【速報】総務省が電波オークションを拒否

総務省が「第4世代移動通信システムの普及のための周波数の割当て」についての意見募集を行う。これは従来の「比較審査」方式で業者を選定するもので、規制改革推進会議の検討している電波オークションを否定する意思表示である。


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VHF帯のテレビの「跡地」はあいている


電波の問題をめぐってはオークションばかり注目されているが、根本的な問題は用途区分である。VHF帯の高い周波数(V-High)は総務省が「マルチメディア放送」に割り当て、彼らの選んだNTTドコモのNOTTVというサービスが行われたが、わずか3年で経営が破綻した。その黒歴史を簡単に振り返っておこう。

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「デフレではない状況」でもインフレにならない構造変化

安倍首相は所信表明で「デフレではない状況にした」と苦しい言い訳をしたが、コアコアCPI上昇率は0.2%で5年前より低い。完全失業率が2.8%と低くなってもインフレにならないのは、NAIRU(Non-Accelerating Inflation Rate of Unemployment)つまりインフレを加速しないインフレ率が下がったためと考えるしかない。これが自然失業率である。

これは労働市場の流動性やミスマッチなどの要因で決まる構造的・摩擦的な失業率で、景気対策で下げることはできない。政府の統計では「構造的失業率」などと言い換える。次の図はニッセイ基礎研の推定だが、構造的失業率は不良債権処理がピークを超えた2003年以降ゆるやかに低下し、2008年のリーマンショックで上がったが、最近では完全失業率を下回っている。
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循環的要因で決まる「需要不足失業率」は最近はマイナスになり、人手不足なので賃金が上がってインフレになるはずだが、実質賃金は横ばいでインフレは起こらない。そこには景気対策で変えられない構造的な変化がある。

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【更新】ネトウヨも左翼も誤解する電波オークション

週刊朝日のウェブサイトで津田大介氏が、電波オークションについて「解説」している。彼によると、安倍政権がいったんつぶしたオークションを導入しようとしているのは「政治的な思惑」があるという。
一度は自ら潰すことで放送局に大きな恩を売った現政権が、突如導入を持ち出した(そしてそれを政権に近いとされる産経新聞のみが報じている)ことには、経済的な面から放送局に揺さぶりをかけたい思惑が透けて見える。電波オークションは時代の流れとして導入すべき制度だが、同時に日本では政権のメディア統制という文脈があることも踏まえて議論しなければならない。
「経済的な面から放送局に揺さぶりをかけたい思惑」というのは、既存のテレビ局の電波を取り上げてオークションにかけるというネトウヨによくある誤解だろうが、そんなことはありえない。したがってそれによって「揺さぶりをかける」こともできない。民放連まで誤解しているのは困ったものだ。

総務省がオークションをつぶしたのは、現在の命令と統制による電波の配分を守るためだ。電波を「配給」する裁量権を政府がもっていれば、テレビ局(とその系列の新聞社)は呼びつけなくてもいうことを聞く。無線局免許を止める権限は今も総務省がもっているので、オークションとは無関係だ。

これは私も参加した2003年の会議で、レッシグなどが論じたことだ。ここでは「コモンズ」として利用することがベストだという議論と、電波を財産権で守るべきだという議論があったが、どちらも日本のような命令と統制による電波の配分は、合衆国憲法修正第1条(表現の自由)に違反するということで一致した。続きを読む

テレビ局の既得権を100%守る規制改革

民放連の公式サイトに井上会長の記者会見が出ているが、問題を根本的に取り違えている。これは15年ぐらい前からテレビ業界に受け継がれている都市伝説で、これがオークションを阻む最大の壁だ。
放送事業者は特に災害時において国民の生命・財産を守るため、割り当てられた電波を有効に利用し、公正・公平に、安定した放送サービスを提供するという極めて公共性の高い役割を果たしていると自負している。事業者を入札金額の多寡で決めるオークション制度には心配がつきまとうし、放送用、放送事業用周波数はオークションになじまない。オークション制度には反対である。
彼は何を心配しているのだろうか。規制改革推進会議の検討しているのは使われていない帯域の有効利用であり、すでに放送局が使っている周波数をオークションにかけることはありえない。「事業者を入札金額の多寡で決めるオークション制」という表現は、放送業界への新規参入を恐れているとも解釈できるが、その心配もない。

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沖縄をめぐる被害妄想の起源

だれが沖縄を殺すのか (PHP新書)
沖縄タイムスに掲載された琉球大学教授の暴行殺害事件初公判の傍聴記がちょっと話題になっている。米兵=強姦というステレオタイプで「迷いなく急所を攻撃できる、殺しのテクニックを持つ」という差別意識まる出しの記事を津田大介氏が拡散して批判を浴びた。

