは筒のようなものだ」という盲人みたいなものである。私もこうならないようにしようと自戒した。

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私はなぜマスコミに出入り禁止になったか



私は20年近く前から電波オークションを提案してきたが、こんな当たり前の制度の実施がここまで遅れた原因は複雑である。アメリカで1992年にPCSオークションが行われたころは「落札価格が暴騰して通話料金が上がる」といった批判があったが、結果はその逆になった。ベンチャー企業が参入して、携帯電話の爆発的な普及が始まったのだ。

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