ガラパゴス平和主義というモラル・ハザード

アゴラの記事が反響を呼んでいるので、ちょっと補足しておこう。「憲法9条で戦力をもたないで平和を守る」というガラパゴス平和主義は、日本が孤立した国だったらナンセンスだが、日米同盟があればアメリカに戦争のリスクを押しつけることができる。これをタレブの理論でいうと、次のようなペイオフの非対称性がある。

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日本が戦力をもっていないと平時には利益を得るが、戦争になると(点線のように)損害が出る。その利益の期待値をゼロに基準化すると、戦争のとき在日米軍でリスクヘッジできれば、利益の平均(期待値)はFになる。この「平和に賭けるギャンブル」は、賭け金が大きいほどもうかるのだ。

このペイオフ構造は株式市場のコール・オプションと同じだが、株式の場合にはその保証料(オプション価格)を取られる。ところが日米同盟は「思いやり予算」というわずかな保証料で、日本が米軍にただ乗りする不平等条約になってしまった。これは吉田茂のモラル・ハザードだったが、あまりにも快適なので与野党とも抜けられなくなった。

続きは7月24日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

マスコミを極左化させる「文学部バイアス」

最近マスコミの人と話すと、よく出てくるのは「新聞がワイドショー化した」という話題だ。森友学園や加計学園は中身のない話で、今週出てきた防衛省の日報も河野太郎氏によるとフェイクニュースだ。ロッキード事件やリクルート事件とは比較にならないが、扱いはそのとき並みである。

続きはアゴラで。

台湾政府は民進党の弱みを握った

JBpressで蓮舫問題の経緯をざっとおさらいしたが、今週の会見で疑惑はむしろ深まった。最大の疑問は、この1984年に失効したパスポートで、台湾政府の国籍喪失証明書が取れるのかということだ。

民進党は記者レクで「台湾政府の特別な配慮で喪失許可がおりた」と説明したが、その意味ははっきりしない。有効な旅券がなかったのに台湾政府が超法規的に許可した、といいたいようだが、それは考えにくい。

続きはアゴラで。

「日本の奇蹟」をもたらした<システム>

日本 権力構造の謎〈上〉
本書が出たのは1989年。「日本はなぜこんなに強力なのか」という謎を解き明かす「日本特殊論」(revisionism)の代表として世界的ベストセラーになり、翌年に日本語訳も出た。著者は日本に住むオランダ人で、当時は日本のマスコミにもよく出ていた。今はすっかり忘れ去られたが、本書はいま読んでも荒唐無稽な感じはない。

最近の加計学園や防衛省の騒ぎをみても、日本を動かしているのは国会や内閣ではなく、顔のない<システム>だという本書の指摘は今も当てはまる。その中身は東大法学部を頂点とする学歴エリートだという話は陳腐だが、残念ながら変わらない。

おもしろいのは、かつて「日本の奇蹟」を説明した本が、そのまま日本の失敗を説明するのに使えることだ。<システム>には中心がないが、かつてのように「成長という合意」があったときは官民協調で環境の変化に柔軟に対応できた。それは著者も指摘するように江戸時代から続く「抱き込みの包囲網」だが、そこには致命的な盲点があった。

続きは7月24日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

アベノミクスが甘やかした日本経済

「西洋」の終わり 世界の繁栄を取り戻すために
著者ビル・エモットはバブル絶頂期のEconomist東京支局長だったが、『日はまた沈む』という本でバブル崩壊を予想し、本誌の編集長になった。そこまではよかったが、そのあと彼が何度「日はまた昇る」と予言しても、日本は彼が東京にいたころのようなスーパースターには戻れなかった。

本書の第7章「日本という謎」では、その原因を90年代の不良債権処理から続いてきた財政・金融政策による企業の過保護に求める。日本の政府債務は、純債務でみるとGDPの130%ぐらいなので、ゼロ金利が続く限り財政が破綻するリスクは切迫していないが、最大のリスクはそれが破綻しないことだ。アベノミクスは収益の上がらない企業を甘やかし、改革を先送りしたため、日本の最大の病である「硬直性」が強まってしまった。

この診断は平凡だが、処方箋も単純である。チャーチルは「アメリカ人はつねに正しいことをする――他のすべての選択肢が尽きたときには」と言ったが、同じことは日本人にもいえる。政治家が企業を甘やかすのをやめたとき、彼らは初めて正しいことをするだろう。そして幸か不幸か、甘やかす財源は尽き始めている。

続きは7月24日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

台湾政府は国籍喪失を10月17日まで審査して9月13日に許可した?