本書も指摘するように、米兵に犯罪が多いというのは嘘である。米軍の軍人・軍属は沖縄の人口の3%だが、犯罪検挙数は刑法犯の0.7%だ。1件の犯罪を「米軍基地は悪だ」と一般化するのは地元紙の常套手段だが、こういう被害者意識を生み出した事情は複雑だ。その起源は1947年に昭和天皇がGHQに伝えた、次のような天皇メッセージにさかのぼる。
  1. 米国による琉球諸島の軍事占領の継続を望む
  2. 占領は日本の主権を残したままの長期租借(25年ないし50年以上)によるべき
  3. 手続は日米の二国間条約によるべき
これが1990年代に発見された当初は「沖縄切り捨て」の起源だと思われたが、それは逆だった。マッカーサーは東アジア戦略の要となる沖縄をアメリカが今後も支配すべきだと主張したが、天皇はそれに対して米軍基地を認める代わりに、沖縄に対する日本の主権を守ったのだ。このメッセージがなかったら、その25年後に沖縄が返還されることはなかっただろうが、この「長期租借」という擬制が沖縄問題の起源になった。

続きは11月20日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

首都圏のテレビ電波は32チャンネルあけられる

規制改革推進会議と民放連が、電波オークションをめぐって闘っている。民放連の井上会長(TBS名誉会長)は定例会見で「われわれは多かれ少なかれ公共性を担っており、金額の多寡で決まる制度には反対する」と述べたが、これは意味不明だ。オークションは新たにあく周波数を競売にかける制度であり、既存の放送局には関係ない。

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与党質問なんかいらない

国会の与野党の質問時間の配分が、1対4から1対2に変更された。これを「大政翼賛会」などと騒ぐのも大げさだが、与党質問が増えると国会はさらに空洞化する。法案の内容は自民党政調会の事前審査でチェックされているので、与党質問なんて無意味である。

自民党の国会議員は内閣提出法案(閣法)に賛成するように党議拘束をかけられているので、国会に法案が出てから本質的な疑問は出せない。これは大山礼子氏の指摘するように、日本国憲法のモデルが合衆国憲法で、基本的に閣法を想定していないことが原因だ。憲法第41条では「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」と定めているので、厳密にいうと閣法は憲法違反である。

ところが明治以来の伝統では政府が立法して議会はチェックする機関だったので、法案の作成は官僚に丸投げになっている。そのギャップを調整する機関が部会で、ここが実質的な国会である。ここでは法案の細かいところまで族議員がチェックし、まれには否決されることもある真剣勝負だ。私はそのまれな事例に立ち会ったことがある。

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テレビ局はなぜ電波の有効利用を恐れるのか

規制改革推進会議では、電波の有効利用がかなり本気で議論されている。私もきょう説明したが、この問題の最大の障害はマスコミがまったく報じないことだ。その原因はいくつかあるが、すべて誤解である。
  1. 電波オークションでテレビ局の既得権が侵害されると信じている:これは足立康史氏などネトウヨの一部が流している話だが、まったく根拠がない。テレビ局が今もっている無線局免許をオークションにかけることはありえない(海外にもそんな例はない)。まして放送免許を取り上げてオークションにかけるなんて不可能だ。したがってオークションで脅して偏向報道を是正することもできない。

  2. オークションを電波利用料と混同している:この誤解は政治家にも影響を与えているが、電波利用料はオークションの代わりにはならない。これは郵政省がオークションを導入しなかったとき、その言い訳として創設したもので、海外にはない制度だ。「テレビ局の電波利用料が安い」というのがよく問題になるが、大した話ではない。オークションが実施できるなら、電波利用料は廃止してもいい。

  3. 有効利用とオークションを混同している:有効利用はオークションとは別の問題である。UHF帯の区画整理で約200MHzあけることができるが、オークションにかける必要はなく、Wi-Fiなどの免許不要帯に割り当てることも考えられる。テレビ局は今まで通り放送できる。
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治安維持法は何を守ったのか

治安維持法 - なぜ政党政治は「悪法」を生んだか (中公新書)
今どき新聞社に「死ね」などという国会議員が出てくるのは、メディアに対して国家権力が手を出せないと思っているからだろうが、刑法77条の「内乱罪」の最高刑は死刑である。破防法の最高刑は懲役3年だが、治安維持法と趣旨は似ている。

1925年に治安維持法ができたときも、それは世界的には珍しい法律ではなかった。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリアなどで共産党を規制する法律が制定されており、日本でも日ソ国交樹立で、コミンテルンが天皇制を打倒する方針を打ち出すことへの対策が必要だった。

ただ他国の法律が「暴力革命」を禁止するものだったのに対して、治安維持法は「國体を變革し又は私有財産制度を否認することを目的として結社を組織し又は情を知りて之に加入したる者は十年以下の懲役又は禁錮に處す」という漠然とした規定になっており、結社を禁じることが特色だった。

最高刑はのちに死刑に引き上げられたが、死刑に処せされた者はいない。これについて清水幾太郎は、1978年に「治安維持法はそれほどの悪法ではなかった」と書いた。戦時中もマルクス主義の文献は出版でき、弾圧されたのは日本共産党とそのシンパだけだったというのだが、それは本当だろうか。

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