復興をさまたげる「1ミリシーベルト」のタブー

丸川環境相が、除染の基準が年間被曝量1mSvとなっている点について「何の科学的根拠もなく細野環境相(当時)が決めた」と発言した、と一部のメディアが報じた問題について、国会で「誤解を与えた」と陳謝したが、発言は認めなかった。

記事のように彼女が「何の科学的根拠もなく」除染の基準を決めたと発言したとしたら、間違いである。民主党政権はICRPの線量基準を誤解し、誤った科学的根拠を適用したのだ。

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レガシー金融システムの終わりの始まり

Blockchain: Blueprint for a New Economy
銀行は政府の規制に守られて新規参入はほとんどなく、もうかるときは青天井だが、つぶれそうになると政府が救済してくれるおいしいビジネスだ。これは銀行が私企業でありながら決済システムという公共インフラを支えているからで、かつてNTTが公共的な通信インフラを支えていたのと同じだ。

ご存じのように通信に関しては、NTTの中央集権型レガシーシステムは分散型のインターネットに取って代わられたが、銀行はいまだにレガシーシステムで莫大な超過利潤を得ている。今回のマイナス金利をめぐる大混乱は、日銀がコントロールする中央集権的な金融システムの終わりの始まりかも知れない。

ただ低コストで「ベスト・エフォート」のインターネットが電話網を駆逐したように、分散型のブロックチェーンは、ゼロリスクを求められる金融より、本書の紹介しているようなデータの信頼性を保証する一般的なシステムから始まるかもしれない。

たとえば土地や著作物のように所有権をめぐる紛争の絶えないものは、最初にブロックチェーンに登録した人を所有者と決め、その情報を世界で共有して信頼を担保できる。そういうシステムを開発するベンチャーが、シリコンバレーには多数生まれている。

続きは2月15日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

郵政省はNHKの電波を止めようとした

アメリカ人のモーリーには信じられないだろうが、日本では政府が「政治的に公平でない」と判断した放送局の免許を停止し、電波を止めることができる。放送局を(その批判の対象である)政府が直接監督しているのは、OECD諸国では日本だけだ。

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60年安保は「反岸」運動だった

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安保反対の街頭デモも、北朝鮮の「水爆」実験や「人工衛星」のおかげで消えてなくなったが、その特徴は平均年齢が高いことだった。たとえば上の写真でも、中央で拍手している男性は70歳以上のように見える。全共闘というより60年安保世代だ。

60年安保の大衆運動の規模は今回よりはるかに大きかったが、目的ははっきりしなかった。保阪正康氏は『六〇年安保闘争の真実』で、「自分もデモに参加したが、何のためにやっているのかわからなかった」と書いている。全学連の幹部さえ、安保条約がどう改正されるのか知らなかった。

保阪氏の結論は、あのデモは「反岸」感情の爆発だったということだ。A級戦犯容疑者が起訴を逃れ、戦後10年あまりで首相になったことへの疑問は、普通の学生にもわかった。今回のデモも、岸の孫に対する「反安倍」感情の発散だろう。左翼はこの50年間、何も進歩しなかったわけだ。

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米軍は日本を守ってくれるのか

仮面の日米同盟 米外交機密文書が明かす真実 (文春新書)
北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射した。昨年成立した安保法制は朝鮮半島の有事を想定し、日本が攻撃を受けた場合に米軍が日本を防衛するので、それを自衛隊が後方支援するものだ。しかし日米安保条第5条には「共通の危険に対処する」と書いてあるだけで、アメリカが日本を防衛する義務はない。

安保法制のもとになった2015年の新ガイドライン(外務省訳)では「自衛隊及び米軍は共同作戦を実施する」と書かれているが、この原文はjoint operationsではなく、bilateral operationsつまり「二国の作戦」である。NATOのような統合指令部がないので、日米が各国の判断で戦うのだ。

ではアメリカは、どのような判断で戦うのだろうか。これについて著者が米国立公文書館で発見した1971年の機密文書(機密指定が解除された)には、こう書かれている。
在日米軍は日本本土を防衛するために駐留しているわけではなく(それは日本自身の責任である)、韓国、台湾、および東南アジアの戦略的防衛のために駐留している。[…]在日および在沖縄米軍基地はほとんどすべてが米軍基地の兵站のためにあり、戦略的な広い意味においてのみ日本防衛に務める(強調は引用者)。
つまり米軍の任務は日本を守ることではなく、東アジアにおけるアメリカの防衛線を守ることであり、そういう「戦略的な広い意味において」日本を守る必要がある場合には守る。在日米軍基地は、その補給基地にすぎないのだ。この方針は、今も基本的には変わっていない(冷戦終了後は弱まっている)。

