ロックダウンよりBCG接種の試験を



きのうの小池都知事の記者会見は「ロックダウン」の宣言だという噂もあったが、結果的には中身のない話だった。そのとき専門家会議のメンバーである西浦博氏が記者会見で抗体検査に言及した。抗体検査は「感染者の全体像を把握するために必須」だとのことなので、専門家会議も早急に実施を提言してほしい。

厚労省の統計で致死率(死者/感染者)が高いように見えるのは、分母の感染者が少ないからだ。これは去年末から感染が始まって年1月末までに免疫を獲得した(今はウイルスのない)人を見逃している可能性があるので、抗体検査をすればわかる。

続きはアゴラで。

新型コロナについての仮説をSIRモデルで検証する

日本の新型コロナ死者が驚異的に少ない原因として私の仮説は、
  • 感染が昨年末から始まり、一部の日本人がすでにコロナの免疫をもっている
  • 日本人の感染したコロナウイルスは(BCGの自然免疫で)毒性が弱い
という二つだが、これを感染症のSIRモデルで検証してみた。これは非感染者(susceptible)、感染者(infected)、治癒者(recovered)の数を微分方程式で数値シミュレーションするもので、新型コロナについても多くのモデルがあるが、米山隆一氏が公開しているシミュレーターが便利だ。次の図は米山氏のシミュレーターで基本再生産数を2.5として感染者数の動きを見たものだ。

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感染者数(右軸・万人)と治癒者数(左軸・万人)の推移

感染開始から104日後に(累積)感染者数が2930万人でピークを打ち、治癒者(免疫をもっている人)が4679万人になる。このとき致死率0.001%とすると、死者は46人になる。感染開始が昨年末だとすると、今がこの状態である。最終的には約1億1000万人が免疫をもつ集団免疫状態で安定する。

このモデルの特徴は、致死率を非常に低く設定したことだ(2009年の新型インフルぐらい)。これはBCG接種による「免疫記憶」ができているため、感染によるダメージが少ないと仮定した(そう考えないと異常に少ない死亡率は説明できない)。SIRモデルは単純なモデルなので、これで十分説明できるとは思えないが、仮説は明確になった。

続きは4月6日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

アメリカは第2次大戦以上の危機になる

アゴラで書いたように、今年の初めから日本でインフルエンザの患者が急に減った原因が新型コロナウイルスの上陸だとすると、アメリカの状況は予想以上に危険である。今シーズンのインフルエンザの患者が2600万人、死者が1万4000人という大流行になったアメリカには、新型コロナウイルスは上陸していないからだ。

新型コロナの免疫がほぼゼロという状態から、3月になって感染が始まったとすると、これはインペリアル・カレッジの報告とほぼ同じ状況である。そのシミュレーションによれば、基本再生産数が2.4とすると、アメリカ国民の81%が新型コロナに感染し、次の図のように何も対策をとらないと220万人が死亡する

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英米の新型コロナ死者の予測(インペリアル・カレッジ)

イギリスについては51万人の死者を集団免疫戦略で25万人に減らす(ベストケース)政策が提言されているが、アメリカについては何も書いてない。イギリスと同じような政策を想定すると、約100万人が死亡することになる。これは第2次大戦の死者30万人の3倍である。

続きは3月30日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

日本人は新型コロナに免疫をもっているのか

きのうの安倍首相の記者会見は、新型コロナの緊急事態宣言を出すものかとも思われたが、中身は景気対策の説明だけだった。それはそうだろう。日本の新型コロナ感染者数は約1500人で、人口比では先進国で最小。 死者に至っては人口比でイタリアの1/400、世界平均の1/10である。


各国のコロナ感染者数(FT.com)

このように日本の新型コロナ感染(特に死亡率)が少ない原因として、次のようなものが考えられる。
  1. 政府や医療機関の対策がうまく行った
  2. きれい好きな日本人の生活習慣が感染を防いだ
  3. 多くの日本人がすでにコロナに対する免疫をもっている
  4. 日本人の感染したコロナウイルスは毒性が弱い
1と2の要因があることは間違いないが、それだけではこの大きな差は説明できない。3と4は常識では考えにくいが、今回の事態は常識を超えているので、あえて常識を無視して考えよう(陰謀論は除外)。

続きはアゴラで。

日本型BCGで新型コロナの免疫ができる?

「BCG接種が新型コロナにきく」という話が、ネットで出回っている。BCGは子供のとき受ける結核の予防接種なので、これは一見すると医学的に根拠のないトンデモにみえるが、ジョンズ・ホプキンス大学の世界地図を見ると、疫学的な状況証拠は十分ある。



続きはアゴラで。

新型コロナの「抗体検査」が必要だ

オクスフォード大学のシミュレーションでは、イギリス人の半分以上がすでに新型コロナの免疫をもっている可能性を示唆している。これは現在のイギリス政府の方針の依拠しているインペリアル・カレッジの報告書とはまったく違う。この違いの最大の原因は、感染がいつ始まったと想定するかである。

インペリアル・カレッジはイギリスで死者が初めて出た3月上旬を感染の起点と想定しているが、オクスフォード大学は1月下旬を起点にしている。感染症の死者が出るのは、感染が始まってから2~3ヶ月後だからである。新型コロナの基本再生産数が2.25だとすると、この2ヶ月で感染が急速に拡大し、3月15日にはイギリス国民の50~60%が免疫をもっている計算になる。

同じことが日本にもいえるとすると、日本国内(クルーズ船を除く)で初めて死者が出たのは2月下旬なので、そこから2ヶ月さかのぼった昨年12月末に感染が始まったことになる。

続きはアゴラで。

日本人はすでに新型コロナの集団免疫をもっている?