きのう蓮舫側が出した書類には疑問が多い。台湾内政部長の国籍喪失許可証は通常の書式と違い、正式の写真ではなく蓮舫氏の斜め向きの写真(民進党のポスターのもの)が使われている。日付を隠すようにハンコが押されているが、拡大すると「中華民国105年(2016)09月13日」と読める。これはおかしい。

続きはアゴラで。

蓮舫代表は国籍離脱について嘘をついている

きょうの蓮舫代表の臨時記者会見は、おおむねアゴラで予想した通りだったが、意外なのは台湾政府の国籍喪失許可書(2016年9月13日付)が出てきたことだ。

蓮舫事務所が国籍喪失の申請をしたのは9月6日なので、わずか1週間で許可が下りることはありえない(通常は2ヶ月以上かかる)。先週は弁護士が「証拠として国籍離脱申請書を出す」といって失笑を買ったが、今週になって許可書が出てきたのもおかしい。

続きはアゴラで。

日本は江戸時代から「暇つぶし先進国」

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日本の反政府デモは平均年齢が高い。上の写真は安保法制のときのハフィントンポストの記事だが、平均年齢はどう見ても60歳を超えている。「憲法9条を守れ」というような宗教的信念を刷り込まれたのは私以上の世代だが、年金は十分あるので働く必要はない。デモは彼らの暇つぶしなのだ。

普通のサラリーマンは50歳ぐらいで仕事がなくなり、60歳で肩たたきを受け、65歳で定年退職してから平均20年ぐらい何もすることがない。どうやって老後の暇をつぶすかは、高齢化する日本で深刻な問題である。マスコミで加計学園のような些細な話が盛り上がるのも、1日中テレビを見ている団塊の世代の影響が大きいと思う。

暇つぶしにかけては、日本は先進国である。何しろ江戸時代には250年以上、内戦も対外戦争もなかったのに、日本中の300近い「国」がそれぞれ軍人(武士)を抱えていた。彼らは人口の1割近くいたが、戦争をしない国で退屈をまぎらわすには、きわめて高度な技術が必要だった。江戸時代の文化は、そのおかげで洗練されたのだ。

続きは7月24日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

ベーシック・インカムが可能にする自由時間の拡大

Basic Income: A Radical Proposal for a Free Society and a Sane Economy
アゴラで紹介したブレグマンのBIが話題になっているようだが、本質的に新しい話ではない。本書はこれを学問的に精密に論じたもので、ねらいはヨーロッパでも拡大する所得格差を是正し、技術革新で自由になる時間を合理的に使うことだ。

先週のJBpressでも紹介したようにBIの提案は昔からあり、1950年代にティンバーゲンなどが提案した。同じころスティグラーやフリードマンが負の所得税(NIT)を提案したが、70年たっても実現しない。それは従来の社会保障を根底からひっくり返すためだ。

実際にはBIはそれほど革命的ではなく、たとえば生活保護だけをBIに置き換えることも可能だ。最大の問題は財源をどうするかで、NITは所得税を想定しているが、これは不公平の原因だ。2008年のアメリカ大統領選挙でハッカビーが提案したのは、BIの財源を連邦消費税(VAT)に求める税制改革で、経済学的には合理的である。

続きは7月17日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

なぜ戸籍謄本の開示が必要なのか

蓮舫代表は前言をひるがえし、18日に「戸籍そのものではなくて、私自身が台湾の籍をすでに有していないことがわかる部分」を出すという。台湾国籍離脱の申請書は何の証拠にもならないが、かりに国籍離脱の証明書を見せたとしても、違法状態を否定する証拠にはならない。戸籍謄本を見せた小野田紀美議員もいうように、
続きはアゴラで。






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