「永続敗戦論」という平和ボケ

永続敗戦論――戦後日本の核心 (atプラス叢書04)
本書は去年買って読んだが、あまりにも下らないので資源ゴミに出してしまった。最近、賞をもらったりして話題になっているので、記憶に頼ってコメントしておく。

最大の欠陥は、事実関係の誤りが多すぎることだ。最初に出てくる「政府はSPEEDIのデータを被災者に隠蔽して米軍に流していた」という話は、3年ぐらい前に流れたデマである。そのデータは隠蔽したのではなく、津波で電源が落ちて放射性物質の計測ができなくなり、架空の予測データを出していたから発表しなかったのだ。この他にも、原発事故で「政府は国民の生命を守る気がなかった」などと根拠のない恐怖をあおっている。
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「朝日たたき」はまだ足りない

ウソが栄えりゃ、国が亡びる
世の中では「朝日たたきがひどい」という批判が出てきたようだ。あまりにもワンサイドゲームなので、ちょっとかわいそうな気もするが、田原さんの話によると、まだ「強制連行」の捏造を認めて謝罪する気はないらしいので、これは認めるまでたたかないといけない。

それより本質的な理由は、本書も指摘するように、朝日の守ろうとしている憲法第9条の一国平和主義は非問題だということである。こんな空想的な平和主義を掲げている政党は、世界のどこにもない。
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「河野発言」を取り消すべきだ

超こまかい話だが、国会の争点になると思うので書いておく。毎日新聞によると、菅義偉官房長官はきょうの国会で、1993年の河野談話のときの記者会見で「強制連行の事実があったという認識か」という質問に対して、河野氏が「そういう事実があったと。結構です」と発言したことが「大きな問題だと考えている」と答弁した。続きを読む

原発の特別扱いはやめよう

河野太郎氏が「原発を特別扱いするな」と書いている。「発電と小売りの自由化ならびに料金規制が撤廃されるとコストの大きい原発を維持できないから電力会社に補助をしてくれ」という。何のためにそういう補助が必要になったのか、彼はこう書く。続きを読む

朝日新聞の第三者委員会の現状


きのうの言論アリーナは、注目の朝日新聞の第三者委員会の委員になった田原総一朗さんの話。意外なのは、朝日の社内でまだ(社会部を中心に)徹底抗戦派が多数だという話だった。「強制連行はなかった」という点は彼らも認めるのだが、「強制性はあった」という。
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資本の文明化作用

「マルクスは新自由主義者だった」と書いたら驚いている人がいるので、いま書いている『グローバル資本論』(仮題)から引用しておこう。NYタイムズのトム・フリードマンは、『フラット化する世界』でこう書いている。
『共産党宣言』の予言にはいささかびっくりした。マルクスがこれを1848年に上梓したとは、とても信じられない。彼は世界が入り組んだ国境などない一つのグローバルな市場になるかもしれないと見た最初の一人だ。いま『共産党宣言』を読むと、産業革命中に世界をフラット化した力をマルクスが明敏に指摘し、なおかつその力が現在に至るまで世界をフラット化する流れを予測していたことがわかり、畏敬の念にとらわれる。(上巻 pp.329~30)
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マルクス主義の亡霊

歴史学研究会の声明が、ちょっと話題になっている。これは吉見義明氏もメンバーになっている唯物史観の学会なので、その主張は彼と同じく「広義の強制」という曖昧な話で日本政府を断罪するナンセンスだが、科学運動というページがおもしろい。
  • 政府首脳と一部マスメディアによる日本軍「慰安婦」問題についての不当な見解を批判する
  • 憲法解釈の変更による集団的自衛権の容認に反対する
  • 特定秘密保護法案に対する反対声明
  • 大阪府議会における、「日の丸」常時掲揚・「君が代」斉唱時起立条例の強行可決に抗議する
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ピケティを理解できないリフレ派の訳す『21世紀の資本』

21世紀の資本
ようやく日本でもピケティの訳本が出るようだ。最初は2017年4月と予告されていたが、アメリカでアマゾンのベストセラー第1位になったので、英語からの重訳に変え、たくさんの訳者を動員して12月9日発売にこぎつけたらしい。

原著で969ページが訳本で760ページというのは(たぶん注を省略した)抄訳だろう。5960円というのは、みすずとしては社運を賭けたバーゲンプライスで、初版1万部ぐらい見込んでいるだろう。しかし残念ながら、この訳本はおすすめできない。訳者の山形浩生が2010年にこんなことを書いているからだ。続きを読む

ルーズベルトが冷戦を生み出した



歴史は後ろから見てはだめで、同時代の人々の立場にならないと真相はわからない。その典型が冷戦だ。今では資本主義と社会主義が対立するのは当然だと思う人が多いだろうが、1917年にロシア革命が起こってから第2次大戦まで、冷戦は起こらなかった。それどころか、ルーズベルトとスターリンは同盟国として戦い、ヤルタ会談では握手したのだ。
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資本主義は海賊である

海賊と資本主義 国家の周縁から絶えず世界を刷新してきたものたち
近代の主権国家(領土国家)は縄張り争いに勝った組織暴力だと論じたのはTillyだが、それに対して海を暴力で支配し、ドゥルーズ=ガタリのいう脱テリトリー化を行なった資本主義は、海の組織暴力である。

イギリスの繁栄の基礎を築いたのが海賊だったことは偶然ではない。それどころか、大英帝国そのものが史上最大の海賊だったといってもよい。彼らが新大陸で奴隷を使って収奪した富は、その後400年にわたる資本主義の本源的蓄積になった。マルクスがのべたように、資本主義の原初には暴力があるのだ。
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