経営者をバカ殿にする「日本型デモクラシー」

冨山和彦氏の本で印象的なのは、JALの資産査定を厳格にやったら、2500億円の債務超過だったというエピソードだ。おまけに運行に必要なキャッシュフローが1000億円以上も不足しており、そのまま放置すると2ヶ月以内に飛行機が止まる状態だった。

こんな「ゾンビ状態」でも、飛行機は普通に飛んでいた。もちろん乗務員はこういう財務状態は知らないが、経営陣もメインバンクも知らなかった。各部門がバラバラに経営され、労働組合が8つもあって、経営者に会社全体が見えない状態になっていたのだ。

こういう日本の会社は珍しくない。JBpressで紹介したNOTTVも、最初からだめだとわかっていたのに、ドコモの社長は「5年後に5000万台」という事業計画を語った(3年たっても175万台)。文系オヤジには技術がわからないので、現場のつくったパワーポイントを読み上げていたのだ。

よく日本の会社は、現場は優秀なのに経営者がバカ殿だといわれるが、そうではない。現場が実質的な権限を守るために、経営者に情報を上げないのだ。このように現場がボトムアップで意思決定を行なって上層部を無力化する構造は、天皇制や幕藩体制から日本軍まで続く日本型デモクラシーだ、と丸山眞男は論じた。

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次の「ブラック・スワン」はどこに出現するか

yamaichiECBがギリシャへの流動性支援を打ち切り、取り付けの殺到していたギリシャの銀行は閉店した。これは予想の範囲内だが、思い出すのは1997年11月の山一証券の破綻だ。

あのとき四大証券の一角が消えてなくなると予想した人は、ほとんどいなかった。「飛ばし」の責任者だった三木社長はすでに更迭され、営業出身の野沢社長は何もわからないまま記者会見に出席し、有名な「従業員は悪くないんです」という涙の会見をした。

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韓国人は実は日本が大好き


いろいろ話題になっている池上特番の疑惑だが、韓国人の聞き取りでもせりふの捏造は確実らしい。この程度のごまかしは民放ではよくあり、韓国語は聞き取れる人が少ないのでめったに問題にならないが、今回は番組の趣旨にあわないインタビューをすべて逆の日本語に訳したようだから、かなり悪質だ。

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百田尚樹氏の批判した電波利権

百田尚樹氏の「沖縄の新聞をつぶせ」という発言がマスコミの総攻撃を浴びているが、どのメディアも問題にしないのは、彼のその前の発言だ。東京新聞によれば、彼はこう発言した。
議員A マスコミを懲らしめるには、広告料収入をなくせばいい。われわれ政治家、まして安倍首相は言えないことだ。文化人、あるいは民間の方々がマスコミに広告料を払うなんてとんでもないと経団連に働きかけてほしい。

百田氏 本当に難しい。広告を止めると一般企業も困るところがある。僕は新聞の影響は本当はすごくないと思っている。それよりもテレビ。広告料ではなく、地上波の既得権をなくしてもらいたい。自由競争なしに五十年も六十年も続いている。自由競争にすれば、テレビ局の状況はかなり変わる。ここを総務省にしっかりやってほしい。

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「正しい戦争」からリアリズムへ

World Order: Reflections on the Character of Nations and the Course of History
国会は大幅に延長されたが、論議の中身は無内容な憲法論争や「巻き込まれ」論ばかりで、安全保障の中身はまったく議論されない。本書は古代ローマから現代までの「世界秩序」を語る壮大な歴史だが、それを貫くのは、キッシンジャーのリアリズムである。

それは第一に国際政治は理想や善意ではなく力の均衡で決まること、第二にウェストファリア的な国家主権は戦争の抑止力にはならないこと、第三に国際機関も頼りにならないので各国が相互不干渉の原則を守るしかないことだ。

1928年の不戦条約で「正しい戦争」という概念は廃止されたはずだったが、その後も世界大戦は起こり、冷戦は続き、国連は国際連盟と同じく無力である。こうした国際的アナーキーの中で、アメリカが中東などで「世界の警察」の役割を果たしてきたが、その結果はさらなる混乱だった。もう「アメリカの正義」を世界に売り込むのもやめるべきだという。

そして次のアナーキーの原因となりそうなのは、アジアである。それを防ぐ上でキッシンジャーが高く評価しているのは日本だ。中国はウェストファリア的な秩序に挑戦し、アメリカと太平洋を分割しようとしている。これに対して日本は欧米と価値観を共有できるアジアで唯一の国として、その地政学的な重要性は高まっているが、日本にはその自覚がない。

