野党の「日程闘争」が官僚のブラック労働を生む

森ゆうこ議員のパワハラ問題に、産経新聞以外のマスコミは沈黙を続けているが、朝日新聞は「論座」で米山隆一氏の「森ゆうこ議員の質問漏洩問題から見える日本の劣化」というコラムを掲載している。彼は「官僚を自称する複数のアカウント」のツイートについてこう書く。
私は、そもそも事実ではなくそれ自体不当な非難であったことを前提としたうえで、理由はさておき、台風を前に帰宅もできず、愚痴の一つも言いたくなったことは理解できます。しかし、相手の事情を確認もせず、あらゆる結果を仕事の相手方に帰責する形で個人を特定してあげつらったのは、通常の職業倫理からはおよそ考えられず、霞が関の劣化以外の何物でもないと思います。
これ以降の彼の議論は、官僚の情報が「事実ではなくそれ自体不当な非難であった」という前提で官僚を批判するものだが、この前提は誤っている。「森ゆうこ糞」などのハンドルネームで行われた批判は正確であり、質問通告は24:25までかかったことが確認されたので、米山氏の話はナンセンスである。

続きはアゴラで。

森ゆうこ議員の「質問通告」に守秘義務はない

森ゆうこ事件は些細な話のようにみえるが、国会では毎日のように起こっているパワハラの例であり、見逃すことはできない。産経新聞がその質問通告を掲載しているので、ここから当日の経緯を推測してみよう。

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まず明らかなのは、この14項目の「未定稿」だけでは答弁が書けないことだ。特に8の「国家戦略特区について」という項目で「原座長代理」が質問の対象になっているが、原英史氏は公務員ではないので、参考人として出席を要請しなければならない。その時こんな質問項目だけでは、何を聞かれるのかわからない。

そこで内閣総務官室が11日の19:30ごろ森議員に問い合わせ、特区の部分の質問内容が追加された。内閣総務官室は20時ごろ、14項目に次の「質問詳細」を加えた2枚のFAXを添付したメールを原氏に送った。これは15日の質問の実質的に前日であり、民間人に配慮して早めにこの部分だけ外部に送ったものと思われる。質問通告がすべて終わったのは24:25だった。

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これは産経も指摘するように「通常の業務」であり、質問内容は公務員の守るべき秘密ではない。それを受け取った原氏も民間人であり、守秘義務は負わない。彼はこの質問通告を読んで、自分に対する人権侵害が含まれていると考え、私を含む多くの人にこの事実を14日までに同報メールで伝え、そのうち15人が署名運動の発起人になった。

事実はこれだけである。どこにも違法性はない。問題をややこしくしたのは、高橋洋一氏が14日に虎ノ門テレビで「(質問が)役所の方から来た」と言ったことだ。これは嘘である。彼が話を聞いたのは原氏であって「役所」ではないからだ。

続きは10月28日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

民主主義の次の政治システム

ニック・ランドと新反動主義 現代世界を覆う〈ダーク〉な思想 (星海社新書)
森ゆうこ事件をみると、民主主義がいかに非効率な政治システムかがわかる。これは国家の外に移動できない農民のシステムだから、議会でvoiceして合意を形成するしかなく、こういういやなやつとも一緒に暮らさなければならない。それに対して都市国家は、いやな都市からはexitすればいい。

こういう発想を政治システムとして提案したのが、ニック・ランドの「暗黒啓蒙」というウェブ上の著作である。ここで彼のいう新反動主義はリバタリアンの変種で、こういう都市国家の発想は昔からある。経済学でいうと、ローマーの提案したチャーターシティと同じだ。

新反動主義がダークな危険思想とされているのは、それが生物学的多様性を論じているからだ。これは誤解を恐れずにいえば「白人は黒人より遺伝的に知能が高いので白人だけの都市に集まって住めばいい」という思想で、かつて白人が黒人を排除したのと逆の発想だ。このため彼の本は、アメリカでは出版できなかった。

これ以上の話は政治的に正しくないので、10月21日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

日本の国会はなぜ異常に強いのか

日本の国会――審議する立法府へ (岩波新書)
ゴロツキ野党議員が出てくる原因は、国会の独立性が異常に強く、政府が「国会がお決めになること」としかいえない日本の統治機構にあるという問題点は、多くの政治学者が指摘してきた。ではこの「強すぎる国会」はなぜ生まれたのか。

それについての意見は必ずしも一致していないが、本書もいうように日本国憲法が一つの原因だろう。そもそも憲法41条は「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」と定めており、政府が提出する内閣提出法案(閣法)についての規定は憲法のどこにもない。

これはホワイトハウスに法案提出権のないアメリカの制度をモデルにしたものだが、実際には国会で成立する法案の8割以上が閣法である。ところが憲法は閣法を想定していないため、審議日程などについて政府の国会への介入をことごとく排除する構造になっている。

国対委員長会談で法案の優先順位が決まり、議院運営委員会で審議日程が決まる。政府が審議日程をコントロールできないので、自民党は政調会や総務会で事前審査を行ない、審議を党内で前倒しでやってしまう。ただ最近の研究で、こういう構造は戦前にもあったことがわかってきた。

