左翼小児病を生む「純粋信仰」

日本人と「日本病」について (文春学藝ライブラリー)
古賀氏のように「リベラル」が極左化して自滅するケースは珍しくない。私はそういう人を山ほど見てきた。中には内ゲバで殺された人もいたし、職場を追われた人もいた。それは彼らが悪意をもっていたからではなく、むしろまじめで純粋な人ほど、そうなりやすい。彼らの脳内にあるのは、山本七平のいう純粋信仰だと思う。

どこの社会でも倫理や規範は宗教にもとづいているものだが、日本社会には普遍的な宗教がないので、「自分の利益にならないことをする」とか「他人につくす」といった原初的な規範しかなく、それが美意識となって人々を強く拘束する。これを丸山眞男は古事記に見出し、キヨキココロの倫理と呼んだ。
続きを読む

古賀茂明氏の被害妄想ワールド

キャプチャ

古賀茂明氏が「報道ステーション」で、番組と関係なく「テレビ朝日の早河会長とか古舘プロジェクトの佐藤会長の圧力で降ろされるのは残念だ」という恨み節を語り始め、最後は"I am not ABE"という(局に無断で)自分でつくったプラカードを掲げる珍事件が起こった。前後15分近く、出演者が私怨をぶちまけたのは放送事故に近い。
続きを読む

日銀の「異次元緩和」はどこへ行った?

きょう発表された2月の消費者物価上昇率(生鮮食品・消費税を除く)は前年比0%と、めでたく振り出しに戻った。2年前の黒田総裁の「2年で2倍」の宣言どおり、マネタリーベースは2.1倍になったが、図1のように物価は下がっている

fig1
図1 コアCPIとマネタリーベース(右軸:2013年1月=1)
続きを読む

無条件の歓待というユートピア

ならず者たち
21世紀の戦争が、国家と<国家でないもの>の非対称戦争になることを劇的な形で示したのが、まさに2001年に起こった9・11だった。デリダはここにヨーロッパ的な戦争という概念の終わりをみる。アメリカは90年代に「ならず者国家」を敵として指定したが、21世紀に現れた敵は国家でさえない「ならず者」だった。

領土を争奪する古典的な戦争に代わって起こっているのはグローバリゼーションという名の新しい戦争であり、国連の決議さえなしにイラクを攻撃したアメリカは、ヨーロッパ的な普遍主義も捨て、世界の主権者としてふるまい始めた。ここでは法によって主権を制限するという近代国家の原則も破棄され、無条件の主権者が世界を支配しようとしている。
続きを読む

イスラム原理主義というパルチザン

パルチザンの理論―政治的なものの概念についての中間所見 (ちくま学芸文庫)
戦後70年は幸い戦争がなかったが、今後の70年もそうとは限らない。それは安倍首相の想定しているような国家と国家の戦争ではないかもしれない。

マルクスもエンゲルスも革命の見取図は描いたが、実現できなかった。それを最初に実現したのは、彼らの予想もしなかったロシアだった。そのときレーニンが参考にしたのは、クラウゼヴィッツだった。彼は『戦争論』の膨大な読書ノートをつけ、来たるべき革命が既存の国際秩序を破壊するものであることを学んだ。
続きを読む

主権国家が終わり「世界内戦」が始まる

正戦と内戦 カール・シュミットの国際秩序思想
戦後70年を総括するとき、あの戦争が<侵略>だったのかという問題ばかりが論じられるのは不幸なことだ。それは国際法的には自明だが、大した意味はない。<侵略>は戦争の敗者を罰するためにつくられた政治的概念だからだ。

第1次大戦で戦争責任を一方的に負わされたドイツ人は憤り、カール・シュミットは「勝者の秩序」としての国際連盟の正統性に疑問を抱く。それは「法の支配」の形式をとるが、国際法に法の支配は存在しないので、その実態は戦勝国による占領という現状維持である。
続きを読む

上杉事件の判決について

東京地裁は16日、上杉隆の事件の判決で、双方に50万円の支払いを命じ、私にブログ記事の削除を命じた。主文は以下の通り。
  1. 被告池田及びアゴラは、原告に対し、連帯して50万円を払え。
  2. 被告池田は、インターネット上のウェブサイト「ライブドアブログ」中の「池田信夫blog」に掲載された別紙掲載記事目録の各記事を削除せよ。
  3. 被告アゴラは、インターネット上のウェブサイト「アゴラ」に掲載された別紙掲載記事目録の各記事を削除せよ。
  4. 原告上杉は、被告池田に対し、50万円を支払え。(以下略)
続きを読む

八紘一宇というグローバル・ジハード


テンションの低かった国会に、久々にお笑いネタが出た。三原じゅん子議員の「八紘一宇」発言だ。そこで彼女は「昭和13年に書かれた『建国』という書物」を紹介する。
八紘一宇とは、世界が一家族のように睦みあうこと。一宇、すなわち一家の秩序は、一番強い家長が弱い家族を搾取するのではない。一番強い者が、弱い者のために働いてやる制度が家である。[…]世界中で一番強い国が、弱い国、弱い民族のために働いてやる制度ができたとき、はじめて世界は平和になる。
続きを読む

ヒトラーを支持したドイツ国民

ヒトラーを支持したドイツ国民
先週はメルケル首相が来て、朝日新聞が「ドイツを見習え」といっていたが、ヒトラーがユダヤ人を大量虐殺したナチを「ファシズム」という言葉で日本と一くくりにし、「ドイツは反省しているが、日本は…」という類の話はナンセンスだ。日本のやったことは(表現はよくないが)普通の戦争犯罪であり、ドイツでいえば第1次大戦に近い。

明確な意思決定なしで戦争になだれこんだ日本と、ヒトラーが侵略の計画をもって戦争を起こしたドイツは大きく違うが、共通点もある。その敵がはっきりしないことだ。日本の場合は、治安維持法で「国体を変革」することが犯罪(最高刑は死刑)とされたが、国体とは何かという定義はなかった。
続きを読む

日本経済は「戦前型」に戻れ

きのうの経済塾で話した話の補足。日経新聞の森口千晶氏のデータは、いろいろなことを考えさせる。これはピケティと同じ手法で明治以降の日本の所得分配を計測し、戦前の日本はアメリカ型だったが、戦後はまったく違う平等社会になったことを示す。


続きを読む




logo-kobetsu



連絡先


記事検索
月別アーカイブ
QRコード
QRコード
Creative Commons
池田信夫のアゴラ読書塾
資本主義の正体 マルクスで読み解くグローバル経済の歴史
日本人のためのピケティ入門: 60分でわかる『21世紀の資本』のポイント



  • ライブドアブログ