東京都はなぜ「重症病床数」で嘘をついたのか

緊急事態宣言が6府県で先行解除され、東京都で3月7日から延長するかどうかが焦点になっている。小池都知事は延長したいようだが、東京のきょうの陽性者数は232人。緊急事態の基準である500人を大幅に下回る。問題は病床使用率である。

次の図は2月15日のアゴラの記事で紹介した緊急事態宣言の6条件についてのNHKの表だが、東京都の「重症使用率103%」という数字が目を引く。これは素直に読むと「重症者の数が重症病床を上回っている」という意味だから、それが事実なら収容しきれない重症者があふれるはずだが、東京都の統計では今まで病床使用率が100%を超えたことはない。


緊急事態宣言の6条件(厚労省発表)

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山田真貴子事件の元凶は放送衛星を私物化する電波官僚

総務省の接待事件は、山田真貴子内閣広報官の辞任に発展した。接待そのものは大した事件ではないが、それに対する菅首相の対応が迷走し、政権末期の様相を呈してきた。

「首相の息子の接待」という話が注目されているが、根本的な問題は、なぜ今どきこんな時代錯誤の接待をしていたのかということだ。こういう習慣は1990年代まであったが、1998年の大蔵省接待事件で霞ヶ関からは姿を消した(はずだった)。

この事件で大蔵省では幹部が大量に処分され、国家公務員倫理法ができ、官僚の接待は原則禁止になった。それが今まで総務省に残っていたのは、電波行政の特殊性に原因がある。

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緊急事態宣言には効果があったのか

緊急事態宣言についての国立感染症研究所のプレプリントが投稿された。なぜ2回目の宣言が終わる前に出したのかよくわからないが、よほどあわてたとみえて、明らかなタイプミスが散見される。肝心の統計的な分析にも、疑問が多い。この論文の主要な結論は、次のようなものだ。
1回目と2回目の緊急状態宣言が感染を減らした効果は、統計的に有意だったが、GoToキャンペーンの影響は有意ではなかった。これは気候や移動の影響をコントロールした推定である。気温の影響は統計的に有意だが、湿度の影響を除くと有意ではなかった。
次の図の黒い線が実効再生産数R(t)で、緑の線が気温、オレンジの線が湿度、点が移動性である。これをみるとまずR(t)が昨年3月末にピークアウトし、ほぼ同時に移動が減り、5月中旬に最小になった。GoToトラベルの始まった7月下旬から逆にR(t)は下がり、8~9月には1を下回った。

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7月以降はR(t)に最大の影響を与えたのは気温で、ほぼ一貫して逆相関になっている。移動は9月から増えたが、R(t)が上がり始めたのは11月以降である。

こうした要因をコントロールして、緊急事態宣言などの人為的介入の効果を推定した値が次の図の赤線である。4月以降は一定の相関があるが、因果関係については何もいえない。R(t)がピークアウトした3月末以降に介入が始まったので、この時期には何もしなくてもR(t)は下がったはずだ。今年1月もR(t)が下がってから介入の影響が出ている。

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機械学習は人工知能になれない



アゴラ研究所と株式会社レアリゼは、5月からASBSというビジネススクールを始める。これは企業の社内研修を請け負うものだが、従来のように問題を解決する教育ではなく、新しい問題発見の能力を養成するものだ。

この違いは意外に大きい。学校教育は問題を与えてそれを解くための知識を教えるが、これでは今までなかった理論はつくれない。たとえば1905年に、あなたがそれまでの物理学の理論と実験データをすべて知っていたとしても、相対性理論を発見することはできなかっただろう。事実から理論は帰納できないのだ

これは機械学習と人工知能の違いでもある。顔のモデルをコンピュータに与えれば機械学習で本人認証できるが、モデルなしに風景の画像をいくら与えてもコンピュータは物体を認識できない。目的なしにいくら「ビッグデータ」を集めても、コンピュータが目的をつくることはできないので、「自分で考える機械」という意味での人工知能は不可能なのだ。

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慰安婦は自発的な「契約」だったのか

ハーバード大学のマーク・ラムザイヤーの論文、"Contracting for sex in the Pacific War"が、世界中で物議をかもしている。例によって「慰安婦を売春婦というのはけしからん」という批判が多いが、慰安婦が売春婦だったことは歴史的事実である。それは金銭を支払う商行為であり、日本軍が戦場に連れて行ったという「強制連行」説を裏づける文書はない。

問題は、それがどういう商行為だったかということだ。ラムザイヤーはそれが自発的な契約だったと考え、その合理性をゲーム理論で説明しているが、その根拠があやしい。

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池尾和人 1953-2021

なぜ世界は不況に陥ったのか
池尾さんが死去した。他人事とは思えない。私と同じ年で、生まれも育ちも同じ京都。私がNHKにいたころ番組でお世話になってから、ずっと付き合いが続き、一緒に本も書いた。アゴラにも何度も原稿を書いてもらった。