イギリスのボリス・ジョンソン首相は集団免疫戦略を撤回したが、その根拠となったインペリアル・カレッジの報告書には重大な疑問がある、とオクスフォード大学の8人の研究者が指摘している。

インペリアル・カレッジの報告書は、これからイギリスで国民の81%が感染し、25万人が死亡すると予測して大きな反響を呼んだ。これはイギリスで死者が初めて出た3月から新型コロナの感染が始まったと想定しているが、これはおかしい。感染の開始から死者が出るまでには、タイムラグがあるからだ。

この論文では1月下旬に新型コロナウイルスがイギリスに入ったと想定して、感染の拡大をSIRモデルと呼ばれる疫学モデルでシミュレーションした結果、図のように、すでにイギリス国民の半分以上が免疫をもっている可能性がある、というインペリアル・カレッジとは対照的な結論が出た。

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基本再生産数R0=2.25で致死率0.1%とすると、図の黄色のカーブのように2月末から免疫をもつ人が増え、3月19日の段階では68%が免疫をもっている。R0=2.75で致死率1%とすると、30%ぐらいが免疫をもっていることになる。

このモデルとインペリアル・カレッジの結論が大きく違う最大の原因は、新型コロナウイルスがイギリスに入った時期の違いである。 死者は3月初めから出ているが、普通は感染が始まってから死者が出るまでに少なくとも1ヶ月かかるというのが、この論文の重要な指摘である。イギリスに上陸したのは遅くとも1月末だろう。

この推定が正しいとすると、日本で最初の死者が出たのは2月中旬なので、潜伏期間が2週間あることも考えると、新型コロナウイルスは昨年12月末までには日本国内に入ったと考えられる。日本でもイギリスと同じペースで感染が広がったとすると、すでに60%以上の国民が免疫をもっている可能性がある。

R0=2.25とすると、感染率55%でピークアウトする。日本で新規患者数や新規死者数が減っている原因は、感染の開始から3ヶ月以上たって集団免疫ができているためだと考えると、国民性や生活習慣の違いなどを考えなくても説明できる。これは日本だけでなく、インドやタイやマレーシアなど、中国人の多いアジアで感染が少ない原因も説明できる。

続きは3月30日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

人類は「集団免疫」で感染症と共生してきた

感染症と文明――共生への道 (岩波新書)
感染症は人類の最大の脅威であり、その歴史を大きく変えてきた。狩猟採集社会で人間が小集団で移動していたころは、感染症の脅威はそれほど大きくなかった。小集団の中では病原体はすぐ広がり、ほとんどの人が免疫をもつからだ。これが集団免疫である。

感染症の流行は、定住とともに始まった。人間の排泄した糞便は居住地の周囲に集積され、病原体を培養した。農耕で生み出された余剰作物は蓄積され、病原体を媒介するネズミなどの小動物が増えた。家畜も、動物起源の病原体を人間社会に持ち込んだ。

古代文明は「感染症のゆりかご」だった。世界史上初めて大規模な定住社会となったメソポタミアでは、たびたび感染症が大流行した。そのとき周辺部にいた健康な民族が侵入したが、文明の中では免疫がないため絶滅した。集団免疫は、文明を守る生物学的な防護壁となったのだ。

つねに新しい感染症が出現し、それが文明の交替をもたらした。天然痘やペストは文明を滅ぼし、それに対する免疫を獲得した文明が生き残った。人類が感染症を根絶することはできないが、集団免疫でそれと共生することはできる。それは多くの犠牲をもたらす不愉快な状態だが、おそらく人類の生き残る唯一の道だろう。

続きは3月30日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで(初月無料)。

新型コロナ自粛の「出口戦略」が必要だ

新型コロナの新規患者数は日本ではピークアウトし、3月22日には初めて退院数を下回った。もちろんこの傾向が今後もずっと続く保証はないが、今の厳戒態勢を半年も続けると経済はボロボロになる。現実には今月中に、自粛の「出口」を検討するときが来るだろう。問題はどういう手順で自粛を解除するかである。

いま実効再生産数Rが1を下回っているとすると、R =1になったときが一つの目安だが、それが長期的に維持できるかどうかは疑わしい。自粛をすべて解除したときの基本再生産数R0は1より大きいからだ(そうでなければ感染は拡大しなかった)。ここで重要なのが集団免疫の考え方である。



続きはアゴラで。

最高の「新型コロナ経済対策」は自粛の解除である

新型コロナをめぐって、大型の緊急経済対策が検討されている。瞬間的には10%以上の需給ギャップが生じているので、10兆円規模の財政出動が必要だろう。金融緩和は資金繰り支援としては必要だが、ゼロ金利では総需要の創出効果はない。株式の買い支えは評価損を大きくして日銀のバランスシートを毀損し、危機対応能力をそこなう。

野党は消費税率の5%への引き下げを求めているが、これはナンセンスである。消費税は社会保障を支える長期の財源であり、短期の景気対策で上げたり下げたりするものではない。また消費税率を5%下げても、下がる税額は1ヶ月8000億円程度。減税前に買い控えが起こるので、短期的な効果はほとんどない。

即効性があるのは現金給付である。これにはいろいろな形がありうるが、一番簡単なのは、所得税・住民税や法人税の納税延期や還付だろう。次いで簡単なのは、リーマンショック後の2009年に行われたような定額給付金である。「ほとんどが貯蓄に回るので効果がない」という批判もあるが、それなら有効期限3ヶ月のクーポンにすればいい。

続きはアゴラで。







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