尖閣諸島についても、アメリカは「共同作戦を実施する」とは一度もいっていない。日中の軍事衝突が起こった場合も、アメリカは「尖閣には巻き込まれたくない」というのが基本的な立場だ。安倍首相の「日本が攻撃されたら米軍が守ってくれるから自衛隊が支援する」という言葉は、いわば日本の片思いなのだ。

続きは2月8日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

憲法9条2項の改正を国会で論議すべきだ



国会の憲法論議で、いよいよ本丸の第9条が焦点になってきた。自民党の稲田政調会長が「憲法9条第2項の文言について、憲法学者の約7割が自衛隊はこの条項に違反する可能性があると解釈している」と質問したのに対して、安倍首相は「自民党の改正草案では、9条2項を改正して自衛権を明記し、新たに自衛のための組織の設置を規定している」と答弁した。

注目されるのは、これまで改正に消極的とみられてきた谷垣幹事長も「時代が変わると読んで字のごとくではないことが少しずつ蓄積されていく。それを解消していく努力はあるべきではないか」という表現で、改正を容認するニュアンスの発言をしたことだ。あとは公明党の態度が変われば、改正は視野に入ってくる。

「自衛隊は合憲だがその海外派遣は違憲だ」などという意味不明な論争を国会で蒸し返さないためにも、第2項は改正ないし削除することが望ましい。これこそ国会で論議すべき最大の問題である。

続きは2月8日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら

もし小泉進次郎がフリードマンの『資本主義と自由』を読んだら
自民党は、長期的な財政再建を考える「2020年以降の経済財政構想小委員会」を設置し、その事務局長に小泉進次郎氏を選んだ。稲田朋美政調会長は「将来世代が高齢者になるころの社会を見つめながら、社会保障改革をしっかりやっていく」と、社会保障に斬り込む姿勢を明言した。

これは今まで社会保障の破綻に見て見ぬふりをしてきた自民党が、選挙年齢が18歳に下がるのを見込んで「若者対策」に乗り出したのだろうが、党内では早くも強い反発の声が聞かれる。理論武装のために、この電子版でも読める未来マンガをおすすめしたい(彼は読んだそうだが)。あらすじは、こんな感じだ:

続きはアゴラで。

「事前審査」は帝国議会から始まった

自民党政治の源流―事前審査制の史的検証
民主党政権の政治主導が失敗に終わった一つの原因は、内閣と国会の独特の協調体制を理解していなかったことにある。本書は専門書だが、自民党システムの中核をなす事前審査が帝国議会から始まっていたことを実証している。

明治政府は実質的には長州の藩閥政権だったが、議会が法案に「協賛」することになっていたので、法案提出前に政友会と内閣の協議が行われる慣例があった。これは大政翼賛会になってから事前審査として制度化された。

これは意思決定を行政に一元化する「挙国一致」の行政国家という近衛文麿の理想とも一致していた。東条内閣で戦時体制になると議会の審議は空洞化し、閣議決定の前に事前審査ですべて決まるようになった。

戦後、GHQはアメリカ的な三権分立をめざして国会運営に内閣が介入できないようにしたが、これがかえって事前審査を強める結果になった。国会に提出された法案をどういう優先順位で審議するかは議院運営委員会で決まり、内閣は関与できなかったため、法案提出前に政府・与党で協議して100%完成された法案を出すようになったのだ。

続きは2月8日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

「賃上げ目標」に反対する

安倍首相が経済財政諮問会議で「最低賃金1000円をめざす」と表明し、きょうの日経新聞では、渡辺努氏が日銀の失敗したインフレ目標に代わって「4%の賃上げ目標」を提案している。これはリフレ派のようにナンセンスな話ではないが、実現不可能である。


上の図のように完全失業率が下がっているのに、実質賃金は下がり続けている。その原因は、同じ日経のシリーズで小峰隆夫氏が指摘しているように、団塊の世代が引退して契約社員として再雇用され、雇用の非正規化が進んでいるからだ。正社員が非正社員に代替される傾向はこれからも強まるが、日銀にはコントロールできないので、賃金は金融政策の目標としては無意味である。

続きは2月8日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンでどうぞ。

民主党政権の「政治主導」はなぜ失敗したのか

2016012701002122おとといの記事が反響を呼んでいるので、補足しておく。民主党が政権交代を実現した2009年のスローガンは「政治主導」だったが、彼らはこれを事務次官会議の廃止や政務三役の命令でやろうとした。それはまったく機能せず、官僚機構は動かなくなって大混乱になった。

また「政策決定の政府への一本化」と称して政務調査会を廃止した結果、官邸に仕事が集中してスタッフが足りなくなる一方、大部分の議員は官邸の決めた方針に従うだけで、ポストを失った。小沢幹事長はこれを自民党時代に戻して陳情の窓口を逆に幹事長に一元化し、意思決定の二重性はひどくなった。

続きはアゴラで。








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