不良債権問題のときは、彼は早期処理を主張する「過激派」だったが、政治は自民党政権、非自民連立政権、自社さ連立政権と混迷を続け、そんなリスクを取れる状況ではなかった。処理を先送りしているうちに、1997年末からハードランディングが始まった。

それがデフレの時代の始まりだった。初期には日銀が流動性を供給すれば解決するという楽観論もあったが、池尾さんは一貫してゼロ金利では金融政策はきかないという正統派の立場だった。それは不幸にして正しく、今も日本の金融政策はきかないまま、財政ファイナンスに移行している。

池尾さんは狭い意味での金融政策にできることはないと見切りをつけ、経済システム改革に関心を移した。明治以来続いてきた政府中心の「開発主義」システムを成熟した市場経済に変えることが彼の目標だったが、いま時代はそれとは逆方向に回転している。

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電波官僚と放送業者の共通の敵



総務省の4人の幹部が東北新社の菅正剛部長の接待を受けていた問題は、単なる首相の長男の会食問題ではない。東北新社メディアサービスの木田由紀夫社長と総務省情報流通行政局の秋本芳徳局長の会話は、週刊文春の明らかにした音声ファイルによると次のようになっている。

菅「今回の衛星の移動も……」
木田「どれが?」
菅「BS、BS。BSの。スター(チャンネル)がスロット(を)返して」
木田「あぁ、新規の話? それ言ったってしょうがないよ。通っちゃってるもん」
菅「うちがスロットを……」
木田「俺たちが悪いんじゃなくて小林(史明衆院議員)が悪いんだよ」
秋本「いやぁ、でも(小林氏は)どっかで一敗地に塗れないと、全然勘違いのままいっちゃいますよねぇ」

これだけでは文脈がわからないが、この会食が行われた昨年12月10日は、衛星放送のチャンネル割り当てが吉本興業など3社に決まり、昨年11月に放送のスロット(中継器の割り当て)が変更された直後である。スロットを減らされた東北新社が秋本局長に文句を言ったのに対して、彼が小林議員を「勘違い」としている点が注目される。彼が総務政務官だったとき、BSに新規参入を認めたことが不満らしい。

この発言が国会で追及され、秋本氏は「能力不足の私からすると、(小林氏は)仰ぎ見る存在で常に成果を上げ続けている。失敗したことがある者のことも身を寄せていただくとありがたいな、という気持ちは持っていた」と発言を認めた。

こんな行政と業者のベッタリの関係は、今どき珍しい。ここでは電波官僚と業者の意見が一致していて、彼らの共通の敵は小林氏のような改革派の政治家である。そしてこの会話では、小林氏を「一敗地に塗れ」させる相談が行われている。

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朝日新聞が偽造する福島第一原発事故の歴史


ネット上で、この記事が激しい批判を浴びている。朝日新聞福島総局の入社4年目の記者の記事だ。事故の当時は高校生で、新聞も読んでいなかったのだろう。幼稚な事実誤認が満載である。

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コンピュータの歴史を変えた日本人

反省記―― ビル・ゲイツとともに成功をつかんだ僕が、ビジネスの“地獄”で学んだこと
西和彦さんとは10年ぐらい付き合いがあり、いいところも悪いところも知っているが、ひとことでいうと「パッション」の人である。これはいい意味では「情熱的」で、一つのことに熱中して大事業をなしとげるが、悪い意味では「感情的」で、カッとなると前後を考えないで暴走する。

本書の最初に書かれているマイクロソフト初期のエピソードは有名である。IBMがOSを買いに来たとき、マイクロソフトにはOSがなかったので、ビル・ゲイツは断ろうとしたが、西さんは近所のメーカーからOSを買ってきて改造することを提案した。これがMS-DOSの誕生である。

本書には書いてないが、このときマイクロソフトがわずか2万5000ドルで買ったOSはディジタルリサーチのCP/Mの模造品で、今なら著作権法違反だった。マイクロソフトは大急ぎでそれを改造し、自社開発のOSとしてIBMにライセンスした。これがコンピュータの歴史を変えた決断だった。

このときマイクロソフトがMS-DOSをIBMに売却していたら、それはIBMのOSになったが、ビル・ゲイツはその著作権をもち、IBM以外のメーカーにもライセンスした。他のメーカーが同じようなマシンをつくってもIBMと競争できるはずがない、とIBMは考えたが、これがIBMを倒産の瀬戸際まで追い詰める大失敗となった。

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民主党政権の「原発事故責任」を総括するとき

東電福島原発事故 自己調査報告 深層証言&福島復興提言:2011+10まもなく3・11から10年になる。本書は当時、民主党政権の環境相として福島第一原発事故に対応した細野豪志氏の総括である。当時の政権の誤りを反省し、今も続くその悪影響を考えている。

あの事故が民主党政権で起こったのは、不幸なめぐり合わせだった。菅直人首相はヘリコプターで現地に乗り込んで事故処理を妨害し、政権は過剰避難を勧告して、現地には大混乱が起こった。そして細野氏が設定した1ミリシーベルトという環境基準が除染に莫大なコストをもたらし、今も被災者の帰宅を妨害し、福島の農産物や魚に風評被害を起こしている。

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