続きは10月21日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

ゴロツキ野党議員はなぜ暴走するのか

産経新聞によると、国民民主党と立憲民主党の「調査チーム」は、松井孝治氏がツイッターで公開した文書が「情報漏洩だ」として、内閣府にアカウントの特定を求めた。しかしこの文書は参議院事務局が予算委員会の出席者に配布した議事進行であり、公務員の守秘義務の対象になる「非公知の事実」ではない。

また内閣府が原英史氏に参考人として出席を求めた際に送ったメールに「質問要旨」と国家戦略特区に関する「質問詳細」が添付されていたことを問題視しているが、この「質問要旨」は11日夜に森ゆうこ議員がツイートした公開情報である。

続きはアゴラで。

霞ヶ関を「ブラック職場」にするゴロツキ野党議員

森ゆうこ議員が情報漏洩がなんちゃらとわけのわからないことを言っているが、この問題の本質は、彼女が台風前夜に多くの官僚を深夜まで待機させ、しかもそれを批判されると「規定の提出期限までに出した」と嘘をついたことだ。まず経緯を簡単におさらいしておこう。
  • 大型の台風19号が首都圏に接近していた11日夜、何人かの官僚がツイッターで「森ゆうこ議員の質問がまだ来ないので家に帰れない」とつぶやいた。
  • 最初に森議員が出した14項目の箇条書きでは、どの部署が答弁を書くのかわからないので、20:30ごろまでは全省庁待機がかかり、数百人が待機したものと思われる。
  • 次第にその内容が追加されて具体的にわかったので、無関係な省庁から待機が解除されて帰宅したが、担当官庁は徹夜になって帰宅できなくなった。
  • 質問は何度も追加され、最後の更新が終わったのは24:25だった
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森ゆうこ議員のいう「情報漏洩」は論点のすり替えだ

きのう国民民主党は記者会見を開いて「質問内容が外部に流出したのは情報漏洩だ」と主張した。朝日新聞は「森ゆうこ議員が11日午後4時すぎに参院事務局に出した質問通告が外部に流出した可能性がある」と報じているが、これは誤報だ。彼女が16:08に出した通告の内容を20:22にツイートしているからだ。
続きはアゴラで。

アル・ゴアの隠す不都合な真実

K10012132281_1910151356_1910151454_01_04アル・ゴア元米副大統領が来日して、 NHKがインタビューしている。 それによると彼は「福島の事故のあと、日本はなぜ石炭火力発電所の増設という方向に向かったのか。理解できない」そうだ。

NHKの佐藤真莉子という記者はこれを真に受けて「日本の環境政策は変わってしまった」とか「日本は世界の流れに乗り遅れてしまった」と彼に語らせているが、 石炭火力を減らす方針だった日本が、増設に転換した理由は明らかだ。動く予定だった原発が動かせないからである。

それはゴアも知っているはずだ。彼は5年前に来日した時のインタビューで、日本の原発について質問されて「最新の技術で正しい管理のもとに運用されるのであれば、現代の原発は安全に動かすことが可能だと思う」と答えているからだ。

つまりゴアは、日本の原発が安全に動かせる状況でありながら止められていることを知っている。それが石炭火力の増えた原因であることも知っているが、それを隠して「日本は遅れている」と批判したのだ。これは政治的プロパガンダである。

続きは10月21日(月)朝7時に配信する池田信夫ブログマガジンで。

防災インフラ整備は地元にまかせてはいけない

台風19号の被害が堤防やダムで防げたことで、インフラの役割が見直されている。特に民主党政権が完成を遅らせた八ッ場ダムが、完成直後の試験貯水で洪水を防いだという評価が高い。利根川の流域全体の水量からみると大きな差がなかったという意見もあるが、ないよりあったほうがいいことは明らかだ。

こういう公共事業に反対するのが、10年ぐらい前まで流行した。田中康夫知事が「脱ダム」を打ち出した長野県が千曲川の氾濫で大きな被害を出したことが批判を浴びているが、大部分のダムは農業用水のための利水ダムだったので、治水設備としては効率が悪い。

治水は100年に1度ぐらいの洪水にそなえるものだから、自治体の防災対策は99年は空振りになり、過少投資になりやすい。だが日本全体としてみると、去年の西日本豪雨に続いて今年と、大型の台風や集中豪雨はほぼ毎年、全国のどこかに来る。

つまり国レベルで考えると、ほぼ確率1で起こる出来事にそなえる災害予算を組めばよい。政府の一般会計予算で治山・治水費用は約1兆円あるから、これを水害の被害の大きい都市部の堤防に優先的に配分すればいいのだ。このとき地元の意見を聞いてはいけない。

続きはアゴラで。

インフラ整備は温室効果ガスの削減より効率的だ

台風19号の被害は、14日までに全国で死者46人だという。気象庁が今回とほぼ同じ規模で同じコースだとして警戒を呼びかけていた1958年の狩野川台風の死者・行方不明は1269人。それに比べると台風の被害は劇的に減った。

このように水害が減ったのは、台風が減ったからではない。台風や集中豪雨の頻度は、ここ100年ほとんど変わっていない。自然災害が減らなくても被害が減った最大の原因は、台風情報が正確になり、堤防やダムが整備されたことだ。

続きはアゴラで。






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