なぜ小保方氏はES細胞を盗んだのか

きのうのNHKスペシャル「STAP細胞 不正の深層」を録画で見た。「おさらいだ」と批判を浴びるのはしょうがないが、気になったのは肝心のES細胞の話をきちっと詰めてない点だ。

STAP細胞と称するサンプルのDNAが若山研究室のES細胞と同一で、彼女の研究室の冷凍庫にも同じES細胞があった。ここまでは既報だが、そのES細胞をどこから入手したのかが問題だ。この番組では、元留学生が電話で「私は渡していない。驚いた」と話していた。続きを読む

国家は自由のためにある

神学・政治論(上) (光文社古典新訳文庫)
きのうの記事の補足。「原子力村は悪だから、彼らの話は嘘だ」というように善悪によって真偽を決める呪術的思考は、人類の圧倒的多数派である。むしろ「価値判断と事実は独立だ」という思想が、西洋近代以降の新しいものだ。

これを「科学者がキリスト教会と闘って実証主義を確立した」と思っている人が多いが、それは歴史的には間違いである。近代の自由主義の起源は、宗教戦争を収拾するために宗派間の妥協として生まれた寛容の思想としての信教の自由にある。
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反原発派の「魔女狩り」

魔女狩り 西欧の三つの近代化 (講談社選書メチエ)
最近、反原発派が静かになった。朝日新聞も「プロメテウスの罠」のような放射能デマは流さなくなったが、一般大衆に残る偏見は、論理的に表明されない分かえって厄介だ。その典型が室井佑月氏のような話だ。彼女は「福島に子供をつれていくな」というコラムに抗議が来たことに対して、次のように反論する。
福島ではなにも起きていないといってしまえば、東電の起こした原発事故のその後のすべてが風評被害であるというすり替えが可能になってしまう。国も東電も、被害者に対して手厚い保護など考えなくていいことになってゆく。
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日本軍はなぜ半分も餓死したのか

きのうアゴラ読書塾で話したことだが、日本軍は戦争に負けたのではなく、補給の失敗で自滅した。その原因はいまだに十分解明されていないが、これは資源配分の問題と考えると理解できる。これには二つの解法がある。一つは市場経済などによってボトムアップで答を見つける方法、もう一つはトップダウンの計算で解く方法である。拙著『ハイエク 知識社会の自由主義』から引用しておく。
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異次元緩和の「偽薬効果」は消えた

6月の消費者物価指数が発表された。4月以降は消費税の増税分2%が含まれているので、それを除くと、コアCPI(生鮮食品を除く総合)とコアコアCPI(食料・エネルギーを除く総合)の前年比上昇率は、次のようになる。

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消費者物価上昇率(前年比)出所:総務省
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大川周明と「昭和維新」

大川周明 (岩波現代文庫)
日本維新の会と結いの党が合併してできる新党の党名に「維新」の名を残したい、と橋下徹氏がいっているそうだ。ちなみにウィキペディアによれば「昭和維新」とは「1930年代の日本で起こった国家革新の標語」で、代表的な事件は五・一五事件や二・二六事件である。

その五・一五事件の首謀者として検挙されたのが、大川周明である。彼は一般には「ファシスト」として危険視されるが、その思想は蓑田胸喜や頭山満などの通俗的ファシズムとは違い、北一輝と並んで戦前の右翼思想の最高峰といえよう。
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なぜ人手不足になるの?(フォロー版)

3ヶ月前のアゴラこども版に、今ごろまたアクセスが集まっているので、その後の動きをフォローしてみよう。


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アベノミクスで格差は拡大する

週刊 東洋経済 2014年 7/26号 「『21世紀の資本論』が問う 中間層への警告/人手不足の正体」
今週の週刊東洋経済はピケティ特集。これに寄稿した私の記事にも書いたが、「日本は平等社会だから関係ない」と思うのは大きな間違い。インタビューでピケティもいうように、日本こそ典型的な不平等社会だ。OECDの調べによれば、日本の労働分配率は主要国でもっとも低い。

これは「デフレ」のせいではなく、新興国(特に中国)との賃金のアービトラージュの影響が大きいので、インフレ目標なんか設定しても意味がない。むしろ「デフレ脱却」したら実質賃金が下がり、格差はさらに拡大する――私を含めて多くの経済学者がそう警告したが、その予想どおりアベノミクスで実質賃金は年率3%以上低下し、消費支出が激減した。

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清水幾太郎の覇権と忘却

メディアと知識人 - 清水幾太郎の覇権と忘却
集団的自衛権をめぐる騒動は、60年安保に似ている。当時も安保条約なんてほとんどの人は知らず、新聞が「アメリカの戦争に巻き込まれる」という不安をあおって騒ぎを作り出したのだ。最初は一部の学生・知識人にとどまっていた運動が、1960年6月の国会通過の数ヶ月前から、急に盛り上がった。そのきっかけが、全学連主流派(ブント)の国会突入だった。

清水幾太郎は、60年安保の主人公だった。今では忘れられた人物だが、当時は「いまこそ国会へ」というアジテーションを発表し、全学連を支援する声明を出した(丸山眞男は署名しなかった)。このときの騒動をのちに振り返って、清水は「何をやりたかったのか自分でもわからない」といっている。
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経済学の「地動説」は確認された

徹底分析 アベノミクス
アベノミクスが始まったころはリフレ派は勢いがよかったが、政権発足から1年半たっても、株式市場以外の実体経済には何も結果が出ていない。これをどう見るかが本書のテーマだ。リフレ派と反リフレ派の論争という形になっているが、論争の体をなしていない。リフレ派が総崩れだからである。

第2章の片岡剛士「金融政策で物価をコントロールできる」は、このタイトルを何も証明していない。彼が「デフレは賃下げのせいではない」とかいろいろ言い訳した末に出すのは、おなじみの次のような図だ。

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