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韓国人はなぜ壊れたのか

おとといの日韓条約の記事がいまだにアゴラでトップなので、補足しておこう。金慶珠というのはホリプロに所属して反日言論でワイドショーを盛り上げる芸人らしいから、まじめに相手にする価値はないが、このように彼らが平気で嘘をつくのは、その悲惨な歴史に原因がある。

日韓条約はもともと必要のない条約で、戦後賠償でも謝罪でもない。植民地に対して賠償や謝罪をした旧宗主国はない。これは朴政権の危機を救済するための経済援助であり、8億ドル(無償3億ドル・有償2億ドル・民間3億ドル)は当時の韓国の国家予算の2.3倍だった。

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倫理意識の「古層」

第三巻 1963―1996 (丸山眞男集 別集)
ヨーロッパ人は100年以上かかってニーチェの呪いを解き、今ごろ<真理>や<正義>をいかに構築するかという哲学を論じているが、日本人はこの点では1周遅れのトップランナーだ。本書で初公開された丸山の論文「日本における倫理意識の執拗低音」は、日本人が「こころ」の美意識で社会秩序を維持してきたと論じている。

この論文は彼がプリンストン大学に滞在していた1975年に英語で書いたもので、「歴史意識の『古層』」および「政事の構造」と並ぶ「古層」3部作だが、「試論の域を出ない」ということで公刊されなかった。たしかに他の2本に比べると完成度は劣るが、注目すべき論点がある。それは古事記の時代から江戸時代に至るまで、日本人には規範意識がなかったという大胆な主張である。

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すべての根拠が失われた世界から

キャプチャ19世紀末にニーチェが予言したように、20世紀はニヒリズムの時代だった。近代市民社会の理想が2度の世界大戦で破壊され、社会主義の理想が崩壊し、あらゆる絶対的価値を否定するポストモダニズムだけが残った。

しかしすべてが無根拠なら、人はなぜキリスト教やイスラームを信じるのだろうか。量子力学や分子生物学は客観的真理だという通念も、たとえばSTAP細胞をめぐる騒動をみると、宗教と大した違いがあるようにはみえない。

むしろ本質的には根拠のない世界から、人々の共通に信じる<真理>がなぜ生まれるのか、という問題が21世紀の哲学のテーマになろう。本書はこのような「ポスト・ポストモダン思想」の論文集である(PDFで入手可能)。その中心になっているのは、最近メイヤスーなどフランスの若手が主張している思弁的実在論(speculative realism)だが、この名前はミスリーディングである。

少なくともメイヤスーの議論は、認識とは独立の実在を主張するものではなく、ヒュームの問題を「必然的実在とみえるものは本質的には確率的存在である」と考えることで解決しようとするものだ。それは「真理はいかに構成されるか」という問題を設定する点で、ジジェクもいうように「新ヘーゲル主義」とでも呼んだほうがいいのかもしれない。

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日韓条約の経済援助8億ドルは「はした金」だったのか


今週の「そこまで言って委員会NP」が話題になっているので、補足しておこう。ゲストに出てきたケバい化粧の金慶珠という韓国人は、韓国併合のとき韓国人が「一進会」という合邦運動に100万人も署名したと私がいうと、「そんなもの本当にあったんですか」と驚いて、スタジオの失笑を買った。

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「できる子」は正解を考えないで空気を読む

私の保育バウチャーについての記事がNewsPicksで総合トップになって大論争を呼んでいるが、次の塾教師のコメントには考えさせされた。
近年の塾や学校のテキストはよくできていて、左上に重要、新出事項[たとえば現在完了]が載っていて、一通りその部分の説明や解説を受けた後、ページの残りで問題演習をする形になっています。そこで、最初に当たる問題はただ単に空欄にhaveや動詞の過去分詞形を入れれば解けるようになっています。

しかし、ついさっき現在完了の説明を受けたにも関わらず、手が止まってしまう子がたくさんいます。授業のやり方になれて「最初の問題は習ったことを適当に書けば当たるじゃん」と考えるようにはなぜならないのでしょうか。このように考える子と、そうでない子との間にはなにがあるのだろうか、ということがずっと疑問でした。
これが「できる子」と「できない子」の本質的な差だと思う。昔、国語の先生が「答を選ぶときは何が正しいかを考えるな。出題者がどう答えてほしいかを考えろ」といっていた。そうやって日教組の先生に迎合できる子が東大に入り、役所やマスコミに入る。彼らのコア・スキルは「何が正しいか」を考える能力ではなく、まわりの「リベラルな空気」を読んで適応する能力なのだ。

続きは6月28日(日)配信の池田信夫ブログマガジンでどうぞ。








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